このところ、有り難いことにインタビューや対談をさせていただくことが増えているのだが、どこに行っても「不安」という言葉を聞くことが多い。
「原田さん、読者の皆さんは将来の不安を抱えていらっしゃるのですが、どう思いますか?」
「老後の不安をどう解消したらいいのでしょうか」
「将来の不安」「老後の不安」「漠然とした不安」……名前は変われど、皆、自分の行く先になんらかの不安を抱えている。もちろん、私自身もそうだし、偉そうに指南なんてできないのだが、それならぜひおすすめしたいのが、「失職女子。」だ。
普通、いや、普通以上に高度な教育を受けた女性が職場内のセクハラや家庭環境などの理由で、うつ病となり職を失い、生活保護を受けることになっていく様子が克明に描かれているノン・フィクションである。非常に正確な記録が残っていることがすばらしい。このようなわかりやすくきちんとした文章を書ける方が生活保護を受けることになるということに、人生は何が起こるかわからない恐怖も感じる。