加藤嘉一「海外の厳しい環境に身を置けば、二兎どころか多くのものを得られます」

週プレNEWS / 2012年6月25日 15時0分

留学を漠然と希望しながら、なかなか踏み出せない人は多いと思います。



恐れることはありません。思い続けていれば必ず「ガン!」ときますから!

日本の高校生や大学生から「留学」について聞かれることがよくあります。特に多いのが、こんな質問です。

「何をするか明確なイメージはないけれど、見聞を広めるために留学したい。きちんとした目的を持たないまま留学してもいいんでしょうか?」

漠然と「留学したい」と思っている人、まだ見ぬ世界に憧れている人は少なくないのではないでしょうか。

結論から申し上げれば、答えは「行動あるのみ」です。興味を持てば、自然とその世界を深く知りたくなるのが人間という生き物ですし、その過程で自分が求めていたものも見つかるはず。大事なのは「留学したい」という思いを念頭に置いて生活することです。

ぼくも幼い頃から日本を飛び出して海外で活動するのが夢でした。初めは漠然としたイメージでしたが、中学を卒業し、高校に入学したあたりから、いずれは国連職員になりたいと考えるようになり、英語を重点的に学びました。高校2年生からは日-英翻訳のアルバイトもしていました。調べてみると、国連に入るには修士号が必要だという。大学は海外で、という思いを常に頭の片隅に置きながら英語力の強化に努めました。

国費留学生として北京大学、それも国際関係学院という国際色豊かな場所で学べたことは貴重な経験となりました。中国に行く前は、正直言って、北京大学がどういう学校かは知りませんでしたし、中国という選択が正しいかどうかも確信がありませんでした。ただ、国連職員になるには英語以外に国連公用語をもう一言語マスターする必要があったので、中国で己を磨けば中国語が習得でき、道が開けると漠然と思っていました。

これが、ぼくにとって「ガン!」ときた瞬間でした。曖昧ながらも直感を信じて、白紙状態で異国の地へ飛び込んだことは、今思えば正解だったといえます。最初は半信半疑でもいいんです。ぼくとしては、中高時代から常に頭の中にあった「外国に行きたい」という気持ちを素直に行動に移したからこそ開いた扉だと思っています。

留学に関する質問では、ほかに「中国に留学するのですが、自分は何を武器にすればいいのでしょうか?」というものもありました。

まずは行く国の言語をしっかり体得し、自分の口で自分の考えを発信し、きっちり議論できるようになることが大切です。自分が何を考えているのか知ってもらう。自己紹介をしっかりしましょう。これこそ最低限にして最大の武器です。留学先は小さくとも弱肉強食の“国際社会”ですから、他人の考えに惑わされ、自分の意見が述べられないような人は認められません。

もうひとつ、ぜひ学んでほしいのが日本のことです。海外まで行ってなぜ日本のことを、と思う人もいるかもしれませんが、これは自戒の念をもってお伝えしておきたい。

例えば、勉強熱心な中国人は徳川幕府の成り立ちや豊臣秀吉、坂本竜馬といった歴史的人物のことを日本人以上に知っている。そういった環境で、自分の言葉で自国のことを語るのはすごく大事で、できなければ恥ずかしいこと。ぼくも日本の歴史について聞かれ、その場しのぎの話しかできず情けない思いをしたことが多々あります。留学は、日本のことをもう一度きっちり勉強するチャンスだと思ってください。

海外の厳しい環境に身を置けば、二兎どころか多くのものを得られます。それでも「留学なんかメリットがない」というなら、その理由を逆に教えて!!

今週のひと言



留学したければ「行動あるのみ」。そうすれば必ず扉は開きます!

■加藤嘉一(かとう・よしかず)



1984年4月28日生まれ。高校卒業後、単身で北京大学へ留学。年間300回の取材、200本のコラム執筆、100回の講義をこなし、国境を越えて多く の著書を持つ国際コラムニスト。近著に『北朝鮮スーパーエリート達から日本人への伝言』(講談社)、『いま中国人は何を考えているのか』(日本経済新聞出版社)がある。



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