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ニューミレニアム到来。2000年代以降を牽引するジョニー・デップやアンジェリーナ・ジョリーが頭角を現す。が、映画界の裏では、悪辣で大がかりなハラスメントが進行していた!?

集英社オンライン / 2023年2月1日 12時1分

2017年にニューヨークタイムズ紙が報じ、#MeToo告発運動のきっかけとなった、プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの女優やスタッフへのセクハラ。彼のスタジオが良質で評価の高い映画を連発していたのが2000年前後であったことを思うと、闇は深い。

陰陽わかれるレオとブラッド

ついに2000年代に突入したこの年の興行収入トップは、大ヒット映画『ミッション:インポッシブル』(1996)の続編『M:I-2』(2000)だ。二丁拳銃にスローモーションに白い鳩と、香港からハリウッドに進出したジョン・ウー監督独特のアクションスタイルを、大胆に採用した野心作である。最近のクリストファー・マッカリー監督による洗練された演出に慣れた観客は違和感を覚えるかもしれないが、ブライアン・デ・パルマ監督が手がけた第1弾といい、初期の『ミッション:インポッシブル』は、監督ごとにまったく異なるスタイルを採用していたのだ。



当時、「ロードショー」の読者にもっとも期待された新作といえば、おそらく『ザ・ビーチ』(2000)だろう。なにしろ『タイタニック』(1997)で世界的なスターとなったレオナルド・ディカプリオが、殺到するオファーのなかから厳選した1本である。原作はアレックス・ガーランドのベストセラー小説、脚本・監督・プロデューサーは『トレインスポッティング』(1996)などを手がけているイギリスの気鋭クリエイターチームと、傑作の予感がぷんぷん漂っていた。

映画用の特写を使用したと思われる表紙。ロケが行われたタイのピピ島はファンの聖地となった結果、無残にも環境破壊…。2022年まで修復が行われていたが、環境活動家レオの心中はいかに
©ロードショー2000年4月号/集英社

だが、あいにく作品は凡庸な出来で、当然のごとくヒットには至らない。敗因は、ディカプリオの起用にあったと個人的には思っている。

もともと本作はユアン・マクレガー主演で準備が進められていた。しかし、製作陣は熱烈なラブコールを送ってきたディカプリオを選択。そのおかげで潤沢な予算を手に入れることができたものの、ひきかえに過剰な期待を抱え込むことになった。『シャロウ・グレイグ』(1994)『トレインスポッティング』といった低予算映画でリスクを取ってきたダニー・ボイル監督、ジョン・ホッジ(脚本)、アンドリュー・マクドナルド(プロデューサー)が、初のスタジオ大作で浮き足立つのも無理はなかった。おまけに、ダニー・ボイル監督はユアン・マクレガーとのあいだに遺恨を作ってしまった。

気鋭のクリエイター陣がビッグスターを起用したことで取り乱してしまった『ザ・ビーチ』だが、その正反対の例もある。ブラッド・ピット主演の『ファイト・クラブ』(1999)がそれだ。

どちらも同じスタジオが同時期に製作しており、原作モノであることやビッグスターが主演を務めている点も同じ。違っていたのは、メガホンをとるデヴィッド・フィンチャー監督が徹底したコントロールフリークである点だ。主演のピットが絶大な信頼を寄せていたおかげもあって、フィンチャー監督は自身のビジョンを実現。おかげで『ファイト・クラブ』は大ヒット映画とはいえないまでも、カルト映画としていまなお強い影響力を保っている。

ミラマックス社の台頭の裏には…

「ロードショー」は8月号で「YOUNG HOLLYWOOD」と題した特集を展開。その表紙を飾ったジュード・ロウ&グウィネス・パルトロウ(『リプリー』1999)と、9月号のシャーリズ・セロン(『サイダーハウス・ルール』1999)はいずれもミラマックス作品に出演している。

ミラマックスといえば、ハーヴェイとボブのワインスタイン兄弟が立ちあげたインディペンデント映画の配給会社で、93年にディズニーに買収されてキャッシュフローが安定すると、アメリカにおけるインディペンデント映画と外国映画ブームの立役者となった。自社でも映画製作を手がけるようになり、『イングリッシュ・ペイシェント』(1996)や『恋におちたシェイクスピア』(1998)はアカデミー作品賞を受賞している。

当時、ミラマックス作品は若手俳優の登竜門となっており、『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』(1997)のマット・デイモンとベン・アフレックをはじめ、多くのスターが育っていった。その成功の裏で、若い女優たちが大プロデューサーとなったハーヴェイ・ワインスタインの毒牙にかかっていたことは、最近の#MeToo運動で明らかになっている。

その後2008年の休刊まで幾度となく表紙を飾るジョニー。これが初登場号
©ロードショー2000年6月号/集英社

さらに、2000年はジョニー・デップが表紙に初登場。『シザーハンズ』(1990)や『エド・ウッド』(1994)などティム・バートン作品の出演俳優として知られた彼は、ミラマックス作品の『ショコラ』(2000)など活躍の幅を広げていた。そして、『アルマゲドン』(1999)のプロデューサー、ジェリー・ブラッカイマーが手がける『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』(2003)のジャック・スパロウ船長役で世界的なスターになるのだ。

新たなスターが現れれば、消えていくスターもいる。1991年に初登場して以来、人気を博していたウィノナ・ライダーは、2000年11月号の表紙が最後となる。翌2021年に米ビヴァリーヒルズで万引き事件を起こし、イメージダウンしてしまうためだ。
皮肉なことに、ウィノナ自ら製作総指揮を買って出た意欲作『17歳のカルテ』(1999)で共演に起用したアンジェリーナ・ジョリーは、ハリウッドを代表する女優へと成長していくことになる。その後、ウィノナの完全復活は、Netflixの『ストレンジャー・シングス』(2016~)まで待たなければならなかった。

◆表紙リスト◆
1月号/ナタリー・ポートマン 2月号/ブラッド・ピット 3月号/ジョディ・フォスター 4月号/レオナルド・ディカプリオ 5月号/クレア・デインズ 6月号/ジョニー・デップ※初登場 7月号/ミーナ・スヴァリ※初登場 8月号/ジュード・ロウ&グウィネス・パルトロウ※両者初登場 9月号/シャーリズ・セロン 10月号/マーク・ウォルバーグ※初登場 11月号/ウィノナ・ライダー 12月号/キャメロン・ディアス
表紙クレジット ©ロードショー2000年/集英社

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