「リオネル・メッシはアルゼンチン代表では輝けない」ここ10年以上、常にサッカー界で議論されてきたテーマだ。所属クラブでの神がかり的なプレーが、代表チームではなぜかこれまで発揮できていなかった。
「メッシに依存しすぎる戦術が原因?」「メッシに遠慮する他の選手のせい?」「代表に対するメッシのモチベーションが低いのでは?」
様々な意見や批判が、ありとあらゆる方面、とりわけアルゼンチン国内から聞こえてきた。試合中のメッシの表情もどこか暗く、プレーを楽しめていないようにも見受けられた。
2014年のブラジルW杯の決勝でドイツに敗れ、続く2015年と2016年のコパ・アメリカ(南米選手権)でも、決勝で涙を呑んだ。メッシは「これほどやっても勝てないなんて、自分には向いていないのだろう。もう終わりだ」と、代表引退を示唆するコメントを残したほどだった。
だが、タイトルを手にできず、どれだけの批判に晒されようと、メッシの胸には常に母国への愛情があった。紆余曲折を経て迎えた、今回のカタールW杯。おそらく自身最後となるW杯で、“神の子”と呼ばれる所以を、数々のスーパープレイによって改めて証明し、ついに自身にとっては、5度目の挑戦にして悲願のW杯初タイトルを手に入れた。
今回、メッシがメッシらしくプレーできたのはなぜなのか。その要因を紐解いていく。