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10年ぶりに「コーヒーガム」も復活中! 懐かしの「板ガム」は目線が上になる大人の香りがするお菓子だった

集英社オンライン / 2023年1月13日 13時1分

私の実家の駄菓子屋ではタバコも扱っていて、タバコが陳列されたガラスケース上の専用ラックでは板ガムが売られていた。駄菓子とは見た目も売り場も違っていた板ガム。幼いころの私には、最初はそれが食べ物なのかすらわからなかった。そんな板ガムのことを、思い出とともに掘り返したい。

子どもの頃からずっとある、ロッテの板ガム

ロッテの板ガムシリーズ

調べてみると、実家の駄菓子屋で販売していた板ガムはすべてロッテの製品だった。

戦後の食料不足の時代、日本人は甘いものに飢えていた。子どもを中心にガムの愛好者が増える中、チューインガムに将来性を見出したロッテが、製造を開始したそうだ。その中から今でも入手できるガムを紹介したい。


最初に知った板ガム

「フルーツ=健康(他よりマシ)」を信念としていた母が与えてくれた板ガムは、次の二種類だった。

ジューシー&フレッシュ

昔から変わっていない赤と黄のシンプルなパッケージ

気づいたら食べていた板ガム。ロッテの板ガムといえば条件反射的にこれが思い浮かぶ。
今回、数十年の時を経て味わった懐かしい味は、当時と少し違うような気もするが、あまりに遠い昔なので定かでない。様々な甘い香りの混じったミックスジュースのよう。
今は強めに感じるシナモンの香りは、当時、フルーツの一種だと思っていた。

クイッククエンチ

母がテニス好きだったので、この面のデザインが印象に残っている

このクイッククエンチは、CMソングをよく覚えている。ジューシー&フレッシュと違い、猛烈な酸味に驚いたものだった。

今食べてみてもかなり酸っぱく、噛んでいると思わず口元がすぼまる。レモン香料使用とあるものの、いろいろな柑橘を混ぜたような香りがする。

当時、「運動」と言えば体育の時間と鬼ごっこぐらいだった子どもの私達にとって「スポーツ用」のガムは、お兄さんやお姉さんに近づくような憧れの象徴だった。

少し冒険してみたい頃の「変わり種」

フルーツの板ガムに慣れた頃、少し変わった味にもチャレンジしたくなった。
そこで自然に手に取ったのが、次の二つだった。

コーヒーガム

このイラストを見て、コーヒーは豆を食べるものだと思っていた

開封すると、独特の香りがツンと主張する。甘くて、缶飲料のミルクコーヒーのような味だ。当時は本物のコーヒーを知らないため、この甘い味がコーヒーだと思っていたが、コーヒー=大人が嗜むものという感じがして、少し誇らしい気持ちで噛んだものだ。

また、コーヒー味のガムという製品は他にないので、『ジョジョの奇妙な冒険』に出てくる”コーヒー味のチューインガム”は、絶対にこのガムだと今は思っている。

梅ガム

“梅”という漢字が読めなかったことも、子どもとしては敬遠する要素だった

今回は写真だけで、現物入手はできなかったが、味はありありと覚えている。

食用の梅といえば連想するのはご飯と一緒に食べるしょっぱい梅干し。あの梅干しをガムにしたって美味しいはずないだろう、という予想をいい意味で裏切ってくれた梅味だった。
梅干しと違って甘いが、香りはどこか似ていて、それが癖になった。

”梅”と言わなければ、子どもでも抵抗ないので、今のお子様たちにはパッケージを見せずにチャレンジしてもらうといいかもしれない。

刺激的な大人の板ガム

小学校高学年になった頃、私はミントの板ガムに手を伸ばせるようになっていた。

グリーンガム

絵のないパッケージだったこともあり、初めて食べるまで謎が多かった

鼻を通るミントの香りが爽やか。甘さを楽しむ製品とは一線を画し、清涼感を味わうガムだ。
私の両親は、この手の刺激のある板ガムは、炭酸飲料同様、小さいうちは食べさせてはくれなかった。初めて口にした5年生か6年生の私には、慣れない刺激が強く、正直美味しいとは思えなかった。

しかし、甘いガムからの卒業をアピールするために、こればかり食べた時期があった。そんな背伸びの思い出があるガムだ。なお、現在はデザインがリニューアルされていて、この写真は1970年代のパッケージ。

クールミント

このペンギンのイラストは今でも好き。よく見るとクジラもいる

「あれは”大人のガム”だから食べられないよ」と母に言われ続け、実際に食べることができたのは中学に上がる直前だった。メントールが鼻孔を貫く刺激はグリーンガムの一段上をいくので、初めて食べたときは、驚いてすぐに吐き出してしまった。

しかし大人になるとこの刺激が、まるで人生のスパイスのようで心地よい。こちらもグリーンガム同様に当時のパッケージでのご紹介。

スペアミント

ライオンの絵が印象的だが、味の想像に結びつきにくく、当時はほぼ興味がなかった

これまた子どもの頃はほとんど口にしなかったスペアミントも、改めて味わってみると、実物のミントの味に一番忠実だと感じる。大人になるとこだわりを理解できる一品。

ブラックブラック

眠気スッキリ!のコンセプトで完全に大人向け

ブラックブラックは、クールミントと比べてみると、さらにメントールが強力。そして苦い。口の中をミントで丸洗いしたような感覚になる。

私が大人になってから一番多く噛んだチューインガムだ。仕事や運転の合間など、眠気をスッキリさせたい時、お世話になってきた。実はこれを書く今も噛んでいる。

番外編/一世を風靡したあのフルーツも

ブルーベリー、アセロラ、マスカットといった、他のお菓子でも定番になっているフルーツフレーバーは、私が中学や高校の頃、一通りのガム体験後に現れた。

それぞれ当時流行りのフルーツの味と香りだった

アセロラ味は飲み物やアイスなど、何にでも使われるほど一時大流行した記憶がある。

ここまで紹介したガムは、いずれもロッテ公式オンラインショップで発売されている。
https://lotte-shop.jp/shop/w/w-Lotte

そしてもう一つ、記憶の中にはイブというガムがあった。

まるで口紅の箱のような高級感

化粧品を連想させるパッケージが印象的で、中身がわからないため、板ガムかどうかもわからない。子どもの私には手にすることすら憚られた。

今回も入手できたのは写真のみで、結局食べることが叶わなかった。憧れの女性同様、「手が届かない」ガムとして、これからも思い出の中だけのガムになるのだろう。

ガムラックは大人への階段だった

チューインガムは「噛み終えたら紙に包んで捨てる」ものだ。

それに対し、子どもの私にとってフーセンガムは、「噛み終えたら飲み込む」ものだった。飲み込んでいたフーセンガムから、せっかくの食べ物を最後に捨ててしまうというチューインガムが手に取れ、味わった時、私は大人の仲間入りをしたような気になった。

実際、ロッテの板ガムは1980年代、20-30代の若い成人をターゲットにしていたそうで、私の実家でも板ガムは、駄菓子とタバコの中間にある商品だったのだと思う。

私の目線より高い位置に置かれた板ガム専用ラックは、背伸びしなければ届かない存在だった。甘い板ガムは下の方に、刺激の強い板ガムは上の方に並んでいたように思い出すのは錯覚だろうか。そんな板ガムのラックはまるで大人への階段のようで、上る度、自分が大きくなったと感じさせてくれた。

今でも身近にある板ガムを、これからは自分たちの子どもに、思い出とともに伝えていきたい。

文・イラスト/柴山ヒデアキ
画像提供/ロッテ

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