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「大人になっても人生はつらい?」時代を超えて共感を集める、名作映画『レオン』の人生哲学

集英社オンライン / 2022年12月18日 15時1分

本業の落語のみならず、映画や音楽など幅広いカルチャーに造詣が深い21歳の落語家・桂枝之進。自身が生まれる前に公開された2001年以前の作品を“クラシック映画”と位置づけ、Z世代の視点で新たな魅力を掘り起こす。

殺し屋と少女の純情を描いた名作『レオン』

『レオン』
Shutterstock/アフロ

年末年始のまとまった時間だからこそ、「名前は知っているけどまだ見たことのない作品」を発掘するのも面白い。

筆者の生まれ年である2001年以前に公開された名作の数々をピックアップする「桂枝之進のクラシック映画噺」、今回はNetflixなどでも配信されている『レオン』(1994)をご紹介!

ニューヨークのイタリア街にあるアパートに住み、殺し屋として孤独に生きる男レオン(ジャン・レノ)。


隣の部屋に住む12歳の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)はある日、汚職警官のスタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン)によって家族を殺害されてしまう。
ひとり逃れることのできたマチルダはレオンに助けを求め、大切な弟を殺された復讐を企てる。
奇妙な始まり方をした関係だったが、ふたりはやがて互いに心のやすらぎを見いだし、信頼を抱き合うようになる。

殺し屋稼業の男と家族を殺された12歳の少女、現実世界ではまず交わることがないような境遇のふたりだが、共に過ごしてゆく中で、精神年齢の高いマチルダと孤独を抱えて独りで生きるレオンは互いに影響を受けてゆく。

対照的なキャラクターだと思いきや、人生観が似ているところもある、ふたりの繊細で純粋な人間性にどんどん惹き込まれていった。

マチルダのセリフに現代の若者が共感

ある日アパートで、「大人になっても人生はつらい?」とマチルダはレオンに質問する。
レオンは少し考えてから「つらいさ」と答える。
短い会話ながらもふたりのフィーリングが合う瞬間であり、印象的なシーンのひとつだ。

話題になったARフィルター

時は流れて2019年〜2020年頃、Instagramのフィルター機能で「大人になっても人生はつらい?」という字幕のARフィルターが若者世代を中心にトレンドとなっていた時期があった。
現代を生きる若者も、先行きが見通せず将来に不安を覚え、このセリフをつぶやきたくなるのだ。

フィルターを作ったのはARクリエイターのキダハルマ(20歳)。
当時のことを聞いてみると、なんと本人は一度も『レオン』を見たことがなかったとのこと。

Pinterestに埋もれたこの映画のカットを見つけて感覚的に共感し、フィルターを作って投稿したところ、なんと200万以上のインプレッションを記録したという。

きっとこのムーブメントにのった同世代もまた、『レオン』を見たことのない人が多いのだろう。
時代はおろか作品の枠までをも超えて、マチルダのセリフには共感が集まっているのだ。

唯一の相棒だった観葉植物を「俺と一緒で、根がない」と語るレオンに対し、マチルダは「大地に植えれば根を張るわ」と答える。

そして大地に根を張って生きたいというレオンの願いは、マチルダの手によってかなえられることになる。

レオンとマチルダの会話には、今の時代の人々にも共感できる純情な人生哲学が詰まっているのかもしれない。

文/桂枝之進

『レオン』(1994)Leon 上映時間:1時間51分/フランス・アメリカ

悪徳警官(ゲイリー・オールドマン)に家族を殺され、隣に住む殺し屋のレオン(ジャン・レノ)に助けを求めた12歳のマチルダ(ナタリー・ポートマン)は、復讐を決意する。やがてふたりの間には、年齢も境遇も超えた心のつながりが生まれ……。リュック・ベッソン監督のハリウッドデビュー作。

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