加藤嘉一「日本が中国人に対し“国を開く”ことの3つのメリット」

週プレNEWS / 2012年6月18日 11時0分

6月1日から日本円と中国の人民元の直接取引が可能になりました。



国際化が進む時代、日本人はどんな心構えを持つべきなのでしょうか?

6月から日本円と中国の人民元の直接取引がスタートしました。これまでは米ドルを仲介しなければ交換できませんでしたが、今回の措置によって二重手数料が解消されることになります。為替に関しては各国の思惑があり、損得を一概に語ることはできませんが、少なくとも個人レベルでの手続きは簡素化されるので、互いの国を旅行する両国民にとっては十分にメリットがあるでしょう。

昨年の東日本大震災以来、風評被害もあって日本を訪れる外国人観光客が減ったといわれます。もちろん中国人観光客もしかり。今回の直接取引開始を機に、人と物の流動が活発になればいいと思います。

以前、日本のある機関から依頼され、日本の良さを中国でアピールして観光客を誘致するプロジェクトに参加しました。そこであらためて感じたことは、日本に来るか来ないかはあくまでも中国人の自由だという当たり前の事実。日本政府も国策として中国人観光客の誘致を考えるなら、ビザの緩和など制度改革をさらに進めないまま、ただ「来てくれ」ではお話になりません。

遅かれ早かれ、「国を開く」ことは日本にとって止められない流れである。ぼくはそう考えています。そして、中国人に対して国を開くことのメリットは3つあると思います。

ひとつ目は、単純に「内需拡大」。中国人が銀座や新宿、秋葉原といった繁華街で高額なブランド品や家電製品を買い求める姿をよく見かけますが、これは日本経済にとってはありがたいことです。

ふたつ目は、「中国人の反日感情の改善」。日本を訪れた中国人の99%は「日本ってこんなにいい国だったんだ!」と、好印象を抱いて帰国します。日本人のホスピタリティに触れ、反日教育で植えつけられたイメージが払拭されるんです。本当の日本を知ってもらうことは、今後の国際交流を考えても必要なことです。

そして、3つ目は「移民時代への準備」。少子高齢化によって日本では今後、生産人口が減っていきますから、いずれ移民を受け入れることになる可能性は十分にあります。来るべき時代に備え、日本人は身近で外国人を知る必要がある。そうすることで、少子化が社会保障や景気悪化など多くの問題の原因であるということも、あらためて国民が広く認識できるのではないかと思います。

こうした理由から、ぼくは門戸を開くべきだと考えていますが、まだ多くの日本人には中国人に対する拒否感や抵抗感が根強くあるようです。しかし、グローバリゼーションの時代に日本だけが“鎖国”することは現実的ではありません。受け入れ態勢を構築し、かつ、したたかにこういった機会をうまく活用すべきです。最近は日本の大学でも第二外国語として中国語に力を入れる流れが顕著なようですし、相手を知ってこそ初めてまともな競争ができるわけですからね。

ぼくが今現在教鞭をとる上海復旦大学の学生たちは、その意味ではフラットです。「日本政府にはビジョンがない」ときちんと意見を述べる一方で、日本人に対しては健全なイメージを持っていますし、褒めるべき部分は褒めます。当事者意識を持って日本という国を認識しています。

高い意識で国際交流をし、刺激し合ってこそ国益につながるとぼくは信じています。それでもまだ“当事者”になりたくない人がいるなら、その理由を逆に教えて!!

今週のひと言



日中両国民が刺激し合ってこそ、国益につながるんです!

■加藤嘉一(かとう・よしかず)



1984年4月28日生まれ。高校卒業後、単身で北京大学へ留学。年間300回の取材、200本のコラム執筆、100回の講義をこなし、国境を越えて多くの著書を持つ国際コラムニスト。近著に『北朝鮮スーパーエリート達から日本人への伝言』(講談社)、『いま中国人は何を考えているのか』(日本経済新聞出版社)がある。



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