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「“寝取られ”は夫婦関係のSDGs」“第一人者”が肌で感じる時代の変化とは? 「夫の希望は叶えてあげたい」と葛藤する妻、妻の説得に喜びを見出す夫、嫉妬を楽しむ余裕がない20代…

集英社オンライン / 2023年1月6日 17時1分

放送開始直後から、「“寝取られ”や“スワッピング”を地上波で扱う衝撃作」と話題を呼んだ連続ドラマ『夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ正式名称~』(テレビ東京)が先日、最終回を迎えた。“第一人者”として知られる唐木竹史監督が今、肌で感じている“寝取られ”を取り巻く環境の変化とは?

十数年前から「寝取られ」を撮り続ける第一人者

“寝取られ”(あるいはNTR)というジャンルがアダルトビデオ業界で確立されてから、まだ日は浅い。その昔は変態の所業と認識され、ニッチなジャンルとしてひっそりと息づいていたが、気がつけば広く浸透している。なぜここまで成熟したのか。

「20年前は女子高生モノが人気でしたが、業界の規制が厳しくなって、際どいモノが出せなくなったんです。そこで各メーカーが人妻モノに注力する中で、人気を拡大したのが“寝取られ”だったんです」



そう語るのは、AVメーカー「ゴーゴーズ」で監督を務める唐木竹史。寝取られモノがまだ珍しかった十数年前から作品を撮り続けるこのジャンルの第一人者だ。

そもそも寝取られとは、自分のパートナーがほかの相手と性行為をする状況に興奮を覚える性癖を指す。他者と性行為に及び、快楽に身を委ねるパートナーを見て、胸を引き裂かれるような苦しみと同時に興奮を覚えるのだ。

唐木はなぜ業界に先駆け、寝取られモノを撮り始めたのか。

20代に不人気なのは「嫉妬を楽しむ余裕がないから」

20年前からAV業界に携わり続ける唐木は都内近郊で生まれ育った。学生時代に知り合った照明技師に弟子入りし、映画やテレビなど撮影現場を数多く回った。その中でもAV業界は勢いがあり、ギャラもよく、さらに現場は若者には刺激的だった。気がつけばAVの仕事にのめり込み、カメラマン助手を経て、ADへとステップアップしていく。

「当時はAV業界も景気がよかったです。でも、かなりの激務でした」

朝早くから集まり、明け方まで撮影して、2、3時間寝て、という生活をしているうちに監督をやらせてもらえるようになった。はじめて撮ったのはドキュメンタリーモノ。カンパニー松尾に憧れて、カメラを片手に北海道のテレクラを回った。

唐木の大きな転機は、AD時代のある経験だった。

「今だったらありえないのですが、当時はおおらかな時代で、出演者と男女の仲になったんですね。その子が性にオープンで、あるとき自分の友達にフェラをしたことがあった。そこで無性に興奮してしまったんです」

次に付き合ったのは夜の店で働く女性だったが、その子がAV業界に興味を示したため、スカウト。心の奥底では、彼女が一流男優とカラんだときにどんな表情をするか気になって仕方なかった。

「初撮影の相手は“潮吹き名人”と呼ばれた男優さんでした。そのときの興奮たるや。寝取られが自分の性癖だと気がついた瞬間でした」

唐木に言わせれば、寝取られの性癖を持つ20代はほとんどいないらしい。若いうちは相手を束縛したり、依存したりと、「嫉妬を楽しむ余裕がないから」だと唐木は分析する。

「若い人にカメラを持たせると、局部ばかりを映すんですね。でも、寝取られ作品では違う。局部のアップよりも引きの画が大事。行為自体で興奮する人はこのジャンルを見ないでしょう。
どうしたら一線を越えられるか手に汗を握る。言うなれば、初体験のようなドキドキを取り戻すのが寝取られなんです」

挿入されて一線を越える瞬間に、すべてが詰まっている

寝取られのビデオの構成はある程度パターンが決まっている。

最初に女性と待ち合わせて、その場で夫から「寝取られ」の依頼があったことを伝える。最初は嫌がるが、夫が妻を愛するゆえに頼むのだと知り、長い葛藤の末、しぶしぶ受け入れる。

見ているほうは妻の逡巡と、長い説得の時間を楽しむ。最初のカラミまで1時間近くかかることもあるが、寝取られ好きにとってそれらのシーンは欠かせないエッセンスらしい。逡巡と説得が長ければ長いほど、そして女性の貞操観念が高ければ高いほど喜ばれるという。

「挿入されて一線を越える瞬間ですね。そこにすべてが詰まっているといってもいい」

ほとんどの女性がこの性癖を理解できず、本能的に嫌悪感を示すらしい。だが、男性からすれば理にかなっていると唐木は言う。

「成人男性の多くは本能と理性のはざまで生きています。一夫一妻制度に縛られ、本当だったらほかの女性に目が向くけど、その気持ちを押し殺しているかもしれない。そして、不倫はリスクが大きい」

テレビドラマでいくら美しく描かれても、不倫が社会悪であることは変わらず、社会的地位も失いかねない。だが、パートナーの合意がある寝取られであれば、パートナー以外との性行為を楽しめる利点がある、と唐木は力説する。もちろん性病や妊娠などのリスクは排除した上での話だ。

「先日最終回を迎えましたが、連続ドラマ『夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ正式名称~』(テレビ東京系)が地上波で放送されました。これまでタブーだったけど、夫婦関係のSDGsはそれくらい世間の関心を集めているんです」

寝取られは何歳になっても興奮できる

寝取られが世間に広く浸透したことで、TwitterのDMで連絡をもらうことも増えたという。

「『どうしたら寝取られを成功できますか?』という男性からの相談が多いですね。夫婦で僕の作品を見て、奥さんを説得する人もいるそうです」

コロナ禍以前、定期的に開催していたオフ会に、妻同伴で参加した強者もいたとか。
そこで感じたのは、「夫の希望は叶えてあげたい」という妻の思いだという。

「旦那さんは奥さんを説得することに喜びを見出している。夫婦愛の確認作業にも近いですね。葛藤の末に理解を示してくれるのが、たまらないんです」

説得のコツは「まずは一緒にAVを見る」ことだと唐木は笑う。たとえば、アイドル顔負けのイケメン男優の作品を2人で鑑賞して、そこから想像させるのが有効だという。

寝取られというジャンルはすでに飽和状態ではあるが、決して絶えることなく、ますますファンを増やすことは間違いないだろう。

「セックスがスポーツだと思うと、歳を重ねれば、体を鍛えていないと楽しめない。でも、寝取られは何歳になっても興奮できる。人間は頭で興奮する生き物。僕の作品は、単なるセックスに文脈を与える仕事なんです」

取材・文・撮影/キンマサタカ

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