──『エゴイスト』はエッセイスト・高山真さんの自伝的小説の映画化です。雑誌編集者として活躍しながら、私生活ではパーソナルトレーナーの龍太(宮沢氷魚)と愛を深めていく浩輔を演じられましたが、まず出演依頼が来たときのことについて。出演を決めた理由から教えてください。
理由はふたつあり、ひとつは原作小説『エゴイスト』に惹かれたことです。この小説は“愛とエゴ”“善と偽善”について描かれており、僕が興味を抱いているテーマだったんです。エンターテインメントして描くのはとても難しいテーマですが、高山さんはそれをとても丁寧に表現されていることに感銘を受けました。
もうひとつは原作者の高山真さんです。自分自身を客観的に観察しているところや、それを言語化して言葉で勝負しているところなど、高山さんと僕は似ていると感じました。地方出身者で、大学の先輩でもあるなど共通点もあるので、共感できるところも多かったです。
──では、出演を決めるのは早かったんですか?
いえ、なかなかすぐには決められなかったです。僕が浩輔を演じることで、高山さんの描いた世界観を果たして表現できるだろうかと心配でした。浩輔は高山さん自身を投影したキャラクターです。それと、異性愛者視点の同性愛者像になってしまうのではないかという懸念もあって、慎重に考える必要があると思いました。
でも製作側が、LGBTQ+inclusive director(※)のミヤタ廉さんを監修者としてつけてくださったり、浩輔の友人役にゲイの方々をキャスティングしてくれたり。そのほかにも様々な配慮をしていただけたので、それなら自分もみなさんに相談しながらやってみようと思いました。
※性的マイノリティに関するセリフや所作、キャスティングなどを監修