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「親の寄付額は4000万円以上」「自宅は宗教ハウス」…長井秀和が今だから話せる創価学会の「宗教2世問題」

集英社オンライン / 2023年2月3日 12時1分

創価学会の宗教2世であり、10年前まで学会員だったお笑い芸人の長井秀和さんは現在、東京・西東京市で地方議員として政治活動を行っている。宗教2世が社会問題となる中、自身を「ナチュラルボーン創価学会員」と語る長井氏に、当事者としての経験や、感じていた違和感などについて笑下村塾のたかまつななが聞いた。

山上被告が抱えていた問題は「他人事ではない」

――今日はご自身の経験をお話しいただけたらと思っております。今、宗教2世で苦しんでいる方がたくさんいらっしゃるので。

間違いない。

――宗教2世が注目されたきっかけのひとつが、山上徹也被告が安倍晋三元総理大臣を銃撃したことでしたが、山上被告に対してはどういう思いがありますか?



彼の生い立ちを聞いたときには非常に心に刺さるところがありましたね。特に親があれだけ教団に翻弄されて搾取されていたってところが、他人事ではない気がしました。

強引な霊感商法だったり、恐怖を煽ってお金を搾取していくようなやり方は、創価学会でも使う手法なのですが、旧統一教会の場合はそれがかなり悪質だなと。他人事ではない気はしましたね。

ーー長井さんはいつ信者になられたんですか?

ザ・宗教2世ですから「ナチュラルボーン創価学会員」と言ってもいいんじゃないかなと。生まれながらにして手の周りに数珠が絡んでいるぞみたいな。いわゆる宗教活動、宗教儀式をするのがごく自然な家でした。

ーー親が信者だと、子どもは大体信者なんですか?

大体そうです。両親とも創価学会員だと子どもはほぼ100%学会員ですね。

ーーご両親はどんな感じで信仰していたんですか?

うちの両親の出身は、母親は京都、父親は北海道で、いかにも「家業を継がないで都会に出てきて、自分で生計を立ててやっていくんだ」ってタイプの夫婦でした。創価学会の人たちにはそのケースが本当に多いんです。

ただ、うちの父親は札幌にいたときから創価学会が嫌いだったんですよ。当時の創価学会って極端に言うと迷惑系YouTuberみたいな感じで、いつも人に対して折伏(しゃくぶく/自身の信仰体験や仏法の哲理を友人や知人に語ること)や勧誘を強引にしたり、選挙でも公職選挙法違反をして捕まったりする人もいっぱいいたので、社会的に軋轢を生む存在でした。

だから父親は若いとき、「あんな宗教団体があったら日本が滅ぶ」「俺が創価学会をぶっ潰す」って言うような人だったんです。ただ、友達もできなくて一人で悶々としちゃって軽いうつとかになっていたときに、創価学会のネットワークに拾われて救われるっていう。母親の姉とか、姉の夫が先に信仰していたので、そこからですね。

両親の寄付額はトータル4000万円以上

ーーその後、お父様は熱心な信者になられたんですか?

そうですね。反創価学会から一転、「命預けます」みたいな感じになって。父親は職を転々としていたんですが、あるときから創価学会の聖教新聞販売店で仕事をして。それはある意味、“学会公務員”みたいな立場なんです。そこでは学会の選挙活動や政治活動をするのが裏テーマの仕事です。

――昨今は宗教団体に対する巨額な献金なども大きな問題になっていますけど、ご両親は寄付されていたんですか?

3桁以上、つまり100万円以上寄付するときもあったと思います。結局40年、50年やっていますから、献金だけでトータル4000万、5000万円ぐらい。

ーーすごいですね。そんなにされているんですね。

昔、実家が古かったときに、お風呂がやや旧式だったんですよ。つまみをカチカチ回して種火を点けるっていうお風呂でね。ちょっと古いし変えたらいいよって、おふくろに300万円あげたことがあって。

でも、半年後に来てもまだカチカチやってる。だから「あのお金はどうしたの?」って聞いたら「300万円はもう先生に、創価学会に寄付したわよ」って言われましてね。よかれと思って親に出したお金も簡単に寄付しちゃうんですよね。山上容疑者の母親ほどではないですけどね。

ーー子どもながらに家庭での負担は大きいと思ったりしましたか?

やっぱり学会活動が優先。特に選挙期間になると、時間も手間もかかってくるので、プライベートがあまりない。創価学会は、今は会館が各地にあるんですけど、昭和50年代くらいだと、有志の人が大きめの家を作ったりして、そこを創価学会員用に開放するんですよ。

個人会館って言い方をするんですけど、我が家は私が7歳ぐらいのときに3階建ての「宗教の館」に変貌しまして。3階がぶち抜きで道場みたいな集会所。2階と1階が住居なんですけど、1階も応接室みたいになっていて、学会員の幹部の人とかが来たりするんですよね。

そうなると、いつも家の中は他人だらけでした。2階に自分の部屋があったんですが、自分の部屋に帰ったら学生が5人ぐらい輪になってしゃべっているっていう。それを見て、「ああ、やっていますか……」って言って1階に行くっていう。

「強引な勧誘活動もしました」

――教えに対する違和感は、いつぐらいから持ち始めたんですか?

小学校高学年とか中学生ぐらいから、ちょっとおかしいなというのはありました。ただ、創価学会って、創価学会と公明党とを2つ持っていて、社会的に大きな影響力のある宗教団体じゃないですか。

世間的な評価はいろいろあるけど、日本では最大勢力の宗教団体でしょ。だから宗教の教義というより、宗教団体の規模とか影響力に対して、すごいと思っていました。

教義は日蓮っていう人の経典を使うんですけど非常に興味深い教えなので、私は池田大作がどうとかより、経典を読むのが好きでした。

――長井さんは学校も創価学会が運営するところに通われていたんですもんね、小学校3年生から中学、高校、大学まで。どうして違和感を持ちながらも進学したんですか?

私は小学校のときにお受験をしたんですけれども、それ以降お受験していないんです。だからお受験の大変さが免除されているのは、子どもながらに少し楽だなというのがありました。あとは創価カルチャーというか、創価で生きている人たち同士の繋がりもあったので、小中高大と行ってしまったところもありますね。

――ご自身は信仰されていたときに、どんな宗教活動をされていたんですか?

18歳から20歳ぐらいまでの2年間が一番学会活動をしたと思うんですけど、結構楽しかったんですよね。18歳くらいだと車も乗りだすし、活動の範囲がグッと広がる。そうすると、いわゆる折伏っていう勧誘活動の部隊に組み込まれるんです。それでアルバイトで知り合った人とかに勧誘活動をしたり、選挙活動のほうも頑張るわけですよ。無茶するんですよね。

言うなら「地下組織の活動家」っていう感覚ですね。まだ学会に入っていないやつがいるぞと聞いたら、待ち伏せしたりとかね。夜中に友達が帰ってくるのを待ち伏せして創価学会に入れてやろうとか、ちょっと強引な勧誘活動ですね。

「池田大作先生にお応えする戦いなんだ」みたいな思いがあるので、やってることが全て正当化される。オウム真理教の信者とか、旧統一教会の信者とかでも、ちょっと荒っぽいことをしちゃう人がいるじゃないですか。そういうのも同じ感覚なんだろうなとはちょっと思いましたね。

――20歳以降は熱心に活動されなくなったそうですが、それはなぜですか?

私が学会の責任職に就いていなかったので、就職活動とか学校での活動を頑張ってくださいという感じでした。社会人になってお笑い芸人になってからは、周りに学会員があんまりいなかったので、幽霊会員みたいな感じでほとんど学会活動はしなくなったのが実態ですね。

信仰心は「もともとそんなになかった」

昨年12月、国会の参院消費者問題特別委員会において、被害者救済新法案について語る、旧統一教会の元2世信者・小川さゆりさん(仮名)

――芸人としてブレイクした後に、今度は創価学会の芸術部から声がかかったわけですよね。

気づいたら芸術部っていう扱いになっていて。簡単に言うと広告塔です。学会の勧誘セミナーの人寄せ要員みたいな感じですね。私は学会家系だから、自分の周りの人たちが喜んでくれるし、進んでやりますよっていう感覚でした。

今も昔も芸能人っていわゆる宗教を信仰していることを隠すじゃないですか。その風潮が嫌いなんですよ。別に隠す必要はないんじゃないっていう感覚もありました。

――どうしてそこから信仰心がなくなっていったんですか?

もともと信仰心自体がそんなになかった。あと、漏れ伝わる中に、創価学会とか公明党が社会的にいろいろな問題を起こしているということもあって。創価学会はもちろん否定していた事象でも、自分なりに検証していくと、どうもこれは創価学会にもある程度、非があるぞと。実際に裁判上、認められている違法行為、不法行為も多くあるし。

実際に共産党の宮本顕治議長(当時)のところに盗聴をしに行ったりとかね。あと、創価学会の中で大阪事件と言われているんですけれども、選挙のときに票を買収したというので、学会員が多数、有罪判決になっているんです。池田大作は結局無罪になったんだけれども、無実ではないので。そういったことはたくさんあるんですよね。

あとはやはり自分の周りでも学会にまつわる問題でしんどい思いをしている人もいるんですよ。学会員の人たちは、自分の家族や周りがだいたい幸せにやっているから、「そんなことないよ、あんなの嘘だよ」なんて言うんだけど、それは一部の木だけを見て森が見えていないという状態だと思います。本当に被害にあって家庭が壊れていくっていう人もいたんです。

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