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「怒号、殴り合いは日常茶飯事だった」…デビュー作で監督を殴った小沢仁志。フィリピンでの命がけの撮影、ニューハーフからの助言…伝説の修羅場を明かす

集英社オンライン / 2023年1月18日 15時1分

還暦記念の主演映画『BAD CITY』(1月20日全国公開)で、壮絶アクションを見せる小沢仁志。インタビュー後編では、40年のキャリアと人生最大の危機、理想の死に様などを語り尽くす。

怒号、殴り合い…「日常茶飯事だった」

「血のり、硝煙、火薬の人生。不良役でデビューして、ギャング役にヤクザ役と、一切更正してない。アウトローな役者人生だよな。でも、それ好き。いいもん、飽きなくて」

少年時代に憧れたのは、喜劇王チャールズ・チャップリン。

「チャップリンの映画は全部見てるし、自伝や書簡もほとんど読んだ。あの時代に笑いのために命をかけて転んでいたチャップリンと、今、俺がスタントなしでアクションをやってるのは同じこと。



ビビりそうになったときはチャップリンを思い出して、『そんなんでどうすんの?』って」

インタビューに応じる小沢仁志

1983年、21歳のときにドラマ『太陽にほえろ』の犯人役でデビュー。いきなり監督を殴ったという逸話を持つ。

「それは俺がどうっていうより、そういう時代だったから。監督と主演が殴り合って撮影中止になるとか、助監督が役者に殴りかかってくるとか、日常茶飯事だった。怒号しかない、工事現場だもん(笑)。ナメられないためには、どうしたらいいか考えてた」

1984年にドラマ『スクール☆ウォーズ』、1985年に映画『ビー・バップ・ハイスクール』と相次いでヒット作に出演して注目度を上げた。当時、役者の心得を教えてくれた人はいたのか。

「いや、そんな時代じゃない。先輩たちもワルな人間ばっかりだったから、酒を飲めば殴り合いになるし。

例えば、昔、ピラニア軍団(スター・渡瀬恒彦が束ねていた大部屋俳優集団。川谷拓三、小林稔侍、片桐竜次ら)がいて。片桐さんに聞いたけど、渡瀬さんが新宿でヤクザとケンカになって、ピラニア軍団が駆けつけたんだって。

そこでヤクザに『てめぇ、どこのもんだ!』と言われて、『東映だよ、コラァ!』って言いながら殴り合ったらしい(笑)。そんな時代だったから、『仁義なき戦い』みたいなすごい映画が生まれるんだよな。

今、ヤクザ映画撮ってみ? 俺が親分役で高級車の後ろに乗ってたら、『シートベルトしてください』って言われる。反社が交通ルール守るって、おかしくね?」

20代前半で出演した『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズ(1985年/那須博之監督) 写真提供/小沢仁志

紙袋8個分のカネを持ってスラム街を歩いた

1980年代後半から、東映が「Vシネマ」を製作するようになると、小沢は哀川翔、白竜、竹内力とともに「Vシネ四天王」と呼ばれるように。

そして1990年代、『SCORE』などでプロデューサーや監督業に進出。何千万円という製作費を持って、海外に渡っていたという。

「当時のフィリピンでは、ブラックマーケットで換金したほうがトクだったんだ。それでリュックサックに何千万も詰め込んで、スラム街のディスコの2階にあるマフィアの事務所みたいなとこに行ったら、大きな紙袋8袋分のペソになった。

そんなん持ってスラム街歩いたら、『どうぞ殺してください』って感じやろ? だからマシンガン持ってるマフィアに、『俺と一緒にタクシーまで歩いてくれ。あと、俺に銃2丁くれ』って言って、スラム街のど真ん中を歩いた(笑)」

『悪党ジョーカー』(写真上、2007年/室賀厚監督)、『太陽が弾ける日』(写真下、2007年/横井健司監督)などフィリピンでの撮影も多い 写真提供/小沢仁志

数々の修羅場をくぐり抜けてきたという小沢だが、2000年代に入ってファンを驚かせたのが、バラエティ解禁だ。破天荒な逸話と「ディズニー好き」といった意外性のある素顔がウケ、お茶の間の人気者になった。

「Vシネ界は反社との付き合いが噂されたりして、イメージが最悪なわけ。芸能事務所からも、『ウチの役者は出しません』と断られまくる。だからイメージを変えて、後輩たちに真っ白いバトンを渡さないといけないと思った。

でも、芸人さんたちみたいにしゃべれるか不安でさ。背中を押してくれたのは、当時俺が片思いしていたニューハーフ。『だいたいでいいんじゃない?』って言われて、『だいたいでいいなら、できるかも』と思えたんだ」

『実録・絶縁』(写真上、2000年/石原興監督)、『愛しのOYAJI』(写真下、2007年/三石史郎監督) 写真提供/小沢仁志

2013年には、極道モノのVシネマ『日本統一』を企画。当初はDVDが主戦場だったが、動画配信サービスの台頭とともに人気に火がつき、今では50作を超えて、劇場版や地上波連ドラ版なども製作されている。

「俺らの下の世代を育てないと、ヤクザ映画が作れなくなる。そう考えて、(本宮)泰風とヤマ(山口祥行)をスターにしようと始めたのが『日本統一』。翔さんたちもサポートしてくれて波に乗ったけど、20作目ぐらいのときに、メーカーがやめようと言い始めたんだ。

そのとき泰風が『もうちょっとやらしてください』と頭を下げた。あの時点で泰風のもんだと思ってるから、そこから俺は一切口を出してない。そうしたら30作目ぐらいから配信が始まってバケたんだ。

これは理由があってね。DVDの時代はレンタル店でVシネマがAVコーナーのそばに置かれていて、女性や若い奴は怖くて見れなかったんだ。それで俺は、TSUTAYAの社長に文句言いに言ったことがあるんだけど(笑)。
でも配信なら、女性でも気軽に見始められて、不特定多数に広まった」

最期は、酒飲みながら死にたいね

さまざまな形で映像作品に携わってきた小沢。「残念なのは、アクション映画が日本に定着しないこと」と話す。

「お涙頂戴の泣ける映画はバンバン作られるのに、アクションはコストがかかるし、リスキーだっていうことで、なかなか根づかない。Vシネマでもそうだったの。ヤクザや実録ものは求められるけど、アクションはハードルが高い。

だからアクションやってたのは、俺だけだからね。ヤクザ版『ロッキー』、ヤクザ版『インディー・ジョンズ』、ヤクザ版『エイリアン』(笑)。見た人は『面白い』と言ってくれたけど、なかなか広まらない」

積年の思いを胸に、『SCORE』以来の主演に挑んだアクション映画が『BAD CITY』。これからも「生きている限りは、アクション映画を作りたい」と意気込む。

「病院のベッドでは死にたくないよね。まあ、それは大丈夫かな。俺、毎月1回、血液検査やってるから(笑)。死に様がカッコよかったのは、漫画家の梶原一騎さんの弟で、空手家の真樹日佐夫先生。

あの人、すげえ飲むんだよ。朝起きてまずビール、昼から稽古してまた飲んで、夜も稽古して飲む。

その真樹先生が、熱があって肺炎になってるのに、みんなでバーベキューやって、ガンガン飲んで。『次は俺のヨットで飲み直そうぜ』って海に行って、みんながヨットに着いたときには死んでた。

ヨットに上がる階段の3段目で、バーボンのボトル持ったままね。さすが引き際もカッコイイ。俺も、ああなりたいね」

終わり

取材・文/泊 貴洋
撮影/柳岡創平
場面写真/©2022「BAD CITY」製作委員会

『BAD CITY』(2022)
製作総指揮・脚本/OZAWA
監督・アクション監督/園村健介
出演/小沢仁志、坂ノ上茜、勝矢、三元雅芸、中野英雄、小沢和義、永倉大輔、山口祥行、本宮泰風、波岡一喜、TAK∴、壇蜜、加藤雅也、かたせ梨乃、リリー・フランキー
配給/渋谷プロダクション

「犯罪都市」の異名を持つ開港市で、韓国マフィアがヤクザの組長を惨殺。時を同じくして、五条財閥の会長が無罪放免になる。その判決に裏があると考えた検事長は、特捜班を結成。ある容疑で拘置所に勾留中の元強行犯警部・虎田誠がメンバーに選ばれる。立ちはだかる巨悪との戦い。果たして虎田ら特捜班は、五条を検挙できるのか——。

2023年1月20日(金)より全国公開。新宿ピカデリー同日18時30分〜の回の舞台挨拶に小沢仁志、坂ノ上茜、勝矢、圭叶、山口祥行、加藤雅也、かたせ梨乃、園村健介監督が登壇予定!

公式HPはこちら https://www.badcity2022.com

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