大阪市の公募区長が決定。ビミョーな人選に隠された橋下市長のしたたかな計算

週プレNEWS / 2012年7月4日 10時0分

大阪市が公募していた全24区長の合格者を発表したのは6月21日のこと。

「これまで大阪市の区長は市職員が配置されてきました。しかし、橋下徹市長は『大阪都』を実現させたら、東京都のように特別区を設け、その区長は選挙で選ぶというアイデアを温めています。今回の24人の公募区長はその特別区のトップ、つまり公選区長をイメージして、応募者1461人の中から橋下市長が直々に面接して選んだ人たちです」(全国紙・大阪市政担当記者)

公募区長には市長、副市長に次ぐナンバー3の職級が与えられる。本庁の局長を指揮監督できる地位で、年俸も1200万~1400万円となかなかの高給だ。橋下市長が市政改革のキーパーソンとして、いかに大きな期待を公募区長にかけているか、よくわかる。

ところが、その顔ぶれを見ると、これがなんともビミョーなのだ。

まず北区長となるのが前兵庫県加西(かさい)市長の中川暢三(ちょうぞう)氏(56歳)。前出の記者が首をひねる。

「中川さんは政治記者の間ではあちこちの選挙に出馬しては落選する“インディーズ候補の雄”として有名でした。ようやく加西市の市長に当選して2期務めたものの、独断で職員を採用したり、市の業務を外部委託しようとして市議会と対立したりで、リコール直前までいった人。北区でも同じ騒動を起こさないか、心配です」

西成区長となる臣永正廣(とみながまさひろ)氏(58歳)もユニークだ。

1999年から2006年まで徳島県那賀川(なかがわ)町長を務めたものの、その前歴は週刊誌記者。暴力団や刑務所、風俗取材の体験を持つという個性派だ。しかも、西成区には数度訪れたことがあるだけで、土地勘は一切ナシ。

「人の話を聞くという記者の経験を生かしたい」と語るが、4人に1人が生活保護受給者という西成区をちゃんと仕切ることができるのか、不安になってしまう。

浪速(なにわ)区長に就任予定の経営コンサルタント会社代表、玉置賢司(たまおきけんじ)氏(45歳)も過激な経歴を持つ。

過去にツイッターで「日本の右翼はアカン。政治家を殺したりせえへんようになった。菅直人(当時首相)は正直、殴ったらなあかんと思う。たとえ懲役に行くことになったとしても」とつぶやいていたことが発覚したのだ。

そのほかにも、原発の再稼働をめぐって橋下市長とは犬猿の仲の関西電力現役社員(鶴見区・都倉尚吾氏・52歳)、わずか27歳の元NHK記者(天王寺区・水谷翔太氏)など、本当に大阪市のナンバー3に抜擢して大丈夫なの?という顔ぶれが並ぶ。

だが、そこは橋下市長のこと。公募区長のビミョーな人選ぶりにはしたたかな狙いがあるようだ。

「橋下市長は公募区長を“防弾チョッキ”にするつもりなのでは。今後、橋下市長は市政改革のために男女共同参画センターなどの公的施設や、敬老パスといった市民サービスを廃止・縮小を進めようとしていて、市民からの猛烈な反発が予想されます。そこで公募区長にその最終決定をさせ、市民の不満が自分ではなく、区長たちに向かうようにしようと考えているのでしょう」(前出・記者)

さらには、こんな巧妙な計算も。

「これまでの区長(市職員)も6人が公募区長に選ばれていますが、そのうち3人は希望した区とは違う区に配置されています。不思議だと思いませんか? 実はその3区はいずれも自民党の勢力が強い区なんです」(記者)

どういうこと?

「その3区では、これまで区長と自民党議員の間に太いパイプがありました。しかし、自民党議員と面識がなく、橋下市長の息のかかった公募区長を配置すれば、そのパイプを断てる。そうすることで、次の選挙で大阪維新の会のライバルになる自民党の影響力を削(そ)ごうとしているのでしょう」(記者)

果たして、24人の公募区長は維新の会の防弾チョッキとなり下がるのか、それとも大阪市を元気にするパワー源となれるのか。その采配ぶりに注目しよう。

(取材/ボールルーム)



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