併設施設にも徹夜の行列。登れなくても人が集まる東京スカイツリー狂想曲

週プレNEWS / 2012年5月28日 13時0分

21万人超が来場した開業初日はあいにくの雨模様。自慢の展望台は雲の中に……

5月22日、ニッポンの新名所「東京スカイツリー」が開業した。塔の高さ634mは単独で立つ電波塔としては世界一。タワーを囲む一帯も「東京スカイツリータウン」に変貌し、巨大商業施設「東京ソラマチ」や「すみだ水族館」も同時オープンした。

当日はあいにくの雨。「天望デッキ」(350m)も、「天望回廊」(450m)も分厚い雲に覆われた。

だが、この日を待ちわびていた来場者や報道陣の熱気は想像以上だった。朝7時、記者が現地に着くと、すでに展望台の入場券を握り締めた一般客が長い列をつくり、テレビ各局のアナウンサーはワイドショー向けか、「見てください! 気温15℃という寒さのなか、この大行列です!」と絶叫。

そして、スカイツリー風の髪型をした男性来場者が現れると、さっそく囲み取材が始まる。

「自分は美容師です。今日は店が定休日なので来ました。やっぱ、(スカイツリーは)デカイっすね!」

今度はスカイツリーの仮装をした長身男性客が現れ、カメラのレンズが一斉にそちらを向く。

「俺、身長2mあるんですけど、自分より高いモノには目がないんです(笑)」

運営会社の東武タワースカイツリーによると、初日の展望台入場券9000枚は前売りで完売。長い行列は、335倍の高倍率を勝ち抜いて入場券をゲットした第1陣(約200人)で、その先頭集団はもちろん徹夜組だ。

「iPadもiPhone4も徹夜で1番目に買いました。今回も昨晩21時に来て1番かと思いきや……ツワモノがいました(泣)」(3番目に並んでいた男子学生)

一番乗りを果たしたのは地元在住の会社員、長谷川一孝さん。

「知人に頼み、交代で1週間前から並んでいました。世界一の高さに誰よりも早く到達したくて」

いよいよ開場! 第1陣を乗せた高速エレベーターが雲の中に消えていく。1時間後、降りてきた長谷川さんに感想を聞くと……。

「雲で真っ白。“眺望ゼロ”でした(苦笑)。でも、1番に登れた達成感だけで大満足です!」

ツリーの足元に広がる東京ソラマチの混雑ぶりもハンパなかった。

こちらも開業前に徹夜組を含む行列ができ、その数、なんと約5000人! ひときわ人気だったのは、35の店が軒を連ねる1階の「ソラマチ商店街」だ。創業100年以上の老舗・甘味処のすぐ近くにギャル向けブランドがショップを構え、エプロン姿のおばちゃん店員とミニスカ姿のギャル店員が熾烈(しれつ)な呼び込み合戦を繰り広げるなど、実ににぎやか。

ただ、よく見ると、行列ができている店と、そうでもない店のふたつにはっきり分かれている。その差は何?と思った矢先、あるガラガラの店から怒号が。

「なんで、ここに柵を置くの! 客が来ないよ。すぐ撤去しろ!」

怒られていたのは、ソラマチの運営会社である東武タウンソラマチの親会社、東武鉄道の社員。開業に合わせ、ヘルプ要員として客の誘導係を務めていたのだ。事情を聞くと、通路と店をつなぐ動線に、運営上の都合で“通行止め”の柵を立ててしまったとのこと。

「上の指示に従っただけなのに……。早く本業に戻りたいです」(ヘルプ要員の東武鉄道社員)

ソラマチ商店街内のある菓子店の店主がため息交じりに話す。

「人気店には必ずスカイツリー限定商品があり、客もそれに食いついているけど、ウチにはない。なぜって? ツリーのロゴや写真を使うと、広告会社に高額なマージンを払わないといけないんです」

店主が続ける。

「正直、スカイツリー内での営業は大変です。毎月支払う賃料は、売上額に応じて決まる歩合制ではなく定額制。しかも、その額は都内のデパートの平均的な賃料の1.5倍超。東京ディズニーリゾートとほぼ同じだと聞きました。ほかにも、商品搬入で自社便を使う際は、車1台につき1万5000円の申請手数料を払わなきゃいけないし、施設内の搬入用に床が傷つかない指定の台車(1台3万5000円)を買う必要があるなど、出費がかさむ数々の“スカイツリールール”があるんです」

開業初日のスカイツリータウン来場者数は約21万9000人。平日で雨という悪条件下でその人気ぶりを証明した格好だが、出店店舗は明暗を分けてしまった。

その構図は周辺地域も同じ。人通りの多い「とうきょうスカイツリー駅」付近の飲食店はどこも「売り上げ倍増」とホクホク顔だったが、ツリーを挟んで真裏にある押上(おしあげ)駅周辺は人通りが激減。ある書店店主は「正午の営業開始から夕方まで客はゼロ。こんなことは今までなかった」と肩を落とした。

この騒ぎ、いつまで続くか。

(取材・文/興山英雄)



【関連ニュース】

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング