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【箱根駅伝】帝京大が6年ぶりにシード校から陥落。「チームはいい状況だったが…」と中野孝行監督。来年の出場にも危機感を持つ

集英社オンライン / 2023年1月20日 18時1分

第99回箱根駅伝(2023年1月2、3日)で、帝京大が6年ぶりにシード権を逃した。定着していたシード校からの陥落の裏側に何があったのか。

帝京大9区の末次海斗(左)とアンカーの日高拓夢

験担ぎの靴の効果も虚しく…「本当に難しい」

帝京大は、箱根駅伝で前回(2022年)まで5年連続でシード権を獲得しており、すっかりシード校に定着していた。

ちなみに、5年連続というのは、前回までの継続中の大学では東洋大の17年、青山学院大の13年に次ぐ長さだった。

歴代の優勝校や強豪校といわれる大学でも、一つミスがあれば予選会に回ってしまう昨今の大学駅伝界において、連続してシード権を獲得することがいかに難しいことか……。荒波を乗り越えて、これまで帝京大はシード権を守り続けてきた。



しかし、今回の箱根は13位に終わり、6年ぶりにシード校から陥落した。

「今回は本当にシード権を獲る難しさを感じました。今日履いている靴は、連続シードの1回目のときに履いていた靴で、験を担いで箱根のときにだけ履いていたんですけどね……」

中野孝行監督には、大事に履いている特別なシューズがあった。箱根駅伝が終わると、翌年に備えて靴箱にしまっていたが、来年も履くかどうかは決めかねている。

「育成のチーム」ゆえの壁

帝京大は「育成のチーム」の代表格であり、毎年4年生に主力が多いのが特徴だ。

帝京大が育成のチームと呼ばれるゆえんは、スカウト事情にもある。

他の強豪校のように、“超高校級”といわれるような選手がなかなか入ってこないからだ(もっとも中野監督は、高校時代に完成された選手よりも、飢えた目をした選手を好むが)。

特に、中央大や立教大といった“ブランド校”が選手獲得に力を入れ始めてからは、その煽りをもろに受けているように思う。

それでも、4年間をかけて力を蓄えた選手が、箱根駅伝で活躍を見せてきた。

シード権を獲得していた過去5年間、箱根を走った帝京大の4年生の人数は以下の通りだ。

2018年(第94回大会・総合9位)…1人
2019年(第95回大会・総合5位)…3人
2020年(第96回大会・総合4位)…5人
2021年(第97回大会・総合8位)…4人
2022年(第98回大会・総合9位)…6人


2018年、2019年は少なかったが、2020年以降は約半数のメンバーが入れ替わることになった。毎春、主力の大半が卒業し、「戦力ダウンは必至」と書くのが恒例となっていた(もっとも、これこそが学生スポーツの本来の姿なのかもしれないが)。

それでも帝京大には毎年、新たなヒーローが誕生し、逆境をはねのけてきた。

チーム力は充実していたが…

しかしながら、今シーズンは、箱根駅伝で4年連続3区を好走した遠藤大地、2年連続5区区間賞の細谷翔馬(現・天童市役所)ら、例年以上に多くの主力が卒業した。

まさに帝京大にとって正念場だったのだ。実際、全日本大学駅伝の出場権を8年ぶりに逃すなど、シーズンを通して、目立った活躍を見せられずにいた。

そして、箱根駅伝でも苦戦を強いられた。

ただ、中野監督に言わせれば、箱根を迎えるに当たって、決してチームの状態が悪かったわけではなかった。

箱根経験者の一人、福島渉太(2年)が直前のケガで16人にエントリーできないという誤算はあったものの、「13区間あったらよかった。10人を選ぶのが難しかった」と言うほど、チーム力は充実していた。

「1区から3区を1区間だと思って、そこを10番前後でしのいで、4区で一桁に上げて、っていう算段でいたんですけど……」(中野監督)

1区にエース格の小野隆一朗(3年)、花の2区には昨年3月の日本学生ハーフマラソンで好走した西脇翔太(3年)、3区には10000mチームトップの小林大晟(2年)と、チーム上位の実力者を並べた。

1区の小野隆一朗(左)と2区の西脇翔太

序盤の苦戦は織り込み済みだったものの、予想以上に苦しみ、序盤からレースの流れから弾き出され、その算段が崩れた。

3区を終えた時点で17位と大きく出遅れると、4区と5区で順位を上げたものの、往路は14位で終えた。シード権までは3分超の大差がついていた。

復路では、8区の山中博生(2年)が区間6位と追い上げを見せた。

しかし、その好走も実らず。結局、最後までシード権争いに加われないまま、13位でレースを終えた。

来年の箱根は「出ないといけない大会」

「最後の粘りとか辛抱っていうのが足りなかったのかな。泥臭いことは当然必要だし、やってきたつもりだったけど、“つもり”になっていたのかな……。

チームはいい状況だったけど、うまく機能しなかった。ということは、私の見立てが悪かったのかもしれません」

連続シード権が途切れ、中野監督は悔しさを募らせていた。

新シーズンは6年ぶりに箱根予選会からの出発となる。この予選会というのがなかなか厄介だ。

「予選会は“通ればいい”と考えていたら、足をすくわれることになる。ずっと出ていたチームでも、予選会で落ちることがありますから」

箱根経験者は、前回を含めると8人も残るが、中野監督は危機感をつのらせている。

「予選会を知っているのは、私とコーチぐらいしかいないので、甘く考えていてはダメ。
来年の100回大会は出られるか出られないかではなくて、出ないといけない大会。そして、上位校にチャレンジしたい」

今年10月の予選会には、抜かりのない準備をして臨むつもりだ。そして、再びシード校への返り咲きを狙う――。

取材・文/和田悟志
撮影/北川直樹

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