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【セクシー男優しみけん】「酷いときは1ヶ月2本しか仕事がなかった」しみけんが語るAV新法のトバッチリ。「新人男優デビューはナシ、汁は消えました…」新たにできたリザーブ男優とは?

集英社オンライン / 2022年12月18日 16時1分

カリスマセクシー男優しみけん(43)のインタビュー。前編では、元妻のはあちゅう氏や両親、息子、思春期の娘など『家族との関係』を語ってもらった。常にセクシー男優という仕事に誇りを持ち、新しい生き方を切り拓くように生きてきた、しみけん。だが実は今、セクシー男優業界が窮地に立たされている。原因は今年6月より法案が執行した「AV新法」にあるという。今、セクシー男優業界で何が起きているのか――。

ギャラだけもらって逃げる…美人局みたいなのが現れるかも

「実は、一時期は撮影数が激減して、月たった2本になったときがありました。目も当てられない状況で愕然としました」

灼けた肌に白い歯を見せインタビューに応じる、カリスマセクシー男優のしみけん(43)。記者の質問にジョークで返し笑顔をみせるものの、今、セクシー男優業界には暗雲が漂っているという。


険しい表情のしみけん

6月15日、「AV新法」と呼ばれる「AV出演被害防止・救済法(略称)」が成立した。
この法律は、アダルトビデオへの出演の強要を防ぐため、AVの制作メーカーなどに規制を求める法律だ。主な内容は以下の3点となる。

① 契約書面の締結・交付から1ヶ月間の撮影禁止
② 全ての撮影が終了した時から4ヶ月間は公表禁止(発売禁止ではない)
③ AVの出演から1年間(新法施行後2年は2年間)無条件で出演契約を解除できる。ただし、出演者は契約の解除をしても、損害賠償責任を負うことはない。

この規制によりAVメーカーだけでなく、「AV女優やAV男優も仕事に大きな支障が出ている」としみけんは説明する。

「AV新法ができてから『どうやったら法整備ができるのか?』っていうことで、みんながあたふたして、ほぼ全てのメーカーで現場が止まっちゃったんです。法案が提出されてから、約3か月でスピード成立して、しかも成立から2週間という速さでスピード施行もされちゃったから、業界側の準備が追いつかず、契約の書類ひとつにしてもどうしていいのかわからなかった。

ようやく最近は現場も落ち着いてきて、徐々に仕事ができる状況にはなってきましたが、以前のようには戻らないですね。というのも、僕の場合、『単体女優さんのデビュー作の担当』の仕事がほとんどなので。最近、メーカーがリスクを恐れて新人の採用数を減らしているんです」

3か月で成立したAV新法に現場は混乱した

――なぜ新人女優の作品制作にはリスクがあるのでしょうか?

だって、ギャラだけもらって逃げる……美人局みたいなのが現れるかもしれないでしょ。新法以前は多くて50本、少なくとも月20本程度の撮影だったんですが、今夏は2本の月とかもあって、それこそ新人で糞を食っていたときより仕事がない状態でした。今はだいぶ戻ってきていますが、AV全体の撮影本数が減っているので、月に15本程度です。つまり、新人女優さんのデビューは25%減になりました。

さらに男優のデビューはメーカーが大いに警戒していて、新人が生まれにくくなっている。僕たちみたいに10年20年やってる人間は契約を今さら取り下げないけど、初めて出演する男優は女の子とエッチだけして契約を解除する可能性もありますからね。

現場はプレミアム汁だらけ。新人男優が残る唯一の道とは…

――男優のデビューは最近ありましたか?

僕の知っている限り新人男優は新法以降ゼロです。一切入ってきていません。いつどこの現場に行っても知ってる顔ばかり。衝撃的ですよ。

もし今後、男優としてデビューできるとしたら男性側がフィーチャーされる唯一のジャンル『女性用AV』が入り口になるでしょう。そこで信用と技術を積んで僕たちのような一般的なAVにくるっていうのが残された道になるんじゃないかと思うんです。ってことは、韓国アイドルみたいなイケメンしか男優になれないってことなんです。それは今後、佐川銀次さん(※)や吉村卓さん(※)のような名男優が生まれないってことです。
イケメン男優ばかりになってしまったら、これまで日本が作り上げてきた、多彩なジャンルのエロスというものがなくなってしまう……

※佐川銀二…昭和の雰囲気が漂うドラマ作品に多く出演する頑固親父な風貌のベテラン男優
※吉村卓…美少女を変態チックに舐め回すことを得意とする個性派男優

「今後はイケメンしか男優になれない」と警鐘するしみけん

――AV業界も映画のように配役に合わせていろんな役者が揃っていたんですね。他にAV新法以降、業界に変化はありましたか?

アルバイト感覚の汁男優(※)がいなくなりました。コロナ禍の影響で大人数モノが減ったのと、不満があるとすぐ契約を取り下げるって思われていたからでしょうか。だから今、唯一仕事が入ってくるのは超ベテランの汁男優だけ。10年、20年と汁で飯を食っている、信頼のおける汁。いわばプレミアム汁です。

※汁男優…自慰行為などをして発射シーンに出演する男優。女優との性行為がなく、出演料は数千円〜1万円程度と安く、副業やアルバイトの出演者も多い

――汁男優がいないとなると、すでに撮れないAVのジャンルが出ている?

はい。その代わりってことでもないですが、新しい男優ができました。『リザーブ男優』っていう……直訳すれば『お取り置き男優』です(笑)。

メインの男優がコロナに感染したなどの理由で来られなくなった時のために、1ヶ月前にリザーブとして契約しておき、自宅などで待機してもらい、いざとなったら駆けつけて出演してもらう男優です。これまであまり仕事が多くなかった男優がリザーブ男優として潤うようになったという現象が起きてます。待機中もギャラが出るので、単純にメーカーさんの負担が増えたわけです。メーカーさんも苦労していますよね。

「AVメーカーは苦戦している」と話した

――リザーブ男優の誕生による弊害はあるのでしょうか?

もともと男優は、個人で活動するため、会社のように先輩から仕事を教わるという機会がないんです。出来るだけ現場に多く入って、そこで経験を積み、演技の幅を広げ、技術力をつけていくしかない。それが、リザーブばかりになってしまうと、その貴重な経験の機会が奪われてしまう……。家でゴロゴロしながらギャラがもらえるのですが、それでは喜んでばかりもいられないんですよ。結果的に、男優としての実力をつけるチャンスが奪われてしまっているから。
つまり、いつまで経ってもリザーブ止まりでトップ男優になれないんですよ。男優としても余程のことがないと現場をキャンセルできないですからね。それこそ体調が悪くても無理して現場にいく男優もでてくると思いますよ。

――このままだとAV業界は縮小してしまう?

実は、すでに男優を抑えられないメーカーが出てきちゃっているんです。もともと男優の数って70人程度と少ないんです。さらにリザーブ男優も必要になってきたから、監督たちは『男優がいない男優がいない』って毎日ヒイヒイ言っている状態。だから、大物の女優さんなのに男優陣が全然、豪華キャストじゃないって状況が起きています。国際試合だからトップメンバーを揃えなきゃいけないのに、予選リーグくらいのメンバーを借り出してきて、なんとか頭数揃えてるような現場になっている。
そんな状況だから、体調悪くて休みたくても休めないでしょ。なのに、新法の関係で出演者の差し替えもできないんですよね。差し替えだけは一刻も早くなんとかして欲しいですよ。

極寒全裸サッカー、70代の双子のお婆さんとも…
でもあの頃は楽しかった

――撮影1本あたりの拘束時間はどうですか?

拘束時間は減ったかもしれません。もう無理しないし、台本通りに進めるし、だから時間通りに進むことが多いですね。契約書にも時間が書いてあるんですよ。だから時間も読めるし、撮影場所も1ヶ月前に知れる。なんだったら今まで人権もロクになかったような男優も台本や香盤表を渡されるというメリットもあります。

――なぜ香盤表が渡されなかったんですか?

香盤表を渡すと男優が逃げちゃうかもしれないから(笑)。だって、これまでには現場に行ったら、『70代の双子のお婆ちゃん“イネさん”と“ヨネさん”』がいた……なんてことがありましたから。僕は、お婆ちゃんたちとスルのは、『どんなセックスするんだろう』と期待とワクワクしかなかったですが、人によってはプレッシャーとハラハラしかない人もいるかもしれません。

70代との撮影も「ワクワクしていた」と話すしみけん

――……。色々な現場があるんですね。今までで1番過酷だった現場ってなんでした?

極寒の現場ですね。山奥で寒い中、腰を振らされた『全裸でサッカー』が1番キツかった。晩秋の山で朝方3時4時から全裸でサッカー。寒いから、勃たない。やっと勃っても寒いから動きが速くなるんですよ。腰動かしてる方があったかくなるから(笑)。寒さよりはマシですが、暑いのもキツかった。昔、砂漠の真ん中でゴルフをやりながらキャディさんとプレイするっていう作品がありましたね。ADさんが熱中症になって倒れてました……。

――地上派のテレビと同じで電波少年的な体当たり企画が流行ってたんですね。

大変だったけど、ムチャクチャなことにも真剣にとりくんでいたから皆、『あの頃は楽しかった』って言っています。今の時代じゃできないことばかりですから(笑)。昔は汗かくまで腰振らされたのに、今は『無理はさせられないから、霧吹きでシュッシュッ』みたいな……。
それは居心地はいいんだけども面白みがなくなってくる。AVの醍醐味である非日常感がなくなってくるというか、予定調和になっている。汗とか息づかいとかやっぱ時間をかけないと撮れないものって出てくると思うんです。これが昭和の感覚だと言われちゃうんですけど、もう少しどうにかならないでしょうか……。

常に、アダルトビデオ業界と真剣に向き合ってきたカリスマセクシー男優・しみけん。彼がプライドをもって出演するAVには、今後、どんな未来が待ち受けているのだろうか。(文中敬称略)


取材・文/中山美里 集英社オンライン編集部ニュース班
撮影/Soichiro Koriyama

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