「ベッドに放り投げられた後、ストッキングを脱がされて…」酩酊させ「即日セックス」を繰り返した挙句に法廷では完全否認。鬼畜ナンパ塾塾長から届いた仰天リプライとは
集英社オンライン / 2023年1月19日 16時1分
「即日セックス・動画撮影」の回数を競った鬼畜ナンパ塾、リアルナンパアカデミー。2023年現在もSNSや『5ちゃんねる』界隈からの興味は薄れていないようだ。悪質ナンパ師たちが罪に問われた「リアルナンパアカデミー事件」を追いかけてきた高橋ユキ氏が綴る。
ナンパして性交数を競い合ったナンパ塾
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女性の口説きを有料で指南するナンパ塾『リアルナンパアカデミー』(以下・RNA)の塾長・Wと、その塾生らが立て続けに逮捕されたのは2018年から2019年にかけてのこと。塾生らはRNAに最高数十万円の受講料を支払い、ナンパの技術を学ぶために配布されたマニュアルを読み、塾長の指導を受けていた。
Wは塾生らにナンパの成功回数を競わせ、その内容を記録させた。ここでの“成功”とはナンパした女性とただ飲むだけではない。セックスすることを指す。
しかも彼らによるその行為は、女性が酩酊し抗拒不能に陥っているなかでなされたものであり、同意のもとによるものではなかった。このため、RNAの関係者らは準強制性交等などの容疑で相次いで逮捕、後に起訴された。すでに全員の判決が確定している。
RNAでは、ナンパして女性と性交することを「ゲット」という単位で称し、ゲット数が多いほど賞賛の対象となる。
しかし時間をかけて女性と関係を構築して「ゲット」に至るのではない。ナンパしたその日に性交することは「即」と言われ、あくまでも「即」に持ち込む回数の多さが彼らの中でステイタスとなっていた。
塾生らのなかには、この「ゲット」数を競うイベントが行われていた時期に犯行に及んだ者もいる。
裁判時の法廷の様子を盗撮・盗聴
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事件の手口はすべて共通していた。
ナンパした女性と飲みに行き、その後「ハウス」と呼ばれるRNA塾生らが使用できるマンションへ移動。ダーツで負けたほうがイエーガーやウォッカなどの度数の高い酒を飲むというルールで女性を酔わせ、さらにカードゲームでも同じルールを用いて女性を最終的に酩酊させる。そうして意識のなくなった女性と性交に及んでいた。
成功率を上げるために男2人でナンパをするという形式が多く、起訴されていた事件もほぼすべてが、ひとりの女性被害者に対して2人のRNA関係者が関わっていた。
塾生らが公判で口を揃えて証言していたのが「塾長から『合意を得た記録を残せ』と指導を受けていた」ということだ。そのため塾生らは、酩酊した状態の女性と性交する際にその様子を動画に記録し、これを「ゲット」の証明としてグループLINEに送信していた。
公判ではこの動画が事件の動かぬ証拠となった。酩酊状態の女性を「ゲット」しており、合意のもとでなされたものではない。
塾生や塾長Wの公判は、傍聴席が異様な雰囲気に包まれた。この公判だけを傍聴している者が複数おり、その一部が、法廷の様子を撮影していたからだ。ある者は、モバイルバッテリー型の録画機器を持ち込み、不自然に被告人の方へそのバッテリーを向け続けていた。むろん裁判所もこれを放置していたわけではない。
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一連の公判の途中から、開廷の折、裁判所で録音録画が禁止されていることを毎回告げるようになったが、改善されたかは不明だ。また公判後はSNSや『5ちゃんねる』のRNAスレッドにその内容が書き込まれていた。この事件を取材したため、筆者の名も時折、スレッドで目にする。
すでにRNAは塾長不在で表立った活動はなされていないにもかかわらず、2023年1月現在で、なんと61スレッド目が立てられており、界隈での興味は薄れていない様子だ。
「女は同意していた」と完全否認するが…
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判決によれば、塾長Wの指導のもと、塾生らはある期間において「ゲット」数を競い合っていた。ゲット数を稼ぐためにナンパした女性に酒を飲ませ、酩酊させ、性交に及んでいたという。
塾長Wもこの独自の方法によりナンパした女性と性交したとして3件の準強制性交等罪で起訴されていたが、「女は同意していた」と完全否認していた。
公判では被害者秘匿の措置が取られた。被害女性たちの名は伏せられ「Aさん」「Bさん」「Cさん」とされていたが、塾長Wは「女A」「女B」などと呼びながら、すさまじい早口ですらすらとこう語っていた。
「女Aに性行為しようというと同意しました。キスをして舌を絡め、胸や性器をさわり、ワンピースを脱がせました。ストッキングを脱がせる時、女Aに『一瞬腰浮かせて』というと協力して浮かせ、ストッキングを脱がせてからコンドームをつけて挿入しました」
あくまでも相手方にも意識があり、また同意も得たという主張だ。ところが当のAさんは全く違うことを述べた。当日ももちろん、彼らは動画を撮影している。
「被告人からベッドに放り投げられた後、ストッキングを脱がされて……おそらく、やられてしまったのかなと思いました。すごく具合が悪かったのですが、自分が元気だったら、意地でも逃げたいという気持ちでした……その後はほぼ覚えてないです。」
Aさんはナンパされた後にゲームを持ちかけられ、負けては飲むを繰り返させられた挙句、酩酊させられていた。事件後はふさぎこみ、メンタルクリニックなどに通っていたという。
「まあ、かなり今回のことはショック……ショックすぎて相談できず、話すらできなくて、けっこう落ち込んでしまっていました。何回も……夜寝る前とか、何も考えない時間帯に思い出しました。ショックというか、最悪というか、私的にはダメージが大きかったのでずっと引きずる状況でした。
でも、自分自身の過ちだと思っていたので、警察に相談しようという気持ちは正直なかったです。酒は飲まされていましたが、飲んで潰れた自分が悪いと思っていました」
塾長から記者に届いた呆れたDM
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動画も存在しているのに、塾長Wは最後まで犯行を認めなかった。
最終意見陳述でも「女Aについて、タクシーで帰れば帰れたはず。一般常識的にセックスの同意があると考えるのは当然。女Aは非常識」など非難を繰り返していた。最終的に塾長Wの主張は通らず、すべての犯行が認定され、懲役13年が確定している。
また、塾長Wは逮捕までTwitterアカウントも運営していた。
筆者のアカウントには、たびたび彼からのリプライが届いた。
「記者やってて女の証言だけでえん罪で有罪になって刑務所に入ってる人がたくさんいる事実も知らないんですか?警察・検察は必ずしも正義ではないし裁判官もいい加減、被害者が真実を語ってるとは限らない。曲りなりにも記者なら真実見ましょうね。」
出所後にまたリプライが届くだろうか。彼の『真実』をいつか教えてほしい。
取材・文/高橋ユキ
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