リニアモーターカーの稼働には原発3~5基分の電力が必要

週プレNEWS / 2012年6月5日 6時0分

2027年、東京~名古屋間が開通予定のリニアモーターカー。だが、日本人の価値観が変化していくなか、新たな問題も浮上している

建設費約9兆円をかけた日本史上最大の鉄道事業、それが、JR東海が2014年10月に着工するリニアモーターカー「リニア中央新幹線(以下、リニア)」だ。しかし、最近になって計画に反対する声が挙がっている。その原因は「電力」。

リニアは、超伝導磁石で車体を浮上させ“飛ぶ”新幹線。電気抵抗がゼロの技術にもかかわらず、消費電力は東海道新幹線の約3倍である。昨年の原発事故以降、節電の必要性が浸透しているなか、この事実はあまりアナウンスされていない。山梨県立大学の伊藤洋学長は、乗客ひとりを運ぶエネルギーをもとに「リニアには原発3~5基分の電力が必要」とまで推計する。

もちろん、JR東海がリニアのために原発を稼働させるべきと公に明言したことはない。だが、リニアと原発の関係は否定できない。というのは、山梨県のリニア実験線の主な電力供給元は東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県)だからだ(昨年秋から、実験線の延伸工事のため走行実験は休止中)。

そして、原発とリニアの関連性を裏付けるかのような発言も飛び出している。昨年5月14日、静岡県の浜岡原発が運転停止したわずか10日後に産経新聞に掲載された、JR東海・葛西敬之会長の「原発継続しか活路はない」と題した談話だ。以下はその要約。

「原発を止めれば電力供給の不安定化と電力単価の高騰を招き、日本経済の致命傷となる。原子力の利用には、リスクを承知の上で、それを克服・制御する国民的覚悟が必要。政府は原発をすべて速やかに稼働させるべきだ。この一点に国の存亡がかかっている」

この発言について、リニア建設に反対するJR東海労働組合書記長の小林光昭書記長は、「会社はリニアのために原発を稼働させたいのです」と推測する。

また、リニア計画の妥当性を話し合うために国土交通省に設置された「交通政策審議会中央新幹線小委員会」でも、昨年5月、家田仁委員長は「原子力安全・保安院は浜岡原発の停止期間を2年程度としているため、現時点ではリニア計画に影響しない」と、リニア建設は原発稼働を前提としているかのような発言をした。

いかにも原発稼働ありきで進んでいるように見えるリニア建設計画。計画当初と現在では、日本人の価値観が変わってしまっただけに、新たな検証材料が必要かもしれない。

(取材/樫田秀樹、写真/本田雄士)



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