ソニーが新しく発表したウォークマン「NW-A300」シリーズは、音楽再生のほか、3.6インチのHDディスプレイで動画も見られる手のひらサイズのマルチメディアプレーヤーです。
約3年ぶりとなるソニーの最新ウォークマン「NW-A300」が登場。スマホ再生が主流の時代に「音楽専用機」を持つメリットとは?
集英社オンライン / 2023年1月26日 11時1分
ソニーが約3年ぶりにポータブルプレーヤー「ウォークマン」の新しい入門機「NW-A300」シリーズを発売する。モバイル環境でのコンテンツ視聴はスマホが主流となったいま、音楽再生を中心とする“専用プレーヤー”を持つことにメリットはあるのか? 最新のウォークマンを試しながら検証してみた。
音楽・動画配信、ハイレゾ再生も楽しめる
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ソニーが1月27日に発売するハイレゾ対応のウォークマン「NW-A300」。3.6インチのHDディスプレイで動画視聴も楽しめる
1月27日から発売を予定しており、内蔵ストレージの容量が異なる2種類の製品が登場します。価格は、ソニーのオンラインストアでは32GBの「NW-A306」が46,200円(税込)、64GBの「NW-A307」が57,200円(税込)。microSDカードに保存した音楽ファイル等のコンテンツ再生にも対応します。
ウォークマン「NW-A300」シリーズは本体にAndroid 12と、Wi-Fiによるインターネット接続機能を搭載しています。Apple MusicにSpotify、YouTubeなど音楽・動画系ストリーミングサービスのアプリも追加可能です。
スマホと違う点は、セルラー通信機能を搭載していないので、Wi-Fiに接続できない環境では、アプリで視聴したいコンテンツ探してオンデマンド再生することができません。外出前にあらかじめ本体のストレージ、またはmicroSDカードにコンテンツをダウンロードするか、またはスマホのテザリングやWi-Fiスポットの利用が求められます。
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6.1インチのGoogle Pixel 7(写真右)とサイズを比較。Android OSにアプリを追加して、多様なコンテンツのサウンドを高品位に味わえる
NW-A300シリーズはCDの音質を超えるハイレゾ(ハイレゾリューション・オーディオ)と呼ばれるコンテンツの再生に対応しているのもポイント。そして、CDからパソコンに取り込んでからウォークマンに保存した音源、音楽ストリーミング、YouTubeなど動画やゲームの音声も、「DSEE Ultimate」というソニー独自の変換処理技術によりハイレゾ級の「いい音」で聴けます。
新ウォークマンはどのくらい「いい音」?
では、新しいウォークマンのサウンドはどのくらい「いい音」なのでしょうか。NW-A306とiPhone 14 Proに、同じハイレゾ対応のイヤフォンを接続して音質を比較試聴しました。なお、iPhoneにはヘッドフォンジャックがないので、イヤフォンをつなぐためにApple純正のアクセサリー「Lightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ」を使っています。
端的に言うと、ウォークマンのサウンドは「解像度とパワー」がiPhoneなどスマホよりも優れています。
Apple Musicではハイレゾ音質で配信されているノラ・ジョーンズのアルバム『Come Away With Me』から「The Nearness of You」を再生すると、ボーカルが目の前に浮かび上がり、口元の繊細な表情まで見えるようなリアルな体験が味わえます。
スタジオ、あるいはコンサートホールに瞬間移動して、アーティストたちの演奏に向き合いながら音楽を全身に浴びているかような広がりと没入感、厚み豊かなサウンドが、ウォークマンならではの魅力だと筆者は思います。
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3.5mmヘッドフォンジャックに有線タイプのハイレゾ対応イヤホンを接続。とても手軽にCDを越えるハイレゾ再生が楽しめる。ソニーでウォークマンの商品企画を担当する田中光謙氏も「有線ヘッドホンによる傾聴シーンから移動中のワイヤレス視聴まで幅広いシーンで活用できる音楽プレーヤーを目指して開発を進めてきた」と語っている
いつも使っているスマホとオーディオ機器、お気に入りの楽曲をリファレンスにして聴き比べると、スマホよりもウォークマンが再現できる情報量の差が大きいことに誰もが納得できるはずです。
スマホとの「2台持ち」をおすすめする理由
スマホでの音楽リスニングが主流となった今、スマホとウォークマンを「2台持ち」するメリットは大きく2つあると筆者は考えます。
1つは、スマホのバッテリー消費が抑えられること。音楽再生をウォークマンに任せればスマホのバッテリーにかかる負担が減り、Webのチェックやメッセージなど通信の用途に、余裕を持ってスマホを活用できます。モバイルバッテリーよりも、約113gの軽いウォークマンのほうが持ち運びにも適しているでしょう。
2つ目は、音質の向上がYouTubeなどの動画配信サービスのナレーション、効果音の「聴きやすさ」にも効いてくることです。ウォークマンにはさまざまなアプリをインストールできるので、筆者はYouTubeで海外のニュースチャンネルを見ながら英語を学習する用途にウォークマンがとてもフィットしていると感じました。
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ウォークマンA300シリーズならYouTubeのナレーション音声までもが高音質。筆者が応援するアーティスト「ドクター・キャピタル」のJ-POP解説動画もクリアに聞けた
ウォークマンでAndroidのアプリの通知機能をオフにすれば、通話やメッセージの着信に集中を奪われることなく、スマホよりもさらに深くコンテンツの視聴にのめり込むことができます。
ソニー株式会社でウォークマンの商品企画を担当する田中光謙氏は、音楽などコンテンツ再生の専用機であるウォークマンのメリットや、スマホに負けないところについて次のようにコメントしています。
「一度聴けば誰にでも違いがわかる高音質が最大の特長です。特に有線接続で高音質に音楽を楽しむためのアナログオーディオ回路にはハイレゾ対応ウォークマンの上位機種であるZX/WM1シリーズで培われた高音質技術のコア部分がしっかりと継承されています。
ほかにもポケットに入れた状態でも音楽操作できる物理ボタン搭載など、最近のスマホでは省略されがちなハードウェアをしっかり備え、幅広いリスニングスタイルに応えられるようにしています。バッテリーや内蔵ストレージ、microSDカードを音楽再生専用に使えることも専用機ならではのメリットです」(田中氏)
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ソニー独自開発のハイレゾ対応Bluetoothオーディオコーデック(圧縮技術)「LDAC(エルダック)」に対応するイヤフォン/ヘッドフォンを使えば、ウォークマンによるハイレゾワイヤレス再生も可能
4万円台から購入できるソニーの新しいウォークマンAシリーズを試してみると、多種多様なコンテンツを「いい音で楽しむ」ことの面白さが実感できると思います。
スマホはエンタメから通信、モバイル決済まで、多くのことがこなせるオールラウンダー的なデバイスで、日常生活に欠かせないものになりました。今後はそのスマホを中核として、「音楽を聴く」「VRの世界に飛び込む」といった“一歩踏み込んだ体験”を味わうために、ウォークマンのような専用デバイスと組み合わせて使うスタイルにも注目が集まりそうです。
文/山本敦
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