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【潮吹き画像あり】潮吹きが多すぎる? 大阪湾に迷いこんだマッコウクジラ“淀ちゃん”は元気になって海に帰れるのか?

集英社オンライン / 2023年1月11日 13時31分

1月9日、体長約8メートルのマッコウクジラが、大阪市西淀川区の海岸沿いにある「矢倉緑地」の近くに突然現れ、潮を吹いている。大阪湾にクジラとはかなり珍しいケースだが、いったいなぜ?

50秒に1回潮吹き⁉

大阪湾に迷い込んだと見られるマッコウクジラ。体長は約8メートル

深い海を回遊するマッコウクジラが大阪湾、それも高速道路「湾岸線」の真下の浅瀬で潮を吹きながら泳いでいるというシュールな光景が目撃されたのは1月9日の成人の日のこと。

この体長約8メートルのマッコウクジラが確認されたのは、大阪市西淀川区の海岸沿いにある「矢倉緑地」のすぐ先の海上。バードウォッチングや釣りのスポットとしても知られている。

ただ、この日はめったなことではお目にかかれないマッコウクジラが出現したとあって、普段、バードウォッチングや釣りに興味のない野次馬が押しかけ、ちょっとした騒動に。


大阪市内の天王寺から自転車でやってきたという高校1年の男子生徒が息を弾ませて言う。

「まさか、大阪湾で野生のマッコウクジラを見られるとは。天王寺からはるばる自転車で片道1時間半かけてやってきた価値がありました!」

店を臨時休業してクジラ見物にやってきたというのは、大阪市内で飲食店を経営しているという40代男性。

「淀川河口にクジラがいるというテレビニュースを見て、居ても立っていられず、店を閉めて駆けつけました。『矢倉緑地』周辺の古墳からクジラの骨が出土したという話は聞いていたけど、まさか、この21世紀に生のクジラを拝めるとは。ええもん、見させてもらいました。ありがとさんです(笑)」

クジラ見物にやってきた野次馬たちの関心は、なぜ、マッコウクジラが大阪湾に入ってきたかということ。30代の男性会社員がこう気をもむ。

「50秒に1回潮を吹いていかにも元気のように見えるけど、その場でじっと動かないまま。これはエサを追って大阪湾に迷いこんだのではない。泳ぐ元気もないほど体力が弱り、淀川河口まで流されてきたんやと思う。心配やな」

船の手前に見えるのがクジラのせびれ。この形からマッコウクジラとわかる

大阪湾にはクジラのエサはほぼない

現場で釣りをしていた70代男性もうなずく。

「このあたりは冬場は魚おらへん。せいぜい、ボラとチヌが釣れるくらいや。エサを探して大阪湾に迷いこんだという人がいるようやけど、絶対にちがうな」

ということは、マッコウクジラはこのまま淀川河口で死んでしまう運命なのか⁉

この疑問に日本鯨類研究所の田村力(つとむ)資源管理部門長がこう答える。

「エサを追って大阪湾に迷い込んだのか、体が弱って大阪湾に漂着してしまったのか、正確なところはわかりません」

ただ、可能性としては「漂着説」の方が高いという。

「マッコウクジラは深い海に潜ってイカなどを食べる生き物。大阪湾にはそうしたクジラのエサになるようなものはいません。だから、エサを追って淀川河口に迷い込んだ確率は低いと思います」

船と比較するとクジラの大きさがわかる

田村管理部門長が注目するのは淀川河口周辺の水深だ。

「この一帯は水深2~3メートルほど。そもそも、マッコウクジラはそんな浅瀬を泳ぐ生き物ではありません。しかも、とても音に敏感な習性なのに、海上保安庁の船が近づいてもスクリュー音から逃げずにずっと一か所にとどまっている。逃げたくても動けないほど、元気をなくしていると考えてもおかしくありません」

「1カ月ほどなら何も食べなくても平気」

また、50秒に1回の潮吹きも多すぎるという。

「マッコウクジラはエサを獲る時に、深海に数十分間くらいは潜ったままでも平気な生き物。海面近くでどのくらいの間隔で潮を吹くかというデータはありませんが、50秒に1度という頻度はちょっと多すぎるような気がします。」

やはり、何らかの原因で弱り、大阪湾に漂着したと考えるべきなのかも。何とか、元気になって太平洋の大海原に帰れないものなのだろうか。

過去の記録をチェックしてみた。すると、09年5月に和歌山県田辺市の海岸にやはり、体中に傷を負ったマッコウクジラが漂着したという報告が。クジラは口を開いたまま浅瀬に乗り上げ、苦しそうに体をくねらせてもがいていたという。

ただ、発見後2週間ほどすると、変化があった。その間、ほとんどエサを食べていないにもかかかわらず、突然、元気を取り戻して大海原へと帰っていったのだとか。

前出の田村管理部門長が言う。

「クジラは1カ月ほどなら何も食べなくても平気です。体調を崩して大阪湾に流されたとしても、淀川河口でじっと休んでいるうちに回復し、和歌山県田辺市の海岸にきたマッコウクジラのように海に戻っていく可能性は否定できません。いまは静かに見守ることです」

初春に大阪を賑わせてくれたマッコウクジラ。ネット上では早くも“淀ちゃん”との愛称で親しまれているが、一日も早く無事に太平洋の大海原に戻れますように。

取材・文/集英社オンラインニュース班

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