ロンドン五輪男子マラソン日本代表・藤原新「賃金未払いもストーリー的には“おいしい”な、と(笑)」

週プレNEWS / 2012年5月9日 13時0分

所属も決定し、プータローランナーから脱したロンドン五輪マラソン代表の藤原新。どんな逆境にも負けない彼の思考法とは?

今年2月26日の東京マラソンで日本歴代7位となる2時間7分48秒の好タイムで激走、日本人最高の2位に入り、ロンドン五輪出場を確定させたマラソンランナー、藤原新(ふじわら・あらた)。今月7日には、子供服の大手メーカー「ミキハウス」と所属契約を結ぶことも判明し、万全の体制で8月の本番に臨むことになった。

藤原といえば、2010年にJR東日本を退社した後、フリーのプロランナーとして五輪出場を勝ち取ったことで話題となった。同じく実業団に所属しない市民ランナーの川内優輝と比較されたことも多く、「これまでは話題を全部、川内君に持っていかれてて悔しかったんですけど」と笑う。

フリー時代には、スポンサー契約を結んだ企業からの賃金未払い、契約解除などもあり、金銭的に苦しい時期が続いた。実際、実業団を辞めなければよかったと思ったこともあったそうだ。

「いつの間にか『実業団にいれば安全だったな』とか『昔はよかったな』みたいな思考回路になってて、自分でも本当にやっべーなと思いました。僕、自分の中にこれ以上落ちたらまずいっていうセンサーがあるんですけど、それが久々に鳴ったんですよね。これはまずいぞって。そこからは後悔したらゲームオーバーだと自分に言い聞かせて、無理やりにでも後悔しない思考回路を自分の中に叩き込んだんです」

その、“後悔しない思考回路”とは何か?

「どうせ僕が東京マラソンで勝つに決まってると。まず最初にそこを決めてしまったんです。そこから逆算して考えると、ケガもスポンサーからお金が入ってこないのも全部、ストーリー的にはフリなんだと。ネタなんだと。こうした逆境はむしろ“おいしい”んじゃないかと思うようにしたんです。無理やりですけど(笑)」

確かに、置かれた境遇と勝ち取ったものの差が大きいほどドラマチックだ。事実、「プータローが五輪出場を獲得!」とメディアでは大きく報じられた。だが、なぜそこまでポジティブシンキングになれるのか。

「もちろん、最初からそう思えたわけではないですけど、徐々にそうした思考に変えていったんです。口では『クソったれ!』とか言ってるんですけど、腹の底では逆境を『しめしめ、これもちょっとおいしいよな(笑)』と思ったりして。ケガも給料未払いも、全部笑いのネタ、ストーリーのネタなんだと。未払いで男は修行させられると(笑)」

すでに、ロンドンでのゴールシーンから逆算した“ポジティブ・ストーリー”を考えているのか、ロンドン五輪男子マラソンは8月12日(現地時間)スタートだ。

(取材・文/“Show”大谷泰顕、撮影/乾 晋也)

藤原新(ふじわら・あらた)



1981年9月12日生まれ。長崎県諫早市出身。身長167㎝、体重54㎏。拓殖大学卒業後、JR東日本に入社。2010年3月に退社し、実業団に所属しないフリーのプロランナーに。2012年2月、東京マラソンにおいて日本人1位でゴール。ロンドン五輪代表の切符をつかんだ。5月7日にミキハウスと所属契約を結ぶことがわかった。



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