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「だから、はしゃいでる後輩とかがムカつくんですよ」 2度目のM−1決勝を控え、いまウエストランド井口が語る仕事とお笑いの現在地

集英社オンライン / 2022年12月13日 14時1分

2022年のM-1グランプリ・ファイナリストとなったウエストランド井口の決勝直前インタビュー! 2度目の決勝を控え、後輩芸人への悪口、自分を評価しないお笑いファンへの恨み、そして漫才にかける情熱を語り尽くす。前後編の前編。

後編「M-1ファイナリスト・ウエストランド井口が悪口を言い続ける意外な理由」を読む

めちゃくちゃ頑張ってるのに、誰からも評価されない

――井口さんはこの1年でだいぶ仕事の状況が変わりましたよね?

そうですね、下半期はだいぶ忙しくさせてもらってるっていう感じですかね。ここ数ヶ月、休みの日は全然ないし。そこにM-1もあって、ワールドカップ関係の仕事もあるんで。ありがたい限りですね。

ウエストランド 井口浩之


――下半期になって一気に仕事が増えたのは、何か理由があるのでしょうか?

どうですかね……2020年のM-1決勝をきっかけに、ちょこちょこ出させてもらえるようになって。そこからの努力がだんだん結びついてきたというか。
2021年はモグライダーとかランジャタイみたいな身近にいた芸人たちも決勝に出て、一緒に出させてもらう機会も増えたっていうのもあるとは思うんですけど。
M-1とかじゃなく呼んでもらえるようになったっていうのは、本当にありがたいですよね。

――ようやくキャラクターを認知してもらえるようになってきたんですね。

そうですね。あとは東野(幸治)さんや佐久間(宣行)さんの番組とかYoutubeに呼んでもらって、こういう感じで取り扱えばいいんだみたいなことをみんなに知ってもらえたのはあるかもしれないですね。

――最近は餓鬼レンジャーさん、Zeebraさん、Mummy-Dさん、R-指定さんという、日本語ラップ界を代表する面々のトークも仕切られていましたね。

そうなんですよ、最近はラップもめちゃくちゃやってますよ。ラップもやって、サッカーもやって、あと大物女優の対決の仲裁したりとか(笑)。ものすごい色々やってますよ。でも、これだけ色々やっても、お笑いファンが認めてくれてる感じは1ミリもない。

――井口さんは同業者の方からはすごく評価されてると思うんですよね。それこそ、東野さんとか、有吉弘行さんも「アメトーーク!」の芸人ドラフト会議で井口さんを選出されていましたし。ただ、それと比べると一般視聴者からの支持というのは……

一切ない(キッパリ)。こんなに休みなく働いてるのに、どうしたら認めてくれるんだよ! っていうか(笑)。
後輩のストレッチーズとかママタルトはちょっとテレビに出ただけで「売れた!」とかなるのに、ぼくの場合はゴールデンで冠番組持っても認められない可能性があります。たぶん、一生認められないんでしょうね。

――さすがに過小評価されすぎているようにも思えます。

普通、東野さんとか有吉さんとか、佐久間さんが言ったりしたら、いわゆる手のひら返しみたいな、俺は面白いと思ってたみたいになりそうなもんなんですけど。一切ならない。ほんと、どうなってんでしょうね。

「座王」も「うちのガヤ」も一緒

――これだけ忙しくされていると、「正直、これあんまり得意じゃないな……」という仕事が来る時もあるかと思います。

そうっすね……でもまあ、究極全部一緒っすよね、やってることは。結局わあわあ言うだけなんで(笑)。何が来ても全部それにしちゃうっていう、自分がやりやすいようにしてるというか。
どれも正直一緒なんですよね。言ったら恥ずかしいですけど、「座王」とか結局、「うちのガヤ」の時とぼくがやってること一緒じゃねえかっていうか(笑)。

――現場に合わせるのではなく、むしろ自分のやりやすいように現場を変えてしまう(笑)。

まあ、それしかできないですからね。できることならやりたいですけど。キラキラしたこともやりたいですよ。

――井口さんはよく「できることをただやるだけ」というお話をされている印象があります。ある意味、すごく冷めた仕事観というか。

ありがたいことに芸歴3年目とかで「笑っていいとも!」に出させてもらって。正直、そこから何が起きてもそんなに感動しなくなっちゃったんですよね。大御所がいても、まあせいぜい1番組に1組だし、みたいな。
だから自分でも「これ何が楽しいんだろう?」とは思います。テンションが上がることがあんまりないんですよね。

――3年目で芸能界の頂点を体験してしまった。

もうほんと、ザ・芸能界みたいなのをいきなり見てしまったというか。当然嬉しいですよ、ダウンタウンさんに名前を呼ばれたとか、さんまさんと絡んだりとか。
でも冷めてるというか。人生つまんないですよね。だから、はしゃいでる後輩とかがムカつくんですよ。後輩が「ゴッドタン」に出てはしゃいでるのとか見ても、なんにもなんねえよ! うるせえな! とか思って。

――井口さんは昨年、「地に足つけろ!」で「週刊SPA!」の裏流行語大賞を受賞されていましたね。

そうですね、浮かれてる後輩を見るたびに「地に足つけろ!」と言い続けていて。だから、楽屋から笑顔が消えましたよ。みんな楽しくなくなりましたね、それで(笑)。
それ言ってるぼくがダメになるんなら、まだ「あいつ間違ってたじゃねーか!」って言えますけど、M-1で結果も出しちゃってるから、なんも言えないし。
まあ本当は、はしゃいでるほうがいいんでしょうけどね。なんか、そういう気持ちがあんまり出てこないですよね。

――ファンとしては、はしゃいでくれたほうが応援しやすいというのはありそうです。

そうなんですよね、だから応援されないんでしょうね。「向上委員会」に出てるとか、「ダウンタウンDX」に出てるとか、すごいことだと思うんですけどね。

――いわゆるお笑い好きが見るような番組は一通り網羅されている感じはします。

まあ結局、お笑いファンなんてどうせ「ラヴィット!」に出ないと認めてくれないんで。
気づいたんですけど、「オンバト」に出て、「レッドカーペット」も出て、「THE MANZAI」は3年連続認定漫才師になって、それでもまだM-1の決勝にいるっていうコンビ、ほかにいないじゃないですか。
本当にすごいことだと思うんですけど、ついに来たかっていう感じはないし、だから何にもないんでしょうね。周りが色めき立つこともないし。

――たしかに、いわゆるネクストブレイク枠の期間があまりにも長すぎたのかもしれません。

そうっすね。でも、そこからちゃんと頑張って活躍してるって、本当にすごいことだと思うんですけどね。ネタとかも、みんな認めたくないんでしょうね。

――ネタとしてあまり評価されにくい芸風だと、ご自身でもおっしゃっていますよね。あまり作品っぽくないというか。

いやいやいや! ウケてるほうが絶対偉いですからね。どうせお笑いファンは眼鏡かけた細身のやつのネタしか評価しないんだろうけど、本心ではこっちの方がいいんだって思ってますよ。もちろん、認めてほしいですけどね、うん。まあそうはならないでしょうね。

タイタンから2組決勝進出の快挙

――今回のM-1決勝には、同じ事務所の仲間であるキュウさんも進出されました。

タイタンから2組決勝に行けたっていうのは、とにかく嬉しい。タイタンに所属契約してる芸人のエントリー、今年は6組しかなかったんですよ。それで2組決勝ですから、とんでもないことですよね。
あと、吉本以外の東京の事務所でM-1に2組同時に行ったことって、今まで1回もないんですよ。それに全然誰も気づいてないっていうか、もっと取り上げてほしいぐらいですけどね。

――一方で井口さんというと、事務所の後輩とあまり親しくしない印象もあります。

ソニーの人たちみたいに、みんなで集まってみたいな。ああいうのはないですよ。

――M-1決勝進出が決まって、LINEでの連絡とかはあったんじゃないんですか?

いやいや、決勝行っても誰からも連絡来ないですし。もうおっさんとかしかいないんで、別に友情みたいな感じじゃないですね。

――今後は井口さんが事務所の若手芸人をフックアップしていくこともあるかと思うのですが。

どうすかね……。吉本みたいに、しょっちゅう事務所でライブやってるわけじゃないんで、別にあんまり交流がないんですよね。タイタンの学校のやつらはどんどんやめるし(笑)。いつかはタイタン芸人として一緒に番組に出れたらいいなとは思いますね。

取材・文:tknoq
写真:繪鳩新

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