1997年に引き続き、1998年もレオナルド・ディカプリオだらけだ。『タイタニック』(1997)の配給収入が『もものけ姫』(1997)を抜いて日本歴代興収を更新。上半期は『タイタニック』が世間を席巻していた。
人気が頂点に達したディカプリオは、役者としてジレンマを抱えることになる。あらゆる役をオファーされる立場になったものの、『タイタニック』のジャック・ドーソン的なキャラクターを期待されてしまう。
が、その後、模索を続けた彼は『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)で大人の役者への脱皮に成功。これをきっかけに、巨匠マーティン・スコセッシ監督とのコラボレーションを続けて、役柄の幅を広げていくことになる。
レオさまブーム継続。女優たちはメグ・ライアン、キャメロン・ディアスら、懐かしの“ロマンティック・コメディ”ヒロインたちが人気
集英社オンライン / 2023年1月18日 12時1分
90年代は“ロマコメ”全盛期。キュートな女優たちが憧れの的に。いっぽう、レオは人気が出すぎてタイプキャスティングにうんざり? 『タイタニック』が残した傷跡は大きかった。
『タイタニック』旋風とその弊害
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『タイタニック』主演コンビがこうむった大ヒットの弊害とは?
©ロードショー1998年2月号/集英社
レオ旋風の被害者となったのが、『タイタニック』で共演したケイト・ウィンスレットだ。劇中でジャックと運命の恋におちるローズを演じたウィンスレットは嫉妬の対象となり、批判は体型にも及んだ。いわゆる「ドアにふたり乗れた」論争※が原因で、インターネットの発達とともに、「ローズが痩せていれば、ジャックは命を落とさずに済んだ」という説が幅を効かせていった。
最近『アバター ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)で再びジェームズ・キャメロン監督作品に出演したウィンスレットは、「あれはいじめで、虐待に近かった」と当時を振り返っている。
※【ネタバレ】物語の終盤、ふたりは海に投げ出されるが、流れてきた木製のドアにローズをつかまらせ、ジャックは海中へと沈んでいく。
90年代を象徴するロマコメ映画の豊作ぶり
1998年の表紙をみると、『タイタニック』を含め、恋愛映画の主役たちばかりであることに気づく。
11月号表紙のメグ・ライアンは、ロマンティック・コメディの女王だ。ノーラ・エフロンが脚本を執筆した傑作『恋人たちの予感』(1989)でその才能を発揮すると、その後、エフロン監督のヒット作『めぐり逢えたら』(1993)『ユー・ガット・メール』(1998)に出演。いずれもトム・ハンクスと共演している。
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2015年を最後に映画には出演していないメグ・ライアン…カムバックしてほしい
©ロードショー1998年11月号/集英社
10月号のキャメロン・ディアスは初登場。『マスク』(1994)のヒロインに抜擢されたのをきっかけに、『フィーリング・ミネソタ』(1996)『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997)『普通じゃない』(1997)といった恋愛映画でステップアップしてきた。そして、ファレリー兄弟監督のお下劣コメディ『メリーにくびったけ』(1998)でトップ女優の仲間入りを果たすことになる。
9月号のイーサン・ホークも表紙に初登場だ。『いまを生きる』(1989)で注目された彼は、『リアリティ・バイツ』(1994)でウィノナ・ライダーらとともにX世代を代表する役者となった。
その後も、SFドラマ『ガタカ』(1997)や小説執筆など活動は多岐にわたるが、彼のライフワークは『恋人までの距離(ディスタンス)』(1995/原題『Before Sunrise』)からはじまった、『ビフォア』シリーズだろう。
ジェシー(ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)の恋模様をリアルタイム進行で描く意欲作は、『ビフォア・サンセット』(2004)『ビフォア・ミッドナイト』(2013)と続いている。そろそろ第4弾が見たいこころだ。
ハリウッド映画がアクション大作だらけになったいまとなっては、恋愛映画が人気ジャンルとして確立されていた90年代がとても懐かしい。
最新作『チケット・トゥ・パラダイス』(2022)でジョージ・クルーニーと共演したジュリア・ロバーツも、「90年代に大量に作られたロマコメ映画を当時の私たちはきちんと評価していなかったと思う」とニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで答えている。
一世を風靡したミュージカル映画がほとんど絶滅してしまったように、ロマコメ映画も消え去る運命にあるのだろうか?
◆表紙リスト◆
1月号/ハリソン・フォード 2月号/レオナルド・ディカプリオ&ケイト・ウィンスレット※後者のみ初登場 3月号/ブラッド・ピット 4月号/レオナルド・ディカプリオ 5月号/キアヌ・リーヴス 6月号/クレア・デインズ 7月号/レオナルド・ディカプリオ 8月号/レオナルド・ディカプリオ 9月号/イーサン・ホーク※初登場 10月号/キャメロン・ディアス※初登場 11月号/メグ・ライアン 12月号/ブラッド・ピット
表紙クレジット ©ロードショー1998年/集英社
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