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〈沖縄・『おでん東大』事件〉母親殺人容疑で娘夫婦が逮捕! 有名ギャラリーイケメン店主がこだわった「売買春街」と検索履歴に残っていた「完全犯罪」の文字

集英社オンライン / 2022年12月8日 21時1分

沖縄県那覇市安里の通称・栄町にある人気飲食店「おでん東大」の店主の長濱美也子さん(58)を殺害した容疑で12月6日、沖縄県警に逮捕されたのは長濱さんの娘の許田(きょだ)美香容疑者(34歳)と夫の盛哉容疑者(34歳)。現状、夫婦は犯行を否認しているというがいったい何があったのかー。

ギャラリーはかつて“ちょんの間”といわれた社交街で…

「売買春はたしかに違法だけど、戦後、さまざまな事情があってできた街で、たくさんの人が生きてきた街です。それを単に負の歴史というひどい目線で見てつぶして作り替えてしまうのが受け入れ難かった。もっと違う街の再生はできないだろうかとも、だんだん考えるようになったんです」

2019年3月19日、沖縄の地元紙「琉球新報」に掲載されたインタビュー記事で、こう発言していたのは、許田盛哉容疑者(34)。許田容疑者は沖縄県那覇市安里の飲食店「おでん東大」の店主で、義理の母でもある長濱美也子さんを殺害したとして、12月6日に殺人容疑で逮捕された。


地元出身のアーティストらの作品を展示する「PIN-UP Gallery(ピンナップ・ギャラリー)」の運営者として紙面に登場していた許田容疑者。その活動は、複数の地元メディアに取り上げられていたが、これほど注目を浴びたのは、そのギャラリーが立地していた「宜野湾市真栄原(ぎのわんし・まえはら)」という場所とも関係がある。

許田容疑者のフェイスブックより

実は、この「真栄原」という場所は「真栄原新町」とも呼ばれ、かつては「ちょんの間」といわれる売買春店が軒を連ねた街として知られていたのだ。
街は、付近にある米軍普天間飛行場の米兵相手の「社交街」として勃興し、やがて地元住民や観光客相手の売買春街へと移行。しかし、欲望に目をぎらつかせた男性たちで賑わった一角は、2010年に始まった宜野湾市と県警による「浄化作戦」で壊滅状態となった。

ギャラリーは、かつて売買春が行われていた店舗を改装してオープンしており、冒頭のインタビューでうち捨てられた「街」への執念を語っていた許田容疑者は、無精ひげを生やし、アート系イケメンといった風情も漂わせていた。
そしてこの記事から約3年後、まったく異なる形で再びメディアの注目を浴びたことになる。

地元の番組にもよく出演していた(許田容疑者のフェイスブックより)

俳優・中尾彬も贔屓にした行列店「おでん東大」

「事件が起きたのは今年8月。『おでん東大』の店主、長濱美也子さんが、店が入居するビル内で心肺停止の状態で倒れているところを発見されました。亡くなる前日まで普段と変わらない様子で、店内も特に荒らされた様子もなかったことなどから、県警が『事件性が高い』と断定。捜査を進めていた中で、娘婿である許田容疑者と娘の美香容疑者(34)の関与が浮上し、12月6日の逮捕に踏み切ったのです」(地元メディア関係者)

事件現場となった「おでん東大」は、70年の歴史がある老舗で、「沖縄好き」として知られる俳優の中尾彬も贔屓にしていた人気店だった。「九州・沖縄の味100選店」にも選ばれており、観光シーズンには鈴なりの行列ができるほどの繁盛ぶりだったという。
亡くなった長濱さんは3代目の店主にあたり、ほぼ一人で人気店を切り盛りしていた。

おでん東大

「コロナ前は、夜の10時から深夜帯までお店を開けていましたね。自分も4回くらい行ったことあるんですけど、深夜帯にも関わらず、満席状態でしたよ。名物の『焼きテビチ』やおでんが美味しくて人気が出るのも納得でした。お店は長濱さん1人で回している時もあれば、バイトのおばちゃんがいた時もあります。常に混雑しているからお客さんと交流するような接客ではなかったですね。いつも看板は点けずに営業していたんですけど、それでも行列ができるほどの人気店でした。
ただ、違和感を感じたのが、店主が亡くなったら普通、家族なんかが閉店を伝えたり、貼り紙をしたりするじゃないですか。そんな様子がまったくなくて。だから知らずにに並んじゃう人なんかもいて、『お店開かないですよ』って伝えたこともあります」(近隣の男性店主)

別の地元住民も事件の一報を驚きをもって受け止めた。

「長濱さんとはプライベート的な付き合いはないですけど、ご挨拶くらいはしてましたね。明るくて社交的で綺麗で。みんなも言っていたんですけど、おおらかな人でしたよ。『お客さんが沢山くれたんで』ってミカンをお裾分けしてくれたこともあります。お元気でしたけど、色々と健康にも気を使ってサプリを飲んでいたりもするような方でしたので、亡くなった時は過労かな、なんて思いました。よく働く方だったので、連休とか週末といった忙しい時だけアルバイトを雇ってる感じでしたよ。私はよくテイクアウトでおでんとテビチを頼んでいました。今度お友達と東大さんのご飯をテイクアウトしてパーティしようなんて話をしてた矢先に亡くなったので、本当に悲しいです」

被害者が亡くなって、だいぶ経ってから閉店の貼り紙がされていた

地元でも知られた有名店主が巻き込まれた事件だったこともさることながら、事件の容疑者が娘夫婦であったことでも、地元では衝撃が走った。
地元メディアの報道などによると、娘の美香容疑者は、「編宇途際(あみうとぎわ)」と名乗って点描画家として活動していた。音楽スタジオの壁画を手掛けるなど、夫婦ともどもアートに傾倒していた様子がうかがえる。

娘は点描画家、親子仲は良好にみえたが…動機は金銭か?

一時は母親が経営するおでん店の2階部分で美香容疑者がバーを経営したり、アトリエのように使っていたこともあったとされ、母子関係に破綻の兆候は見出せない。

ただ、県警の捜査からは、金銭面でのトラブルの芽も見え隠れしているという。

「長濱さんは数千万円の資産を所有し、生前から娘夫婦に経済的な支援を度々していたようです。事件が起きてから約2カ月後には本島中部にある長濱さんの自宅マンションの所有権を美香容疑者が相続し、名義変更もされていたことがわかっています。美香容疑者は、遺産の一部の受け取り手続きも済ませていたとみられ、県警は、長濱さんの財産を狙って二人が犯行に及んだ可能性があるとみて、捜査を進めています」(前出メディア関係者)

地元メディアによると、容疑者の夫婦2人が、事件前にインターネットで「完全犯罪」などの情報を検索していた形跡もあったとされ、犯行が計画的なものであったこともうかがわせている。

許田容疑者と美香容疑者(許田容疑者のフェイスブックより)

前出の住民は、娘の美香容疑者らしき女性が逮捕前に見せていた姿が脳裏に焼き付いているという。

「8月10日ですかね。沖縄の旧盆の初日でしたので、救急車やパトカーはこの辺りじゃ珍しくないんですけど、サイレンがやたら近いなって思ったら警察の方が訪ねてきたんです。長濱さんが亡くなったこともそこで知って、どうやら警察は自殺と他殺両方の線で捜査しているとかで。
その時『昨日何か不審な点や物音を聞いたりしませんでしたか』って聞かれたんですけど、特にお答えできるようなことはなかったんです。ただ3週間くらい前なんですけど、女性の方が東大さんの前で長い時間、呆然と座り込んでいたんですよ。思い詰めるように肩を落としていて、一瞬目が合ったらバツが悪そうにしてました。昨日の報道を見て、それが娘さんだったんだって気づきました。あの時はかなり暗い表情でしたが、何を思っていたんですかね…」

許田容疑者がこだわった旧売春街のギャラリーは2020年9月に不審火による火災で焼失し、クラウドファンディングを募って再建を目指していたという。
事件現場の「おでん東大」の周辺は、「栄町」とも呼ばれ、古くからの歓楽街としても知られるが、許田容疑者のこだわりに符号するような側面も持ち合わせる街でもあった。

「沖縄には『真栄原』以外にも、本島中部の沖縄市に『吉原』と呼ばれる売買春地帯がありますが、真栄原同様に行政や警察による浄化作戦でほぼ壊滅状態にあります。一方で、真栄原、吉原ほどの規模ではないですが、栄町にも売買春がひっそりと行われているエリアがあるのです。許田容疑者は、表だっては語られない沖縄の戦後史の一面を彩るような街の雰囲気に惹かれてギャラリーを運営していたのかもしれません。
ただ、沖縄の日本復帰前から店舗を構える『おでん東大』も、そうした街の歴史の一端を担う存在でした。許田容疑者らが犯行に手を染めていたとすれば、そんな希少な店の歩みに自ら終止符を打つ結果になったということで、なんとも皮肉な話です」(前出のメディア関係者)

凶行の背景にあったものは何か。事件の全容解明が待たれる。

取材・撮影・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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