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コンビニおでんが絶滅寸前の危機!? コロナ禍と人手不足のなか、おでんにこだわり続けるセブンイレブンの奮闘

集英社オンライン / 2022年12月21日 13時1分

寒さが本格化する12月。筆者は「温かいおでんでも食べたいな」と近くのコンビニに入るもおでんが置いていないことに気づいた。その後も東京都内の店舗を探し回ったが、なかなか見つからない。数年前まではどこのコンビニでも販売されていたおでんが、一体どうなってしまったのか。コンビニおでん探究家の柳生九兵衛さんにコンビニおでんの現状と、「セブン-イレブン・おでんの具ランキングBEST5」を訊いた。

コンビニおでんはこの3年で激減

冬の風物詩だったが、コロナ禍では…

"冬の風物詩"おでん。コンビニに入るとふわっと漂う出汁の香りは冬の到来を感じさせてくれる。ところが、近年、コンビニ店舗におでん鍋を置かないという傾向が広まってきており、おでんを購入できない店舗が増加している。


コンビニでおでんに出会えなくなってしまっている理由のひとつとして、人手不足の問題があるとコンビニおでん探究家の柳生九兵衛さんはいう。

「コンビニ業界では慢性的な人手不足の問題を抱えていますが、なかでもおでんの取り扱いは、衛生管理や調理にも気を使いますし、ある程度の経験値が必要な商品なんです。また、賞味期限も短いため、フードロスのリスクもありますし、薄利で安価に提供していることもあり、コンビニの中では売り上げを伸ばすのが難しい商品でもあります。そのため店舗オーナーの判断によって、おでん鍋を置かないという店舗が多くなっているのが実情です」

名物おでん探究家でコンビニおでん探究家の柳生九兵衛さん

また、2020年より続くコロナ禍もおでんの販売に逆風となってしまったという。これまでは自分でトングを持って具を選ぶという楽しみがあったが、感染防止のために店員が取るスタイルが主流に。また飛沫感染などのリスクもあり、店頭に並ぶおでんというものがあまり選ばれなくなったという実情もあった。

コンビニおでんの売り上げはこの3年で激減し、おでん鍋すら置かないコンビニが多く現れるようになった。特にファミリーマートやローソンにその傾向が強い。そんななか、コンビニおでんの元祖・セブン-イレブンは他2社に比べると、今でもおでんを展開している店舗が多いというのが現状だ。

「冬になるとコンビニで好きなおでんを選んで食べるのが楽しみだったのですが、最近では取り扱い店舗も減少し、おでん種の種類自体も大幅に減ってしまっているのはとても寂しいですね」(柳生氏)

セブン-イレブンのおでんへのこだわりとは?

このようにコンビニおでんが厳しい状況にあるなかで、実際、各社はおでんをどのように展開しているのだろうか。以前は各社共に日本全体を7~9エリアに分けて、出汁の味を変えたり毎年新しい具材を出したりしていたが、ローソンとファミリーマートはコロナ禍を機に出汁の地域分けをやめたと柳生さんはいう。

「ファミリーマートは出汁の味を東日本・西日本に分けるだけになりました。ベースは焼津鰹節や枕崎鯖節、長崎のいりこを使用していて、東日本はかつおぶし強めで西日本は昆布強めの出汁にしています。そして、ローソンは昆布と鰹の出汁に全国統一しました。これまでは地域によって出汁の味わいが異なるのもコンビニおでんの魅力のひとつだったのですが、近年ではその対応が各社で異なっています」

一方、セブン-イレブンは全国での出汁の地域分けを継続していて、鰹と昆布の出汁を基本として、北海道は煮干し多め、東北・信越はイワシの焼き干し、関東は宗田鰹節、東海はむろ節、関西・北陸は昆布・鶏・牛、中国は煮干・牛・鶏、四国は煮干・鶏・牛 煮、九州・沖縄はあご・椎茸・鶏と、今でもそれぞれの地域に合わせて味を変えている。

セブン-イレブンでは地域ごとに出汁の味を変えている

「セブン-イレブンはコンビニおでんの販売を最初に開始した元祖の存在で、1977年から45年もの間、おでんを販売し続けています。現在でも唯一、地域ごとに出汁の味わいを変えるエリア分けを続けていることや、こんにゃくに入っている細かな切れ込み、人気具材のたまごや大根にしっかり味が染みるようにとほどこされた細かなひと手間や工夫などに、元祖のプライドやこだわりを感じますね」

セブン-イレブンの「ありがとうおでん」

コンビニおでんにとっては厳しい状況だが、おでん自体の需要がゼロになったわけではない。冬になれば温かいおでんが恋しくなる人は少なくないだろう。そんな要望に応えるべく、コンビニ各社は店頭販売に代わって、レトルトやチルドのおでんを販売するようになった。

「レトルトタイプのおでんは長期間の常温保存が可能なため、在庫管理しやすいのが特徴です。また消費者側にとっても買い置きができるので、保存用として“ついで買い”ができるのも大きいですね。温めればすぐ食べられるのも嬉しいポイントです」

近年レトルトおでんが広がりを見せている

セブン-イレブンおでんの具ランキングベスト5

そんななか、独自のこだわりを持っておでんを全国に届けているセブン-イレブン。コンビニおでん最多の42種類の具を販売しているが、おすすめの具材はどれなのか。
柳生九兵衛さんに「セブン-イレブンのおでんの具ランキングベスト5」を聞いた。

セブン-イレブンおでん42種類の具材の頂点は?

第5位は『味しみたまご』です。大根と同じくらいに圧倒的な人気を誇るたまごは、公式サイトで『鮮やかな卵黄色とすっきりとした後味が特長のセブン‐イレブン専用原卵を使用』と紹介されているように、こだわりの卵が使われていて黄身の色がきれいです。味がしっかり染みたセブン‐イレブンの味しみたまごは、他とは一線を画す美味しさです!」

たまごは出汁が黄身まで染みているのでしっかりと味を楽しめる

第4位は『味しみ大根』です。大根は間違いなく圧倒的人気を誇る具ですね。セブン-イレブンの大根には深めの十字の切込みが入れられていて、名前の通りしっかりと味が染みていて美味しい!というのが大きな特徴です」

大根には十字の切り込みが深めに入っていて出汁が染みやすい

5位、4位ではおでんの代名詞とも言える「玉子」「大根」がランクインしたが、3位には意外な具材が選ばれた。

第3位は『しゅうまい揚げ』です。日本中で唯一、東京都のみで販売されているレアキャラで、豚肉の旨味が際立つのが美味しいポイントです。都内の店でも取り扱いがない店舗もあるので、東京都内のセブン-イレブンで見かけたときはぜひゲットしてみてください!」

東京在住の筆者も「しゅうまい揚げ」の魅力を確かめるべく、都内のセブン-イレブンを駆け巡ったものの、結局見つけることができなかった。見つけた人はとてもラッキーなので、ぜひ味わってみてほしい。

コンビニおでん界でダントツの名作

第2位は、『なんこつ入りとりつくね串』です。出汁が染みた柔らかめなつくねの中にコリコリのなんこつが入っているので、歯応えが病みつきになります。つくね自体もおいしいのでおすすめです」

なんこつ入りとりつくね串。肉汁と出汁が合わさって美味しい

そしていよいよ第1位の発表。「セブン-イレブン・おでんの具ランキングベスト5」グランプリに選ばれたのは一体どの具だろうか…!

第1位は…『味しみ白滝』です! 白滝はカロリーを気にせず食べることができるため、ダイエット中の方でも食べやすい人気の商品です。そんな白滝には数多くの工夫がほどこされています。
まずひとつは白滝を結ばずに、こんにゃくリングで束ねてまとめている点です。そのため、このリングを切って白滝をほどけば、麺のようにすすって食べることもできるのですが、これはセブン-イレブンだけの特徴です。白滝の太さも細すぎず絶妙で、スリットが入れられているため出汁の持ち上がりも抜群。セブン-イレブンの技術とこだわりが光る逸品で、コンビニおでん界でダントツの名作です!」

白滝はこんにゃくリングで束ねられていて、これをとれば麺のように啜って食べられる

おでんの具ランキング1位に輝いたのは、なんと「白滝」だった。普段大根や玉子などメインの具材に隠れて目立たない存在だが、コンビニおでんの元祖セブン-イレブンはそんな白滝を、見事にスター級の具材に昇華させていた。

セブン-イレブンおでんを買う際は、ぜひ白滝を手にとって、凝らされた工夫を味わってみてはいかがだろうか。また柳生さんは、ランキング外では「味しみこんにゃく」「4種具材の味しみがんも」「味しみつみれ」の3つもおすすめの具材だと話す。

コンビニおでんは年々規模が縮小されており、もしかしたらいつか消えてしまうかもしれない。そんなおでんがなお愛され続けているのは、おでんは日本人の心の故郷だからだ。ぜひこの冬は、コンビニおでんで温まってみてはいかがだろうか。

まだまだ食べたいセブン-イレブンのおでん(すべての画像を見るをクリック)

取材・撮影・文/福井求

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