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絶好調だったTBS「日曜劇場」が大失速! 『アトムの童』が一桁視聴率の衝撃…“ドラマ枠”のブランディングの難しさ

集英社オンライン / 2022年12月8日 12時1分

2021年絶好調だったTBSの看板ドラマ枠「日曜劇場」が、2022年は右肩下がりで失速中。同じくTBSで恋愛ドラマ枠として人気を博していた「火曜ドラマ」も絶不調だ。ドラマ枠のブランド化の成否の分水嶺とは……?

ドラマはその作品ごとにファンがつくのはもちろんだが、同じテレビ局の同じ放送時間の作品でヒット作が量産されると、そのドラマ枠自体にもファンがつくものである。

主演やレギュラーを務める役者は誰なのか、どういったジャンルやストーリーなのかといったことも重要な要素だが、過去に人気作を多数生み出している枠ならばおもしろいであろう、とドラマファンたちはそのブランド(ドラマ枠)を信頼し、視聴習慣がついているからだ。



日本のドラマ史を振り返り、ドラマ枠のブランド化に成功した代表例を挙げるならば、1990年代に隆盛を極めたフジテレビの月曜21時枠「月9」だろう。『東京ラブストーリー』や『101回目のプロポーズ』(いずれも1991年)、『ロングバケーション』(1996年)といった恋愛ドラマの大ヒット作を量産していた枠である。

一方、近年もっとも権威あるドラマ枠はTBSの日曜21時から放送の「日曜劇場」だと言っていいだろう。『半沢直樹』シリーズ(2013年、2020年)や『下町ロケット』シリーズ(2015年、2018年)などを世に送り出してきた枠で、昨年放送した4作品は全話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)が13~15%と軒並みヒットしている。

だが今年放送の4作品は、そのドラマ枠の“強さ”の指標となる初回の視聴率が、新作になるたびに右肩下がりになっているのだ。

初回視聴率、1月期と比べて
10月期はほぼ半減の異常事態

初回視聴率はそのドラマ枠のブランド力を測る大きな指標と言えるが、今年の「日曜劇場」作品は下記のとおり右肩下がりになってしまっており、ブランド力低下が如実なのである。

≪2022年「日曜劇場」作品/初回の世帯平均視聴率≫
1月期『DCU 〜手錠を持ったダイバー〜』16.8%
4月期『マイファミリー』12.6%
7月期『オールドルーキー』11.2%
10月期『アトムの童(こ)』8.9%

絶好調だった昨年の4作品と比較すると、いかに危機的状況かがわかるのではないだろうか。

≪2021年「日曜劇場」作品/初回の世帯平均視聴率≫
1月期『天国と地獄〜サイコな2人〜』16.8%
4月期『ドラゴン桜』14.8%
7月期『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』14.1%
10月期『日本沈没-希望のひと-』15.8%

昨年は安定して15%前後を獲得していたのに、今年は昨年と同水準なのは1月期の『DCU』のみ。しかも4月期の『マイファミリー』以降は昨年の水準からかなり下回っているだけでなく、新作になるごとに下落している。

これはブランド力の低下ではなく各作品の魅力がなかっただけではと思う人もいるかもしれないが、『マイファミリー』は全話の平均視聴率が12.9%、最終話の視聴率が16.4%と初回を上回る数字を残しており、これはストーリーの面白さが評価されたからだと考えられる。つまりドラマ枠のブランド力が落ちているからこその初回視聴率低下と言えるのだ。

またドラマに限らずテレビ全体の視聴率下落が急速に進んでいるため、右肩下がりになるのは当然だと見る向きもあるだろう。けれど、さすがに昨年の4作品がいずれも15%前後でスタートし、今年1月期も16.8%でスタートしていた枠が、最新作で8.9%とほぼ半減しているというという凋落ぶりは異常事態だ。

ファン離れが加速したのは
2作連続のガッカリ作品が原因?

「日曜劇場」のブランド力低下の原因。

それは端的に言えば、“面白い作品を生み出せていないから”というシンプルな理由になるだろうが、この点はもう少し深掘りすべきだろう。

例えば絶好調だった昨年の作品は、基本的にTwitterでつぶやかれる声も好意的なものが多かったのだが、10月期の『日本沈没』は批判もかなり多い作品だった。ストーリーの強引さ、登場人物たちの危機感の希薄さ、ビルや道路が崩壊していくシーンのCGの陳腐さなど、ツッコミどころが満載だったのである。

そして『日本沈没』に続いて放送された今年1月期『DCU』も、高視聴率だったものの批判の声が多かった。醍醐味であるはずのダイナミックな潜水シーンが、回が進むごとにショボくなっていったのだ。前半は湖や海での潜水シーンがあったのだが、後半は水族館、温泉に潜るだけなどで、最終話も施設内の水槽でラストバトル。これに視聴者から失望とツッコミの声が殺到していたのである。

要するに初回視聴率が急落した『マイファミリー』の前の2作品のほこうそ、初回の高視聴率を獲得しながらも作品の評価がいまいちだったわけだ。もちろん、いくら「日曜劇場」と言えど毎度毎度、良質なヒット作を生み出せるわけではないだろうが、2作連続でガッカリさせられたため、ファンが離れていってしまったのではないだろうか。

また、仲間との協力で困難を乗り越えていく展開や、わかりやすいヒールキャラの登場、そして弱者が強者に立ち向かう逆転劇など、『半沢直樹』以降に浸透していった「日曜劇場」テイストが、さすがにもうマンネリで飽きられてきているということもありそうだ。

特に現在放送中で一桁視聴率に陥落してしまっている『アトムの童』は、よくも悪くも「日曜劇場」の王道路線を踏襲しているため、「日曜劇場」作品が好きだった視聴者ほど食傷気味でお腹いっぱいと感じている可能性も……。

「日曜劇場」だけでなく恋愛枠「火曜ドラマ」も凋落ぎみ

一大ムーブメントを巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)を筆頭に、『恋はつづくよどこまでも』(2020年)、『私の家政夫ナギサさん』(2020年)といった恋愛ドラマのヒット作を量産していたTBSの火曜22時枠「火曜ドラマ」も今年は大苦戦。

「月9」に代わって恋愛ドラマ枠の強力ブランドとして定着するかと思いきや、「日曜劇場」同様、今年の4作品の初回視聴率は右肩下がりなのだ。

≪2022年「火曜ドラマ」作品/初回の世帯平均視聴率≫
1月期『ファイトソング』9.2%
4月期『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』8.9%
7月期『ユニコーンに乗って』8.7%
10月期『君の花になる』6.5%

いくら視聴率至上主義時代が終焉したとはいえ、4作品とも全て一桁スタートではブランディングが上手くいっているとは言い難い。しかも8~9%台で踏みとどまっているならまだしも、現在放送中の『君の花になる』は6%台スタートで、その後の視聴率もかんばしくない。

リアルタイム視聴がもう時代に即していないという意見があるのはわかる。実際、現在フジテレビで放送中の恋愛ドラマ『silent』は、世帯平均視聴率は5~7%台をうろうろしているものの、TVerの見逃し配信再生数の歴代最高記録を樹立しており、今クール1の話題作となっているからだ。

ただ、そんな『silent』のTVerのお気に入り登録者数が236.3万人(11月29日現在、以下同)に対して、『君の花になる』は43.7万人と5分の1以下、『アトムの童』は67.5万と3分の1以下と大きく引き離されている。視聴率以外のデータでもブランド力の低下は明らかなのである。

――『半沢直樹』や『逃げるは恥だが役に立つ』のように、日本中が沸き立つほどの作品でブームを生み出し、その後、近い時期に何作かヒットをぽんぽんっと打てればその枠のブランド力は一気に高まる。しかし、しばらく当たりを出せずに不発作が続くと、求心力がどんどんしぼんでいってしまうことも……。

ドラマ枠のブランディングは容易ではないのだ。


文/堺屋大地

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