アカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデン・グローブ賞のノミネートが発表され、映画界の賞レースも本格的に。そこで気になるのが、第95回アカデミー賞の行方。全世界で大ヒットを記録しているトム・クルーズ主演『トップガン マーヴェリック』(2022)の評価は? 台風の目となる作品は? 勝手に予想します!
アカデミー賞無冠の男、トム・クルーズがついに? インド映画が台風の目? 2023年のアカデミー賞を最速予想!
集英社オンライン / 2023年1月4日 12時1分
2023年3月12日(現地時間)に発表される米アカデミー賞。受賞が予想される話題作を、どこよりも早くお届けする。
気になる賞レースの行方は?
12月11日(現地時間)に発表された第80回ゴールデン・グローブ賞の主要部門のノミネート結果を見ると、最多は『スリー・ビルボード』(2017)の高評価も記憶に新しいマーティン・マクドナー監督『イニシェリン島の精霊』(2022/日本公開2023年1月27日)で、コメディ・ミュージカル部門の作品賞をはじめとする最多7部門で8ノミネート。
続いて、『ミッドサマー』(2019)で知られるスタジオA24の異色アクション・エンタテインメント『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022/日本公開2023年3月3日公開)が6部門でノミネートされた。
ゴールデン・グローブ賞は“アカデミー賞の前哨戦”として名高いが、近年は主催するハリウッド外国記者クラブ(HFPA)が、会員の人種の偏りや、取材方法が排他的だと批判されて話題に。
組織改革として2021年から会員の枠を広げ、今年は各国の国際映画批評家連(FIPRESCI)所属会員にも投票権を与えた。
その結果が、2023年1月10日(現地時間)に行われる授賞式にどのような影響を及ぼすのか注目したいところ。もっとも、同じく“アカデミー賞の前哨戦”と言われるサテライト賞やシカゴ映画批評家協会賞など米国内で行われている映画賞は大体、ゴールデン・グローブ賞のリストと同じ顔ぶれ。
1月24日(現地時間)に発表されるアカデミー賞のノミネートもこの辺りから選ばれそう。
コロナ禍の映画界を救った『トップガン マーヴェリック』の功績
ここで注目したいのが、トム・クルーズの『トップガン マーヴェリック』が、ひょっこりゴールデン・グローブ賞のドラマ部門作品賞にノミネートされていること。
エンタメの王道が受賞⁉︎ いや、アカデミー賞無冠の男トム・クルーズは遂に栄冠を!? という妄想も、満更夢ではなさそう。
作品の評価も高くオンラインデータベースIMDbによると映画賞に89ノミネートされ、26部門で受賞(12月20日現在)。その中には、映画製作者の教育機関アメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)・アウォードのMovie Of The Yearの1本に選出されていたり、ナショナル・ボード・オブ・レビュー(米国映画批評会議)での最優秀作品賞受賞。さらにトム自身もハリウッド批評家協会賞などで主演男優賞にノミネートされている。
何より全世界で大ヒットを記録し、日本の興行収入は約135億円。全米では興行収入7億1873万米ドル(日本円で約955億9146万円)を記録し、全米歴代興行記録第5位につけている(2022年12月20日現在)。
コロナ禍で映画興行が厳しくなる中、プロデューサーでもあるトムは頑なに配信を拒み、大スクリーンでの公開にこだわった。まさにコロナ禍の映画界を救った立役者。その貢献度も加えて、一票を投じる人もいるのでは?
インドの超大作映画が台風の目に
一方、台風の目となりそうなのが、『バーフバリ』(2015、2017)シリーズで再びインドブームを巻き起こしたS・S・ラージャマウリ監督『RRR』(2022)。ゴールデン・グローブ賞では非英語作品での作品賞と劇中歌「NAATU NAATU」でオリジナル歌曲賞にノミネート。
すでに発表されたニューヨーク批評家協会賞では、なんと監督賞に輝いている。アカデミー賞でも作品賞や監督賞をはじめとするメインの賞に絡んでくる可能性もアリ。
なんと言っても本作は、イギリス植民地時代のインドを舞台に、英国政府に敵対するビームと、体制側の警察官ラーマのふたりの英雄の友情と闘いを描き、イギリスへの恨みを200%叩き込んだような内容。
その作品が歴史の節目となった今年、欧米の映画賞をにぎわせているのは実に感慨深い。アカデミー歌曲賞ではショートリストに選出されいて、ノミネートされたらきらびやかなステージ・パフォーマンスで全世界のお茶の間を熱狂させること間違いなし。
ほか、ここ数年のアジア系隆盛の勢いにノッて『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』にも注目。
主役はゴールデン・グローブ賞で主演女優賞にノミネートされているミシェル・ヨー姉さん。アカデミー賞でも主演女優賞にノミネートされたら、彼女が体を張って出演していた香港映画で育った世代はそれだけで感涙しそう。
というわけで今年は、トムにヨー姉さん、インド映画と、エンタメの王道を歩いてきた人たちが報われる年になることを期待。そして技術賞系は『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)にお任せということで。
3月12日(現地時間)のアカデミー賞授賞式が待ち遠しくなってきた。
【ドラマ部門】
●作品賞
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)
『エルヴィス』(2022)
『フェイブルマンズ』(2022)
『Tár』(2022)
『トップガン マーヴェリック』(2022)
●主演女優賞
ケイト・ブランシェット 『Tár』(2022)
オリヴィア・コールマン 『エンパイア・オブ・ライト』(2022)
ヴィオラ・デイヴィス 『The Woman King』(2022)
アナ・デ・アルマス 『ブロンド』(2022)
ミシェル・ウィリアムズ 『フェイブルマンズ』(2022)
●主演男優賞
オースティン・バトラー 『エルヴィス』(2022)
ブレンダン・フレイザー 『ザ・ホエール』(2022)
ヒュー・ジャックマン 『The Son』(2022)
ビル・ナイ 『生きる LIVING』(2022)
ジェレミー・ホープ 『The Inspection』(2022)
【コメディ・ミュージカル部門】
●作品賞
『バビロン』(2022)
『イニシェリン島の精霊』(2022)
『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)
『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』(2022)
『逆転のトライアングル』(2022)
●主演男優賞
ディエゴ・カルバ 『バビロン』(2022)
ダニエル・クレイグ 『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』(2022)
アダム・ドライバー 『ホワイト・ノイズ』(2022)
コリン・ファレル 『イニシェリン島の精霊』(2022)
レイフ・ファインズ 『ザ・メニュー』(2022)
●主演女優賞
レスリー・マンビル 『ミセス・ハリス、パリへ行く』(2022)
マーゴット・ロビー 『バビロン』(2022)
アニヤ・テイラー=ジョイ 『ザ・メニュー』(2022)
エマ・トンプソン 『Good Luck to You, Leo Grande』(2022)
ミシェル・ヨー 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022)
文/中山治美
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