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結局、コンドームとピルだけ? 選択肢が少なすぎる避妊後進国、日本。注射、インプラント、パッチ…世界はこんなに進んでる!

集英社オンライン / 2023年1月12日 16時1分

世界に比べて認可されている避妊方法がかなり少ない日本。「コンドームとピルがあれば十分じゃないか」と思う人もいるだろうが、それだけで本当によいのだろうか。日本の性に関する課題とともに、世界の避妊方法を紹介する。

日本、避妊法の選択肢が少なすぎる説

「避妊方法と言われて思い浮かぶのは?」と聞かれて、ほとんどの人が思い浮かべるのがコンドームでしょう。そのほか低用量ピルや、最近ではミレーナ(子宮内に小さな避妊具を挿入することで着床を防ぐ避妊リング)を思い浮かべる人もいるかもしれません。

では、実際にコンドーム以外の避妊方法を使用している人は日本にどれくらいいるのでしょうか。
コンドームの次に認知度が高いと思われる低用量ピルでも、普及率はわずか3%。日本にピルが導入されて20年以上経ちますが、使用している方はまだまだ多いとは言えません。



コンドームは、避妊以外に性感染症予防にも効果的な唯一の方法であり、必要であることには間違いないでしょう。一方で、コンドームをするかどうかの決定権は多くの場合、男性に握られています。女性ができる避妊方法にピルやミレーナがあるといっても、コンドームに比べて金額的・身体的に負担が大きい部分もあります。

「自分の体を守れなかったら、それは自分の責任だ」と言うことは簡単ですが、もし、女性側が自分の体を守る方法を持ち合わせていなかったら? ピルのことは知っていても、体質の問題で飲むことができなかったら? パートナーと対等な関係を築けていなかったら?

世界では、あらゆる状況下の人にも手を差し伸べられた避妊アイテムが開発されています。中には「本当にそんなもので避妊できるの?」と思う驚きのアイテムも。

今回は、避妊方法の選択の拡充を目指して「#なんでないの」という言葉をスローガンに活動する福田和子氏監修の下、世界の避妊方法を紹介します。

※主に、日本では認可されていない避妊方法を紹介します。なお、記事内の避妊の成功率は、「choisirsacontraception」の避妊方法比較表を参考にしています。

膣用コンドーム(女性用コンドーム)

日本で「コンドーム」といえば、ペニス用が主流。しかし、世界では膣内に入れて使用する膣用コンドーム(女性用コンドーム)が開発されていることをご存知でしょうか。

両側に弾力のあるリングがついた袋を指を使って膣内に挿入することで、膣の入り口から子宮口までの粘膜を覆い、精子を閉じ込める膣用コンドームは、ペニス用のものとは異なり、性行為の数時間前から装着することが可能です(射精のたびに付け替える必要あり)。

膣用コンドームの利点は、避妊効果はもちろん、女性側の対策で性感染症も防げること。避妊方法はいくつかあれど、女性側ができる「性感染症予防もできるもの」となると、ぐっと限られてしまいます。

実は以前は日本でも製造されていましたが、あまり普及せず、現在は作られていないのだそう。ぜひ復活してほしいですね。

避妊リング

日本で認可されている「避妊リング」は「ミレーナ」というT字型の避妊具ですが、ここで紹介するのはプラスチックのフープ型で、まさにリング型。ミレーナは病院で医師の処置が必要なのに対し、この避妊リングは周期に従って自分で膣に挿入します。

やわらかい材質のリングをタンポンのように膣内に挿入し、3週間入れたままにして4週目に取り出すと、生理のような出血が起きます。そして5週目に再び挿入するというサイクル。

このサイクル、ピルに似ていますが、異なる点は毎日必ず薬を飲む必要がないところ。飲み忘れによる効果の低減がないのです(もちろん、取り出し忘れには注意)。ピルと同様、月経困難症の改善や月経コントロールにも有効です。

WHOの必須医薬品リストにも掲載されており、完璧に正しく使用した場合の避妊成功率が99%以上と高い数値を誇る避妊リング。
フランスでは1ヶ月分約16ユーロなど、認可されている国でも値段は安くないようですが、イギリスやスウェーデンなど、国の保険で無料になる国も多数存在しています。

避妊注射

製品によって、医師や看護師などの医療従事者から、もしくは自分で3ヶ月に1回、注射を打つ避妊方法です。薬剤は経口避妊薬(ピルなど)に含まれている黄体ホルモンであり、ピル同様に高い避妊効果をもたらします(正しい間隔での接種で99.7%)。

体重増加などのデメリットはあるものの、3ヶ月に1度でよいというのは忙しい女性にとっては大きなメリット。保険適用で無料や安価で受けられる国が少なくありません。

避妊インプラント

こちらは皮下にマッチ棒ほどのインプラントを埋め込む避妊方法。利き腕ではない方の二の腕に入れます。その避妊効果が続く期間はなんと3〜5年! 避妊成功率も99.9%と極めて高く、「今は絶対に妊娠したくない」と考える方にはかなり期待できる方法。ただし、途中で避妊をやめたければ、インプラントを抜けばまた妊娠ができるようになります。

避妊効果の持続期間の長さや避妊効果の高さはうれしいポイントですね。

避妊パッチ

最後に紹介する「避妊パッチ」は、なんと皮膚に貼るだけ。腹部、肩、腰のいずれかに1週間貼り付けておくというもので、これも前出の避妊リングのような3週間・1週間の使用サイクルがあります。ピルと同様、月経困難症の改善や月経コントロールにも有効です。

ピル服用時と同じ副作用が起こる可能性はありますが、貼り替えは1週間に1度でOK。普段は服に隠れているところに貼るので、日常生活で貼っていて目立つこともありません。

ここまでで紹介した方法は、膣用コンドームを除いて日本では未認可であり、認可されている国でも、医師の診察や処方箋が必要となるものです。個人輸入して副作用が出ても、日本では補償されません。安易な購入は絶対に避けましょう。

「セックスするのも避妊するのも個人の権利」という意識が低い日本人

ここまで紹介した「女性側ができる避妊方法」の多くが、なぜ日本では未認可なのでしょうか。

そこには、日本人の「自分の体をどうするかは、自分が決められる。そこに男女の差はない」という意識の低さと、性行為に関する意思決定権がまだまだ男性に偏っているという背景があると考えられます。

事実、日本で低用量ピルの認可が議論されていた90年代、「低用量ピルが認可されれば、セックスの主導権を女性に握られる」「女性が性に奔放になる」なんてトンデモ記事が雑誌に掲載されたこともあったのだそう。これは何も大昔の話ではなく、たった20年前の話。

このような現状を打破するには、幼い頃からの性教育の充実が不可欠です。性について自発的に学んだり調べたりすることも大事ですが、学校で避妊の必要性と並行して、セクシュアル・リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を学べる社会の実現が求められています。

日本が「多様な避妊方法から、自分に合ったものを選べる社会」となり、ここで紹介したアイテムが珍しいものではない日が来ることを願います。

記事監修/福田和子 イラスト/森絵麻

<参考資料>
・MSDマニュアル 家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0
・choisirsacontraception(フランスの性教育サイト)
https://www.choisirsacontraception.fr/
・Contraceptive Use by Method 2019
https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/files/documents/2020/Jan/un_2019_contraceptiveusebymethod_databooklet.pdf
・#なんでないの
https://www.nandenaino.com/

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