「美由紀は子どもをダシに使う」元交際者が語った、獄中死した“モンスター” 上田美由紀死刑囚の素顔。イケメン刑事にも500万円貢がせた驚愕の手口とは?
集英社オンライン / 2023年1月18日 11時1分
1月14日に獄中死した上田美由紀死刑囚。前編では最初に不審死した地元新聞記者との関係を振り返ったが、彼女の毒牙にかかった男はひとりではない。元交際相手の証言をはじめ、上田容疑者が金を無心するためにおこなった驚愕の手口にスポットを当てる。
2人目の不審死は鳥取県警始まって以来のイケメン
死刑執行を待つ広島拘置所で今月14日、食事を喉に詰まらせて窒息死した上田美由紀死刑囚(49)。6人の男性の不審死に関与したとされる彼女が最初に手がけたとされる「自殺」から4年足らずの2008年2月、再び「自殺者」が出た。
鳥取県警の現職警官で捜査2課の刑事だったBさん(当時40代)は、山中で首を吊って死亡したとされる。彼も最初の犠牲者である大手新聞記者と同じく、妻と3人の子を持つ父親で、スナック「J」で上田美由紀と出会ってしまった。
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獄中死した上田美由紀死刑囚
当時、取材を進める過程で信じ難かったのは、Bさんがやり手の刑事であっただけでなく、「鳥取県警 始まって以来の」という枕詞がつくほどのイケメンだったことだ。高校時代は国体出場したほどのスポーツマンで、中国地方の私立大学を卒業後、鳥取県警に入職。経済の知識を活かして帳簿読みに強く、本部の捜査2課を経て鳥取署刑事2課で知能犯捜査の統括をする重要な役職に就いていた。
「J」のホステスもうっとりしながらこう語っていた。
イケメン刑事に結婚を決意させた上田美由紀死刑囚
「Bさんは身長も175センチぐらいで、ほんとに男前。何年も前に捜査情報収集のために、相棒の刑事さんと来たのが最初で、そのうち一人で客として来るようになった。カラオケも上手で、いつもシャ乱Qの『シングルベッド』を歌ってました」
「美由紀」は「J」では「サトミ」の源氏名で通っていた。ホステスが続けた。
「Bさんは2007年の10月ぐらいから頻繁に来て、いつもサトミと一緒にいるようになった。携帯に保存しているお互いの子どもの写真を見せ合って、サトミが『私の子どものほうがカワイイ』とじゃれてたこともあった。
2人が不倫関係にあるという噂が警察の上司の耳にも入って、Bさんは相当怒られたみたい。サトミはBさんから500万円ぐらい貢がせた挙句、別れ話を持ち出した。何であんなイイ男がと思うけど、Bさんはホントにサトミのことが好きになってたみたい」
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Bさんの急死は「J」では知らぬ者はいなかったが、県警は極秘扱いにしていた。「J」のママはこう言った。
「亡くなる何日か前に店の女の子全員とデュエットしたのが最後になっちゃった。その時は確か『愛して愛して愛しちゃったのよ』を歌った。同じころ、喫茶店で美由紀がBさんに『これっきりにして』と別れを切り出したらしく、その後に“自殺”しちゃった。Bさんは自分の母親にも『この人と一緒になる』って言ってたみたいよ」
我が子を使ってまで男にカネを無心する最低な手口
何がそんなに男を惹きつけるのか不思議だが、「サトミ」はBさんの四十九日も明けぬうちに、次の獲物をロックオンしていた。それが、最初に詐欺容疑でともに逮捕されることになる元自動車セールスマンの男であり、強盗殺人の罪をなすり付けようとした相手だった。
この男にも家庭があり、身なりも小綺麗で仕事の評判も上々のセールスマンだったが、「サトミ」と付き合うようになってからは彼女に促されるまま「何でも屋」として取り込み詐欺などに手を染めるようになった。
「サトミ」こと「美由紀」の毒牙にかかって命を落としたとされるのは、時系列順に、前編で触れた大手新聞記者のAさん(04年5月、自殺)、借金をしたという念書を書かされていた警備会社員のCさん(07年8月、海で溺れ9日後に死亡、当時20代)、前述の刑事Bさん(08年2月、自殺)、トラック運転手の矢部和美さん(09年4月、海で遺体発見後、司法解剖で睡眠導入剤検出、当時47歳)、電器店経営の圓山秀樹さん(09年10月、鳥取市内の川で変死体で発見、当時57歳)、アパートの隣人のDさん(同、自室で変死、当時50代)の6人。
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上田死刑囚は2番目に不審死したCさんにありもしない借用書を書かせて、給料を奪ったり暴力を振るったりしていた
「サトミ」の蟻地獄にハマりかけたところで目が覚め、命拾いした男性に聞いた取材メモが残っていた。当時66歳の元ダンプカーの運転手だ。数々の男たちを破滅させた「美由紀」のテクニックとはなんだったのか。
「美由紀は子どもをダシに使う。家に招かれ、3人の子どもに『お父さん、一緒に暮らそう』とか言われると、こっちも嫌な気はしないわな。それに子どもにも電話をかけてこさせてお金を取ろうとする。『お母さんが入院しちゃって水道代が払えないから、お父さん3万円ちょうだい』とか言ってな。多い月で80万円ぐらい持ってかれたわ。
美由紀は睡眠薬を常にポーチに入れていて、オレも飲まされたようなことがある。ホテルから出てきて、美由紀と飯を食っていたら、意識が朦朧としてきて記憶がほとんどなくなって、美由紀の兄貴と名乗る男に車で家まで送ってもらったことがある。その時は何も取られなかったが、兄貴の彼女が金を使い込んだから貸してくれとか、兄貴の家をリフォームするから金を貸してくれというのもあった」
子どもに携帯を買ったら3か月で料金は60万円
さらに元交際相手は続ける。
「美由紀に持っていかれたのは貴金属と現金合わせて450万円分ぐらいかな。アパートの部屋の鍵を美由紀に渡していたら、空き巣が入って小銭やネックレスが無くなったこともあったな。それで鍵を返せといったら『兄貴に渡した』とか言いやがるから、それで鍵を替えた。
美由紀は手紙もマメで『好きだ』とか書いてくるし、子どもも『何でお父さん一緒にならんの?』とかメールを送ってきたな。美由紀と長男、長女に携帯電話も買ってあげたことがあるけど、3か月で料金が60万円とかになっててびっくりしたこともある。
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子どもたちまで使って男を破滅へと追い込んでいく
オレがもう食うに食えなくなったときには、美由紀が知り合いの議員に頼んで生活保護の申請をしてくれたことがあった。
付き合うのをやめたのは2008年の4月ごろ。オレも生活保護を受けている状態なのに、『前の旦那が亡くなったから金を貸してくれ。数日後には必ず返すから』って言ってきたから、6~7万貸した。このお金は返ってきたんだけど、もうダメだと思って、別れた。
美由紀が逮捕される3か月前ぐらいに『友達のこと、警察の車が1週間ぐらいつけてきてんねん』って電話があり、逮捕される前日にも『友達の話だけど、詐欺とかで捕まったら懲役どのくらいになるかな?』とか聞いてきた。結局自分のことだったんだろうな」
我が子を手足のように自在に操り、淡々と獲物の生き血を吸い取っては捨て、吸い取っては捨てを繰り返してきたモンスター。
何を喉に詰まらせ、人生に幕を引いたのか。最後に見たのはどんな夢だったのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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