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「M-1を甲子園みたいに見てるとしたら、本当に嫌な老舗の強豪校と思われてるのかも」M-1ファイナリスト・ウエストランド井口が悪口を言い続ける意外な理由

集英社オンライン / 2022年12月13日 14時1分

2022年のM-1グランプリ・ファイナリストとなったウエストランド井口の決勝直前インタビュー! 芸歴を重ね、活躍の場が増えてもなお、後輩芸人の悪口を言い続けるのはなぜなのか。M-1決勝リベンジにかける思いを、あふれ出る愚痴とともに届けする。前後編の後編。

前編「いまウエストランド井口が語る仕事とお笑いの現在地」を読む

相方・河本の近況

――集英社オンラインでは先日、井口さんの相方・河本さんの配信もありました。なんというか、色々な発言をされてましたが……

あー、見てもないんでわかんないですけど、話半分ぐらいで聞いた方がいいっすよ。大体嘘なんで。変なこと言ってても、あんま気にしない方がいいっすよ。

まあ、ああいうのを喜ぶ人がいるのをどうにかした方がいいと思いますよ。ああいうのを「最高!」とか言ってるやつがいることが、ぼくは本当に不愉快です。お前、責任取ってくれるのかと思いますけどね(笑)。


ウエストランド 井口浩之

――なるほど。

大変なんだろうなとは思いますよ、それはそれで。こういう風にやった方がウケちゃうみたいになっちゃうと。

――どうしても、よりウケる方に引きずられてしまう。

やっぱ、目の前でウケるのが1番いいんで。そうなりかねないじゃないですか。ぼくらはまだライブの現場に出て、勢いのある若手の中でやってるんで、鍛えられるっていうのはありますけど。

売れてもライブに出続ける理由

――井口さんはこれだけ忙しくなってもライブへの出演を続けていますよね。なにか強いこだわりがあるのでしょうか?

テレビに出だしたらライブに出ないみたいな、吉本以外の芸人って結構そうだったんですけど、その風潮もなんか嫌いだったし。結局M-1とかキングオブコント直前になったら出てくるし。出れんじゃねえか! っていう(笑)。それに結局2ヶ月に1回タイタンライブがあるんで、ネタは作り続けなきゃいけない。

――井口さんは後輩芸人たちと、毎月2本新ネタを披露するライブを開催されてますよね。これだけ忙しい中で月に2本ネタを作るのは、かなりしんどい仕事かと思いますが。

ぼくはやりたくないっすよ、正直。でもやるしかないじゃないですか、タイタンライブがあるんで。やっぱ新ネタライブとかやって、その時はしんどいけど、結局ネタ作っといた方が後々楽というか。だから、大変なのはタイタンライブなんですよ、実は(笑)。

――なるほど、M-1よりもまずタイタンライブ対策をしなきゃいけない(笑)。

そのおかげでM-1決勝に行けてるっていうのもあるんですけどね。だからM-1出れなくなったらどうしよう、でもタイタンライブあるしな……とは思ってます。これから先どうするかはちょっとわかんないですね。

一緒に新ネタライブをやってるストレッチーズとママタルトも準決勝に残ってて、でもぼくらだけ決勝行ったんで、なんかいま気まずいんですよ。あれからLINEグループが動いてない(笑)。

爆笑問題、漫才やりすぎ問題

――事務所のトップの爆笑問題さんがいまだに漫才をやり続けてる影響でサボれないというのはありそうですね。

そうですね、タイタンライブの緊張感はもうすごいんでね。大人なお客さんが多いですし、やっぱり爆笑問題さんを見に来られてる方ばっかりなんで、ホームとも言えないし。だからこそ日々頑張ってないとっていう感じで。

――タイタンライブがある限り、M-1後もサボれないことだけは決定していると。

そういう意味で本当に嫌ですけど、褒めてもくれないし。マジで、今のぼくくらい忙しいやつを見つけて、このスケジュールの中で新ネタを毎月2本作れってなったらどう思うんだよって詰め寄りたいですけどね。

――井口さんが今年のM-1決勝進出者のなかで1番忙しい可能性はありそうです。

下手すりゃそうかもしんないですもんね、それぐらい決勝進出者が後輩たちに全部変わっちゃったんで。

――芸歴を重ねてきて、見えてくる景色が変わった部分もあるかと思います。

びっくりしますよね、決勝進出者のなかでぼくが最年長になったわけですし。芸歴ではロングコートダディの方が上だって言い張って、なんとか潜り込もうとはしてますけど。
一応、カベポスターにも言ってみたんですけど「いや、いいとも見てたわ!」って一蹴されましたね(笑)。大阪の人ならなんとか行けるかなとも思ったんですけどね。

――いいとものインパクトがあまりにも強すぎて、実際より芸歴が長く見えるという部分はある気がします。

最後の1年出てただけですからね。でも、たまにパンサーさんとアルピーさんとぼくらで3組で共演みたいなのがあると嬉しいですね。一緒に出れるようになってよかったなとは思います。

――結果的に、あの時の週替わりレギュラーが3組とも成功されてるっていうのはすごいことだと思います。

いや、よかったですよね。解散するやつもいるわけですから。すごいことです、それはね。

話題は後輩芸人への悪口へ……

――ウエストランドさんのネタの傾向として、身近な生活に関する愚痴から、徐々に社会全体への愚痴に移り変わってきた部分があると思います。なにか心境の変化などあったのでしょうか?

うーん、どうですかね。別に身近だからとか、社会的にあれだからとかじゃなくて、単純にムカつくんですよ。別に、いまだに言ってますからね。劇団員がどうとか、ラジオのハガキ職人がどうとか(笑)。調子乗ってる後輩芸人の悪口とか、なんでまだ10年前と同じテンションで怒れるんだよ、もういいだろ! みたいなことも言われますけど(笑)。
いまだにそれはそれでムカつくんで、変わんないですよ。こっちの方がウケるっていう判断だけじゃないですかね。

――もうムカつく対象も大体後輩になってきてますよね。

確かにそう考えたらそうっすね。ひどい話ですけどね(笑)。まあ結局ね、知り合っちゃったら大体みんないいやつなんで。知り合う前に悪口言い切らないといけないんですよ。

――でもそれって、普通に仲良くなった方がよくないですか……?

ぼくなんてうるさく言うんだから、気を付けなきゃダメだぞっていう教えでもあります。なんでそんな井口の前で弱みを見せるんだって、後輩たちに一応伝えとかないとっていうのはあるので。

こないだワールドカップをどうチェックしてるかみたいな密着取材がついてたんですけど、延々後輩の悪口しか言ってないんで、もうスタッフさんがマジで引いてましたよ。こんなの密着しても意味ねえよって(笑)。パーパーのあいなぷぅにも、なんで会ったこともない人の悪口をそんなに言えるんだって引かれましたし。

――わざわざライブに来て、あまり親しくもない後輩芸人の悪口を言って(笑)。

いずれは後輩たちの時代になるわけじゃないですか。ストレッチーズとかママタルトとか、たまたま今回決勝には行けなかったけど、その世代が今メインにいるわけですから。
だから常に交流はしといた方が絶対いいですからね。ぼくの場合、それが「悪口を言う」ってやり方だっただけで。

――なるほど。井口さんにとって、悪口が後輩とのコミュニケーションツールだったんですね。

そうです。で、今それを広げて神保町のよしもと漫才劇場で調子乗ってるやつがいないかとか、そういうのをこまめにチェックしてるところですね。たまに後輩をスパイとして送り込んで、楽屋の会話聞いてこいって言って。
やっぱ配信とかですごい潤ってて、投資の話とかしてるかもしれないし。してたからなんなんだって話ですけど(笑)、そういうのはやってますね。

――ちょっとでも悪口の種を集めてるんですね。

なんでそんなことしてるのかはわかんないですけど(笑)。でも、そういうやつがいると嬉しいんですよ。いい子ちゃんばっかりだと、なんかつまんないじゃないですか。

――確かに芸人界全体が優等生化している側面はあると思います。実際、M-1なんかは甲子園を見るみたいな感覚で見られている部分もあるのかなと。頑張ってるひとを応援したいみたいな。

お笑いの応援ってむずいですからね。わざと笑うわけにもいかないし。だから大変だと思いますよ、やけに応援されてる人とか。変に求められる方向に行って逆にブレちゃったりするんで。

――なるほど。それはそれで苦労があると。

だからよかったですよ、応援されないとブレようがないんで(笑)。もちろん応援してくれてる人はいるでしょうけど、そういう人は普段ライブには来ないし。
だからどう思ってるんでしょうね、他の芸人のファンの人からしたら。M-1を甲子園みたいに見てるとしたら、本当に嫌な老舗の強豪校と思われてるかもしんないですからね、ぼくらは。

――応援されないけど、実力はあるからちゃんと決勝には出てくる(笑)。

そういうところが余計嫌なんでしょうね(笑)。

M-1決勝・リベンジ

――最後に、今年のM-1決勝への抱負をお聞かせいただければと思います。

一昨年のM-1決勝に出て、全然ダメだった経験もしてるんで。その強みを活かして、同じ失敗しないようにやるだけですね。
できればキュウと一緒に最終決戦に残れたら、3組中2組タイタンだったら、もうとんでもないことですよ。そこまで行ければあとはもうどうなってもいいです(笑)。
優勝したらしたで、まあどうなんでしょうね。泣きはしないし、みんなが思ってる感じにはならないと思います。みんなが思ってる感じにさせないためにも優勝したいですね。

――優勝しても、去年の錦鯉さんみたいにはならないだろうと。

泣きながら親に電話するってことはないですね。だから別に密着しようがないっていうか。ボロアパートに住んでるわけでもないし、何にも楽しくないと思いますよ。

――確かに、今年は引越しもされてましたよね。

小綺麗な1LDKに住んでる、年相応の収入の人間が優勝したってだけですからね(笑)。ムカつくだけでしょ、なんなのコイツみたいな(笑)。
全然知らない地下で頑張ってた奴らとかでもないから、お笑いファンも喜ばないだろうし。そもそも3年目でいいとも出てたから、1回も地下芸人だったことなんかないし!
まあ、無理やりそうなってるかもしんないですね、今から地下芸人になるかもしれない(笑)。

――なんとか感動できるストーリーに仕立てあげてもらって(笑)。
本日はどうもありがとうございました。M-1応援してます!

取材・文:tknoq
写真:繪鳩新

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