ついに2000年代に突入したこの年の興行収入トップは、大ヒット映画『ミッション:インポッシブル』(1996)の続編『M:I-2』(2000)だ。二丁拳銃にスローモーションに白い鳩と、香港からハリウッドに進出したジョン・ウー監督独特のアクションスタイルを、大胆に採用した野心作である。最近のクリストファー・マッカリー監督による洗練された演出に慣れた観客は違和感を覚えるかもしれないが、ブライアン・デ・パルマ監督が手がけた第1弾といい、初期の『ミッション:インポッシブル』は、監督ごとにまったく異なるスタイルを採用していたのだ。
当時、「ロードショー」の読者にもっとも期待された新作といえば、おそらく『ザ・ビーチ』(2000)だろう。なにしろ『タイタニック』(1997)で世界的なスターとなったレオナルド・ディカプリオが、殺到するオファーのなかから厳選した1本である。原作はアレックス・ガーランドのベストセラー小説、脚本・監督・プロデューサーは『トレインスポッティング』(1996)などを手がけているイギリスの気鋭クリエイターチームと、傑作の予感がぷんぷん漂っていた。