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【肉体美PHOTO多数】「握りには絶対的な自信があります」男子の部に出場し全日本チャンピオンに。相手を0.1秒でなぎ倒すアーム界最強女子・竹中絢音の強さとは

集英社オンライン / 2022年12月13日 13時1分

2017年、 “可愛い筋肉女子高生”として話題になっていた竹中絢音さん。当時すでにアームレスリングの世界ジュニア覇者だった彼女だが、あれから5年、ついに全日本男子部門でも優勝し、女性初の日本チャンピオンに。0.1秒で勝負が決まる究極マッスル勝負で頂点を極めた彼女の生い立ちとその強さに迫る。

遊び道具が20キロのダンベル

竹中さんがアームレスリングを始めたのは10歳のとき。その戦歴はすさまじく、わずか11歳で出場した愛知県大会での3位入賞を皮切りに、10代で女子部の全日本チャンピオンになり、世界ジュニアも2連覇達成。そして、今年9月に開催された全日本大会では、なんと男子の部に出場。猛者達をなぎ倒し、日本一に輝く快挙を成し遂げたのだ。



小柄な体格から繰り出される驚異の腕力はどこから生まれるのか。シンプルだが奥深いアームレスリングの魅力と共に掘り下げてみた。


––––アームレスリングを始めたきっかけは?

お父さんがアームレリングの選手だったので子供の頃から試合を見ていたんです。家でも両手を使ってお父さんの練習相手をしたりしていました。全然相手にならなかったけど(笑)。

元々すごく負けず嫌いだったので、結局アームレスリングに入り込んでしまって、やるなら絶対勝ちたいなと。最初から「世界チャンピオンを目指す」って決めて本格的に練習を始めたんです。

––––10歳の女の子なら、いろんなことに興味を持つと思いますけど、なぜアームレスリングだったんでしょう?

一応、空手も少しかじったんですけど、アームみたいに入り込めなくて3ヶ月でやめちゃったんです。アームはまず勝ち負けが一瞬で決まるっていうわかりやすさが大前提としてあって。その中でどう勝つか、テクニックを磨いていくってところが自分の性格に合っていたんだと思います。

––––トレーニングはどのように?

自宅の和室にお父さんのトレーニング器具が置いてあったので、最初はそれを使って自主トレ。親がテレビを見ている横で黙々と20キロのダンベルを上げるっていう、そんな構図になっていました(笑)。あとは家のリビングが道場みたいになっていて父のアーム仲間が来ていたので、そこで実践練習にも参加していました。

授業中も堂々トレーニング!

––––そして11歳の時にいきなり愛知県大会で3位入賞。小学生が大人を倒したわけですけど、勝ったときはどう思いました?

その頃はまだ子供で力がないので「レディーゴー!」の一瞬で倒す練習ばかりしていて。スタートだけは自信があったんですけど、大人相手でも通用するんだって思いましたし、同時にもっと力をつけていかないといけないなって次の課題が見えた感じです。

でも、とりあえずそれまでやってきたことが結果に繋がったので、モチベーションは上がりましたね。
そこからはさらにトレーニングを増やしていって、中学高校時代は学校でも家でも時間があれば鍛えているって生活でした。

––––勉強はそっちのけ?

いや、勉強はちゃんとやっていて、私、それなりにできたんですよ。特に数学はみんなより進んでいたので授業中に手持ち無沙汰になると、机の脚にチューブをつけて腕で引きながら、その先端のグリッパーを同時に握ってトレーニングをしたりとか(笑)。あと昼休みはひたすら鉄棒で懸垂したり、それが私の日常だったので先生も友達も何も言わなかったですね。

––––「また竹中が鍛えてるよ」って……(笑)。

というか、高校時代とかは本当に静かに生きてたんで、私の存在は空気だったと思います。ただ、新学期1日目だけは荷物が多くて異様だったかも。学校に2.5キロのウェイトプレートとゴムチューブとパワーグリップを持っていって机周りに置いておくんですよ。

あと中学や高校に上がった始めの1ヶ月は、各クラスに行って「腕相撲強い人いる?」って聞いて回って勝負するっていう。

学校に常備したウェイトプレートとゴムチューブとパワーグリップ

––––まるで道場破り⁈

そうです(笑)。相手はほとんど男子ですけど中学からは全勝でしたね。

相手が男子でもスタート時点で
ポジションを取れれば勝てると思った

––––そんな“アーム漬け”の努力が実り、今年ついに全日本チャンピオンの座を獲得したのですが。まず、男子の部に女子がエントリーできることに驚きました。

正確に言うと「AJAF全日本大会の男子A2 −60kg級右(手)優勝」になるんですけど、2年前にエントリーしようとした時は一回断られたんです。女子はダメだって。でも今回もう一回申し込んだらなぜか女性もエントリーできるってことで、ようやく挑戦できたんです。

※AJAFは国内二大団体の1つ。「男子A2」は、「男子A1」に次ぐ上から2番目のクラス。

日頃から男子を相手に練習をする竹中さん

––––あえて男子の部に挑戦したのは女子の部ではもう敵がいなかったから?

私の目標は世界チャンピオンで、海外にはもちろん強い女子がたくさんいるんですけど、コロナの影響で海外試合をする機会が作りづらくなっていて。その状況の中で世界に通用する選手になるには、国内で男子とやるしかないと思ったんです。

それにこれまでもAJAF全日本以外の大会では男子の部にも出ていて。そういうとこって体重無差別しかないビギナーズクラスが多くて、対戦相手が初心者とはいえ100キロとかの男子と対戦しないといけないんですね。それでも勝っていたので体重別のAJAF全日本ならどうにかなるかなと。表彰台ぐらいは狙えると思っていました。

––––実際、優勝したわけですが勝因はなんだと思います?

基本的にフォームでしょうね。私は握りにはすごい自信があって、そのためのトレーニングもしてきました。
腕の長さ(長いと有利と言われている)とか力以前の問題として、握りの時点で勝っていればほぼいけるなと。競技中に変なところに力が入ったりしない限りは大丈夫だろうなって思っていました。

普通の女の子の白く細い指からパワーが生み出される

––––「握りに自信がある」っていうのは握力が強いということ?

握力もあるけど、それだけじゃない。相手と手を握ったときに自分の当てたいところ、指の掛かり方とか手の平の位置とかいろいろあるんですけど、そういう勝つために譲れないポジション、自分のパワーポイントをどう作れるかってことが大事で。

そこの感触を見極めるのは難しいんですけど、最初にそのポジションを取れれば私は相手がどう動かそうしても絶対に離さない。だからスタートの握りさえしっかりできれば勝てるっていう自信があったんですよ。

しかも、今回の決勝の相手には一度予選で負けていて。私は敗者復活から上がっての対戦だったから、おそらく相手はまた勝てると思ってたんじゃないかと。試合を見ている人達もみんな私が負けると思っていて、そこで最初の1本を返せたので、私自身すごいテンションが上がってしまった。その流れのまま2本目も行けたので勝った瞬間は「やってやった!」ぐらいの気持ちでした(笑)。

––––新チャンピオンの誕生ですね。周りの反応はいかがでした? 「なんで男子の大会に女子が参加するんだ」みたいな苦言があったと聞きましたが……。

男子なのに女子に負けた選手として晒し者にされてしまうことを心配する声があったっていうのは知っています。でも、ほとんどは「女性でも勝てることを証明してくれた」「よかった」って反応でした。特に私の周りは「A2の次はA1」って盛り上がっていて、もっと上に押し上げてくれる感じでした。

––––「A1」は今回出場した「A2」の上の一番強いクラスのことですね。

はい。私の中でA1に関しては今のところ表彰台に行けるか行けないかって段階ですけど、それなりに戦えるのではないかなって思っています。

でも結局のところ自分が勝つってことよりも、私を見て「自分もできるかも」って思ってくれる女子選手がもっと出てくればいいなって。そこで向上心を持ってもらえたり、女子のアームレスラーがもっと増えたら嬉しいなって思います。

––––女性がアームレスリングをするプラス面とマイナス面を挙げるなら?

マイナス面はあまり感じていないけど、強いて言えば服装? 女性っぽい可愛いカットソーとかシャツの生地って大体伸縮性がないものが多いじゃないですか。そういうのを着ると私の場合、袖が破れるか、背中が裂けちゃう(笑)。なのでオーバーサイズの服しか着られないんですよ。

でもそれ以外は特に女性だから困ることっていうことはなくて。むしろ、アームレスリングはさっきも言いましたけど、勝負の短さとかわかりやすさとか私の中ではプラス面の方が多い。長い時間かけて積み重ねてきたものを一瞬で出せる快感というか。握った瞬間アドレナリンがバーっと出て気づいたらめっちゃ叫んでるっていう、それがもう最高に気持ちいいんですよ。

たった0.1秒でここまでストレス発散できるスポーツって他にないですし、汗もすごくかくし、全身運動になるし、体幹も鍛えられる。しかも、強くなればなるほどカロリー消費も大きいですからね。ダイエットですぐ効果を出したいとか、せっかちな人には特にオススメですよ(笑)。

取材・文/若松正子 撮影/松井秀樹

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