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ドイツやスペイン以上にやりにくい相手? “見ている人たちが応援したくなる”クロアチアサッカーの正体

集英社オンライン / 2022年12月5日 12時51分

W杯初のベスト8進出をかけて、森保ジャパンが前回大会準優勝のクロアチアに挑む。ヨーロッパを代表する強豪でありながら、悪い意味での強国意識がなく、ひたむきに戦う同国は、ある意味、ドイツやスペイン以上の難敵と言えそうだ。

田中碧「最初から強い国はない」

森保ジャパンがベスト8をかけて挑むクロアチア代表

今回のワールドカップの組み合わせが決まったとき、日本が入ったグループEの一般的評価は「2強2弱」だったに違いない。世界中のサッカーファンのほとんどが、スペインとドイツが楽にグループリーグを突破し、日本はコスタリカとともに敗退すると予想したはずだ。

日本が決勝トーナメント進出を果たすには、まずは確実にコスタリカに勝つこと。そのうえで、ドイツ、スペインのどちらかから、どうにかして引き分けによる勝ち点1をもぎ取る。それしか手はないように思われた。



ところが、である。

実際に大会が始まってみると、日本は初戦でドイツに2-1の逆転勝利を収める番狂わせを演じたにもかかわらず、2戦目では煮え切らない戦いに終始し、コスタリカに0-1の敗戦。

もはやこれまでかと思われた3戦目では一転、またしてもスペインに2-1の逆転勝利。
勝ってもまさか、負けてもまさか。よくも悪くもまさかの連続で、日本は世界を驚かすグループ1位通過を果たした。

スペイン戦で殊勲の決勝ゴールを決めた田中碧は「(結果が出た今でも)2強2弱は変わらないと思うし、また4年後、同じグループに入ったとして、僕らが強い側にいくとは思えない」と言いつつ、「ただ」とつないで、こう続ける。

「こういうことの積み重ねで強豪国になっていくのかなとは思う。最初から強い国はないと思うし、こういう歴史を積み重ねて、経験をしていって、世界から見て強豪国と言われるようになると思うので。

別に(今大会の結果だけで)強くなったとは思わないけど、自分たちで強いと信じることは大事。外野が何と言おうと、自分たちを信じることが今は一番大事なのかなと思っている」

自分を信じ、仲間を信じ、チーム一丸となって戦う日本は、下馬評を大きく覆す躍進を見せている。

強豪クロアチアを象徴するスーパースター

日本がワールドカップに出場するのは今回が7回目だが、ワールドカップ優勝経験国(ドイツ、スペイン)に勝利したのは初めてのこと。さらには、2大会連続でのグループリーグ突破も初であり、グループ1位通過もまた、自国開催のアドバンテージがあった2002年大会を除けば、初のことだ。

次々に歴史を塗り替えていく日本代表が、今度は初のベスト8進出を目指し、次の決勝トーナメント1回戦で対戦するのはクロアチア。4年前の前回大会では準優勝している強豪国である。

「前回大会を見ていて一番印象に残っている国のひとつ。全選手がハードワークしていたし、見ている人たちが応援したくなる国のひとつだなと思った」

日本の守備の要、冨安健洋がそう話しているように、クロアチアはヨーロッパを代表する強豪でありながら、悪い意味での強国意識がなく、ひたむきに戦えるのが魅力のチームだ。

クロアチアの顔とも言うべき中心選手は、ルカ・モドリッチ。彼もまた、世界的ビッグクラブであるレアル・マドリードで背番号10をつけるスーパースターでありながら、ハードワークをいとわない。クロアチアのキャプテンでもあるモドリッチの姿勢は、まさにチームの戦いぶりを象徴している。

ルカ・モドリッチ。ユーゴスラビア出身で、18歳まで難民ホテルで生活をしていた

単純な実力比較で言えば、ドイツやスペインには劣るとしても、「柔軟性や対応力にすごく長けている。少し日本に似ている感じもある」とは田中の弁。日本にとってはスキを見つけるのが難しく、むしろドイツやスペイン以上にやりにくい相手と言えるのかもしれない。

ワールドカップ出場国の中に、日本が簡単に勝てる相手などないことは言うまでもないが、負ければ終わりの一発勝負であることも含め、グループリーグの3試合とはまたひとつ違った難しさをはらむ試合になりそうだ。

「新しい景色」は見えるか

日本代表はこの4年間、森保一監督が常々「新しい景色を見よう」と口にしてきたように、初のベスト8進出を目標に掲げて強化を続けてきた。

そんなチームにとって、勝てば目標達成となる次の試合はまさに大一番。ドイツやスペインに勝ったことさえ通過点に過ぎず、この試合に勝つためだけに4年間すべての準備がなされてきたと言っても過言ではない。

だが、勝負の一戦を目の前にしてもなお、これまでの3試合でジェットコースターなみの激しい浮き沈みを経験してきた選手たちには、もはや何事にも動じる様子がない。
冨安が堂々と語る。

「勝って負けて勝ってときて、僕たちだけじゃなく、日本人サポーターのみなさんも一喜一憂というか、ドイツ戦で勝って賞賛されて、コスタリカ戦ではあまりよくなくて批判もあったが、僕は大会前から(日本はワールドカップでも)できるクオリティを持っていると言っていたし、思っていたし、それは実際にドイツ、スペインを相手にピッチ上で見せることができた。僕たちの力をしっかり100%出すことができれば、僕たちの目標は達成できると思っている」

日本は過去3度決勝トーナメント1回戦で敗れ、ベスト8進出を逃してきたが、4度目の挑戦となる今回は、チーム内に漂う空気がこれまでとは明らかに異なっている。その空気は、自信と言い換えてもいいものだろう。

初のベスト8進出まであと一歩。
遥か彼方にあったはずの「新しい景色」も、霞の先におぼろげながら見えてきた。

取材・文/浅田真樹 写真/AFLO

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