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【箱根駅伝】國學院大は主力が相次いでケガ…不安要素だらけの中の結果4位に「悔しいけど、デカい」と前田康弘監督。100回大会優勝に向けて「布石を打った」

集英社オンライン / 2023年1月18日 12時1分

第99回箱根駅伝(2023年1月2、3日)は、駒澤大の大学駅伝三冠で幕を閉じた。出雲駅伝、全日本大学駅伝ともに2位に入り、優勝候補の一角にも挙がっていた國學院大は、表彰台にあと一歩届かず総合4位。悔しさと次への期待が入り混じった箱根のレースを振り返る。

直前にチームの大黒柱が故障

「3位の青山学院大とは36秒差。前が見えていただけに悔しい。勝ちたかったですね」

息詰まるレースを4位で終え、國學院大の前田康弘監督は悔しさを隠さなかった。

主将の中西大翔(4年)が大会の約2週間前にアキレス腱をケガし、ぎりぎりまで準備を進めていたものの、大晦日の朝に出場を見送ることを決断。チームの大黒柱が走れなかったのは、あまりにも大きな痛手だった。



さらに、11月の上尾シティハーフマラソンで好走した鶴元太(2年)も、12月11日に仙骨の疲労骨折が判明。それもあって当初思い描いていたオーダーを組めなかった。

また、箱根には間に合ったものの、5区の伊地知賢造(3年)は、11月に左ひざを痛め、2週間ほど走れない時期があり、不安を残した。

エース区間の2区を任された平林清澄(2年)も、11月と12月に軽度の故障があり、1週間ずつ練習を休んだことがあった。

見方を変えれば、これほど不安要素があったにもかかわらず、3位が見える位置でレースを進めることができたのは、地力がついている証でもあるといえる。

「どこも1、2枚欠いていましたけど、うちも中西という大黒柱が走らないで4位ですからね。デカいと思います。ここまで来たか、という思いもあります」

前田監督がこう話すように、近年の國學院大は着実に強豪校へのステップを歩んできた。

若い選手の経験が大きな収穫

たしかに目標の表彰台には届かず悔しさは大きかったかもしれない。だが、来年度、再来年度を見据えれば、明るい材料も多かった大会だった。

勝負のオーダーを組みながらも、次年度以降を見据え、育成も考慮しなければいけないのが学生スポーツの難しさでもあり、醍醐味でもある。

まずは、多くの若い選手が箱根駅伝を経験できたことが、大きな収穫だった。

今回は、上原琉翔、青木瑠郁、高山豪起の3人の1年生が箱根路を駆けた。

学生駅伝デビュー戦となった上原は7区6位と好走し、チームを4位から3位へと押し上げた。

「僕ら1年生は、中西さんを目標にして、青木を先頭に、切磋琢磨しながら1年間頑張ってきました。『柱』と呼ばれるにはまだまだ力が及ばないんですけど、4年生が抜ける穴をしっかり埋められるように力をつけたい。

昨年のトラックシーズンは故障続きで試合に出られなかったので、今年はトラックシーズンから結果を残し、1年間強化して、箱根で優勝を狙えるように頑張りたいと思います」

上原はそう話し、ルーキーながら主力としての自覚は十分。箱根での活躍をステップにさらなる飛躍を誓っている。

7区で好走した1年の上原琉翔(写真中央) 撮影/北川直樹

一方で、全日本5区区間賞の青木は、終盤の叩き合いで振るい落とされ、1区12位と苦戦した。上尾シティハーフマラソンで1時間2分台と好走した高山も、8区13位と力を発揮できなかった。

「やっぱり1年生。箱根は独特な雰囲気がありますからね」と指揮官が言うように、決して3人とも満足のいく結果を残せたわけではない。

それでも、1年目からこの大舞台を経験できたことは、必ずや来年度以降の大きな糧となるはずだ。

100回大会への「布石を打ちたかった」

2年生は、“4本柱”の一角である平林が2区7位で6人抜き、山本歩夢が3区5位で2人抜く活躍をして、レースを立て直してみせた。

駅伝では悪い流れでタスキを受けると、焦りからオーバーペースになったり、単独走がうまくできなかったりと、思うように力を発揮できないことが多い。

だが、彼らは劣勢の中でもしっかりと走り切った。力がある証拠だ。今後は、チームの中でさらに重要な役割を担うことになるだろう。

さらに10区では、今回が初の学生駅伝となった佐藤快成が見事な走りを見せた。

もともと1年時から5区・山上り候補として前田監督が名前を挙げていた選手だが、ケガが長引いたこともあって、これまでなかなか出番がなかった。

4位でゴールしたアンカーの佐藤快成 撮影/共同通信

今回も、上尾シティハーフマラソンで好走を見せても、「エントリーメンバーぎりぎりの16番目かな」と前田監督が話していたほどで、出番がないのではと思われていた。

だが、それから調子を上げ、中西や鶴らが故障したこともあって、チャンスが回ってきた。

そして、佐藤はその起用に応える。区間4位と好走し、7位から4位まで順位を上げて大手町にフィニッシュした。新シーズンは主力としての活躍が期待される。

「来年に向けての布石も打ちたかった」

前田監督がこう話すように、第100回大会、101回大会に向けて、きっちりと種はまいた。

2区と5区に経験者がいることも、大きなアドバンテージだ。

箱根の区間配置を考える際に、まずはエース区間の2区と、山上りの5区を決めるという指揮官が多い。

前田監督もそうで、「2区と山(5区、6区)をある程度決めてから、他の区間を考える」と話していたことがあった。それほど重要度の高い区間なのだ。

今回は平林が2区を担い、1時間7分32秒で区間7位。また、前回は伊地知が1時間7分51秒の区間12位で走っている。

区間順位はさておいて、1時間7分台で2区を走り切ることができれば、十分にしのぐことはできる。経験が勝負を左右することもある難しいコースだけに、このタイムで走れる選手が2人もいるのは、かなり大きい。

もっとも2区を“勝負区間”にするには、さらなるレベルアップが必要ではあるが……。

5区は今回、伊地知が1時間12分27秒で区間7位だった。本人には納得のいく走りではなかったかもしれないが、不安があっても無難にこなしてみせたのは、さすがだ。準備万端であれば、さらに記録を伸ばしてくるだろう。

実は、この5区は平林も候補に挙がっていた。往路のフィニッシュ後、芦ノ湖で前田監督が冗談めかして平林に「来年は上りをやるか?」と話かけている場面に出くわした。

平林も「70分を切りたいな」と乗り気で応えていた。伊地知は2区を担える力もあるだけに、案外、その冗談めかした会話が本当に実現するかもしれない。

また、佐藤も年間を通して準備ができれば、新たな上り候補に名乗りを上げてくる可能性もある。

新たな戦力の台頭があり、主要区間の経験者が残る。
次回記念すべき100回大会で、主役の座に座るのは國學院大かもしれない。

取材・文/和田悟志
撮影/北川直樹

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