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中尾ミエ、76歳。「いつか」とか「そのうち」なんて言っていられない。 ましてや、我々は高齢者。今でしょう。挑戦を始めるのは

集英社オンライン / 2023年1月23日 11時1分

芸能生活60年超の歌手で女優の中尾ミエさん。つねに人生の目標や楽しいことに真っすぐ進んでいく力強さは、人生100年時代と言われる現代に勇気を与えてくれる。そんな中尾さんからのメッセージを『76歳。今日も良日 年をとるほど楽しくなる70代の心得帖』(アスコム)より一部抜粋・再構成してお届けする。

古臭い窮屈な老後を蹴飛ばして!

<ミエのこころえ>

50歳過ぎたら、
「いつか」とか「そのうち」なんて
言っていられない。
ましてや、我々は高齢者。
先延ばしは禁物です。
今でしょう。挑戦を始めるのは。

年寄りに襲いかかる
老化のスピードといったら
おそろしく速いんです。


「ミエさんはいつもお元気ですね」
「毎日、忙しく飛びまわっていて、疲れしらずですね」


「よく笑って。楽しそうで結構ですね」
「本当に前向きだなぁ」
そう言っていただくと私は「はい。その通りで」とお答えします。
時間を無駄にせず、元気に楽しく前向きに生きるというのは、私の信念でもあるからです。

ひと昔前までの70代のイメージといえば陽だまりの縁側で近所のじいさんやばあさん相手におしゃべりをし、日がな一日お茶を飲む腰の曲がった年寄りでした。
60歳になれば「赤いチャンチャンコを着て元気で長生きしてよかった」とみんなにお祝いをしてもらうのが幸せとされたころ。
でもそんな格好をしたがる人、今、どこにいるのかしら。

縁側の座布団に座っている70代だってそうそうお目にかかりません。
80代の女性も、今はおしゃれをして街を闊歩しています。
平均寿命は延び、人生百年時代になりました。
年齢にとらわれず、人がそれぞれの生き方を選択できる社会に、私たちは生きています。そして、この社会をつくってきたのは、ほかならぬ戦後生まれの私たち世代です。

古くさい窮屈な老後なんか蹴飛ばして、身体が動くうちに、アクティブに行動しましょうよ。
「いつかやってみようと思っているんだけど、なかなか」
「そのうちにね、何かきっかけがあればいいんだけど」
こんな言い訳をしていては、つまらない老後が待っているだけです。
時はあっという間に通り過ぎていきます。その分だけ、人は年をとります。

心と身体を動かさず、ぼんやり暮らしている年寄りに襲いかかる老化のスピードといったら、おそろしく速いんです。

やりたいことがあればできない理由を数えない

気がつくと、何かしたいという気力も消え、外に出る体力もなくなり、昨日と同じ今日を過ごすことさえできなくなってしまいます。
「いつか」と「そのうち」はありません!

やりたいことがあれば、できない理由を数えずに「今だ」と、思い切って前に進むこと。
私が声を大にして「今でしょう」と言うのは︑反面教師が身近にいたからでした。

麻雀が大好きだった私の父は、高齢になり仲間と集まることができなくなると日がな一日ソファの上で過ごすようになりました。
見るともなしにテレビをつけその前から動かない、ものもしゃべらない……。
娘の私が外に行こう、散歩に出ようと誘っても、ただ首を横に振るだけ。
どんどん無気力になり、表情も乏しくなっていきました。
そんな父の姿を見ながら、ため息とともに最後の時間を過ごすのは哀しいと、つくづく思いました。

仕事や子育て、夫の世話からも解放され、自分らしく生きることができる60代からの時間は、いわば人生のごほうびです。老いの華です。
この恵まれたときを思い切り謳歌しなくてどうするんですか。
気力が残っているうちに、ひとりでも楽しめるものを見つけて、わくわくしながら過ごしましょうよ。
母でも妻でも嫁でもない、本来の自分を大事にして、ひとつでも多くのものに触れ、多くの新しい経験を重ね、楽しまなければもったいない!

人生は有限で、一度きりなんです。

本当に楽しいことは自分にしかわからない

<ミエのこころえ>
楽しいことは
自分から見つけに行かなきゃ。
外に出かけていくんです。
いくつになっても知らないことが、
世の中にはいっぱいあるんですから。

「私には何が合っているんでしょうね」と
相談されることもあります。
本人がわからないのに、
他人の私にわかるはずがありません。


「何をしたらいいのかわからない」
そう口にする人が、多くてびっくりします。
「私には何が合っているんでしょうね」と相談されることもあります。

楽しいと感じることは、人さまざま。きょうだいだって、友だちだってひとりひとり、趣味嗜好が違います。
私は音楽が好きだから、朝起きたらすぐにラジオをかけるし、帰宅すればすぐにジャズやクラシック、ハワイアンを流し始めます。
音楽に包まれていたら、私は幸せなの。
でも、10分もすると音楽に飽きてしまうきょうだいもいます。

妹は料理が得意で、楽しげに手際よく、ちゃちゃっと何品も同時に作ってしまいますが、私は料理が苦手で、できればやりたくないほう。
同じ親から生まれ、子ども時代を共にしてさえも、楽しいと思うことは一致しなかったりするものなんです。

だいたい本人がやりたいことがわからないのに、他人の私にわかるはずがありません。
そんなことを人に尋ねるのは、「これをやってみたらどうかしら?」と誘ってくれることを期待しているのか、あわよくば、「あなたには○○の才能があると思うわ」と自分でも知らない可能性を誰かが見つけてくれると思っているのか。

誰かが親切に「○○がいいんじゃない?」と言ったところで、「う~ん、そうかな」なんて他人事とみたいに、口を濁して、やっぱり動こうとしなかったりする人も多いんです。
立ち止まったままでいるのは、本気ではないからじゃないかしら。人に期待したところで、答えは出てきません。自分で見つけるしかないんです。

ただ、これまでン十年以上生きてきて、わからなかったんですから今までと同じことをしていても、「私はこれが好きなんだ」と気づくことがあるとも思えません。
何もせずして、天から欲しいものがふってくるなんて幸運はないんです。

行動を変えて、新しい人やことに出会う

でもひとつ、方法があります。
それは行動を変えること。そして何か新しい人や新しいことに出会うこと。

テレビを消して、少しおしゃれして、外に出かけていきましょうよ。
出かけていけば、何かに巡り合います。近所を散歩するだけでもいい毎日歩いていれば、やがて顔見知りができます。「おはようございます」「いいお天気ですね」さりげない挨拶をし合う人も生まれるかもしれません。

私にも、犬の散歩で、挨拶から始まり、言葉を交わすようになった人がいるんです。
その人は会社員で、週末には魚釣りに行くんですって。
たまには「あとで持っていきますよ」と、獲れたての魚も届けてくださるんです。
その好意がうれしいでしょう。こういう縁もいいものですよ。

塀越しに見える桜が咲いた、公園のツツジがつぼみをつけた……今まで見過ごしていた四季の変化に心が動き、自分のベランダや庭先に花を植えたいと思ったりするかもしれません。

習いごとをするのも、おすすめです。身体を動かすのが好きなら、ジムやヨガの体験レッスンを、書道、歌、絵画、俳句などは、カルチャーセンターや公民館にもさまざまな講座があるはず。
パート勤めもいいと思います。年をとって働くなんて外聞が悪いと躊躇する人もいるけれど、新しい経験ができるうえにお金までもらえるのだから、一石二鳥。

それでなんやかんや言う人は、友だちでも仲間でもない、そんな人の目を気にするなんてばかげています。
「健康に役立てる」「友人を作る」「生きがいを見つける」
自分なりのこうした意義や目標を掲げると、新しいことに挑戦しやすいんじゃないかな。

76歳。今日も良日 年をとるほど楽しくなる70代の心得帖(アスコム)

中尾ミエ

2022年10月26日

1,540円

212ページ

ISBN:

978-4-7762-1230

16歳で鮮烈なデビューを飾って以来、60年。
御年76歳となった中尾ミエさんが綴る書下ろしエッセイです。
ミエさんの生き方には、つねに “やりたいこと”“楽しいこと”に向かって真っすぐに進んでいく力強さがあります。
「いつか」ではなく、「いま」動き出すこと。
挑戦を恐れないこと。
人に会いにいくこと。
でも、ひとりを楽しむ時間も大切に。
それによって、いくつになってもワクワクし、人生を楽しむことができる。
そんなミエさんのメッセージを同年代の方、まだ若い方、あるいは80代、90代の人生の先輩となる方々にお届けいたします。

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