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海外では動画広告が連続5本続く事態も! 有料プランに加入しないと、今後“YouTubeが広告だらけになる”のは本当か

集英社オンライン / 2022年12月26日 10時1分

今、YouTubeでスキップできない動画広告が連続で再生されるというケースが増えている。もはや視聴者は広告再生なしで動画が見られる有料プランに加入しないと、快適にYouTubeを楽しむことはできなくなってしまうのだろうか? YouTube界隈の事情に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏に話を伺った。

大手企業が好ましく思わない動画増加で苦境に……

今年9月、複数の海外メディアが“YouTubeで動画を再生した際、スキップできない動画広告が連続で5本も流れる事態が起きている”と報じた。これはSNSでも大きな話題となりYouTubeの広告が今後どう変化していくのか、不安の声が集まる形となっている。

こうした動揺の声にYouTubeの公式Twitterアカウントは、「(広告の連続再生は)バンパー広告と呼ばれる最長6秒の広告で起こる可能性があります」と回答。つまり噂を否定しなかったのだ。



では、このスキップできない動画広告が最近かなり増えてきた理由はズバリなんなのか。

「これまで動画広告を出していた大手の企業が出稿を減らしており、代わりにそこまで知名度のない会社や、ベンチャー企業を中心とした出稿が増えたことが理由だと考えられます。

近年のYouTubeはヘイトを助長するような動画や、ドラマや映画をまるごと一本投稿するといった著作権法違反動画の横行など、広告主にとって好ましく思えない動画が世界的に増加した印象があります。

一方、YouTube上で自前のチャンネルを作ることで、お金を払って広告を出稿しなくても宣伝ができるようになったこともあり、元からある程度の知名度を持つ大手企業は動画広告をあまり出稿しなくなったのです」(YouTube界隈の事情に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏)

そもそもYouTubeの主な収入源は、動画広告の出稿からだっただろうのか。

「YouTubeの初期は映画やビデオ化された映像作品の予告編やミュージシャンのPVを公式広告として流すことで、映画会社、レーベル会社などから収益を得ていましたが、2006年にGoogleがYouTubeを買収。その翌年から大々的な広告表示が始まり、広告主が支払う広告掲載料金から収益を得るビジネスモデルへと移行しています」

このシステムによりYouTube側の収益は増加。さらにその収益をクリエイターへと分配するプログラムを2007年から始めたことで、動画制作を専門に行う、いわゆる“YouTuber”も生まれ、YouTubeのコンテンツは充実していきました」

こうしてコンテンツが徐々に増えていったなかで、大手広告主が好まないような動画も増えてしまったという。

「その結果、限られた広告予算しか持たず、少額の広告掲載料金しか払えない知名度の低い企業などからの出稿が主になり、YouTubeはこうした状況下でも、これまでと同水準の収益を得るために、広告の数を増やしているのだと考えられます」

クリエイターの収入源を無くさずに
広告を見ない術はない?

目的の動画を観たいがために、何本もの広告が流れ終わるのを我慢して待つ視聴者も多いだろうが、当然ながらストレスは溜まってしまう。広告が増加した現在のYouTubeで、無料のまま快適に動画を観る方法はないのだろうか。

「結論から言うと、クリエイターの収入源を奪わずに、無料のままで完全に広告を観ないようにできる方法はありません。YouTube側が加入を勧めてくる『YouTube Premium』は、広告なしで動画を視聴できますが、言わずもがな有料サービスになります」

だが、井上氏曰く、根本的解決にはならないが、広告の表示時間を短縮できる方法は、あるにはあるという。

「“動画再生時にページを読み込みし直す”、“動画広告が流れているときに、ページの左下にあるタブをクリックして『この広告の表示を停止』を選ぶ”などの方法ですね。
しかし、前者は数回に1回しか広告が消えませんし、後者はあくまで“ターゲティング広告(Google上で視聴者がどういう情報を検索したかに応じて広告の種類を変える宣伝手法)”の精度を上げるための一環で、広告を中断させるだけであり、根本的な停止に至るものではありません」

ほかにも“アドブロック”と呼ばれる、広告が表示されなくなるWebサイトへ登録したり、そうしたソフトウェアをインストールしてから視聴したりするという方法もあるそうだがが、そもそもこれらが有料であることがほとんどな上、ひいてはYouTube、そこで活動するクリエイターの収益源を奪うやり方であり、健全な方法とは言い難いという。

運用のための収益源を増やすと視聴者が離れるというジレンマ

多額の広告掲載料を払えない企業の出稿が増えたとはいえ、YouTube側も広告数を増やしたくて増やしているわけでもないという。

「広告を増やしすぎれば、当然視聴者は離れてしまいます。これは、ひとつの動画に対して事実上流せる広告量の限界があることを意味しています。そうなったときに、視聴者が離れないギリギリの範囲で増やしたのが、“動画の冒頭にスキップできない6秒から15秒の広告を連続で流す”という対応だったのではないでしょうか」

井上氏は、増加する広告が嫌ならば『YouTube Premium』に加入するしかない、というのは致し方ない流れだと語る。

「広告に頼らずに収益を上げられる『YouTube Premium』への誘導は、YouTubeにとって益のあるものでしょう。しかし、あからさまに誘導しては広告主たちからも反発を喰らいますし、そうなっては事業そのものが立ち行かなくなってしまいます。
その点“広告が嫌ならこれもあるよ?”と選択肢のひとつとして提案するのは、ビジネス的には納得できるやり方ですし、問題もありません。

そもそも“いつまでも無料で快適に”というのは、ビジネスである限り当然限界があるものです。新聞、テレビ、雑誌といった“オールドメディア”がかつて価格や品質を維持するために広告を増やしていったという歴史もあるので、今まさに同じことがYouTubeでも起こっていると言えるでしょう」

現状、多額の広告費を支払う大手の広告主は減少傾向で、連続広告表示は避けられない模様。だが、利用者にとっては不便かもしれないが、当然ながらYouTubeが慈善事業ではなくビジネスとして展開されているプラットフォームである以上、かつてのメディアが辿ったようにサービスの中身が変わっていくことは仕方のないことなのかもしれない。

取材・文/TND幽介/A4studio

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