「超小型モビリティ」導入で軽自動車の税金が上がる?

週プレNEWS / 2012年7月29日 6時0分

セブンイレブンが宅配サービス進出にあたり200台を発注した超小型モビリティ「新型コムス」

国土交通省がスピーディな普及に努めている1~2人乗りのクルマ、「超小型モビリティ」。7月2日には先駆け的な存在ともなる「新型コムス」がトヨタ車体から発売されるなど、がぜん注目が集まっている。

しかし、本格的な導入にあたり、これまで“エントリーカー”として軽自動車に与えられてきた税制上の優遇が失われる懸念が広がっている。

その背景には、軽自動車の存在を不満に思っている勢力の存在がある。筆頭ともいえるアメリカの通商代表部(USTR)は、日本との環太平洋連携協定(TPP)拡大交渉にあたり軽自動車への優遇税制を「非関税障壁」のひとつとして取り上げ、是正を求めている。軽規格のクルマを持たないアメリカにとって、日本の自動車メーカー、特に軽自動車を主力とするメーカーの「低コスト・高品質なモノづくり」は目の上のタンコブ。軽自動車の優遇税制を外圧で廃止に追い込み、自分たちに有利な市場へ誘導しようと躍起なのだ。

国内でも、財務省、総務省といった自動車関連の税金を所管する官庁が、軽自動車の優遇を続けることをよしとしない可能性は大いにある。何しろ、2001年に1000万台ほどだった軽自動車(乗用車)の保有台数は、2010年には約1750万台と激増。軽自動車(乗用車)の税額は年間7200円だから、これが小型車(1リッター未満)並みの2万9500円になれば、実に年間で1670億円余りの増収となる。小型車との税額の差の半分程度を優遇措置として残しても、年間800億円以上の税金が新たに転がり込んでくることになるのだ。

もし、軽自動車の優遇措置が見直されたらどうなるのか。第一生命経済研究所経済調査部の主席エコノミスト、永濱利廣氏は、その影響を次のように分析する。

「地方経済への打撃が深刻なものとなります。地方において、軽自動車は“ひとり1台”の生活必需品です。その軽自動車の維持にこれまで以上の経費がかかるようになると、ほかの支出を抑えざるを得ません。外食や買い物に出ていくお金が少なくなり、飲食業、小売業に大きな影響を与えることになるでしょう」

そこで国土交通省を直撃したところ、これについて真っ向から否定する。

「超小型モビリティの税制は極めてシンプルで、現状1000円から7200円(年額)まで幅のある軽自動車税のなかで、どのあたりに収めるかということだけです。これが既存の軽自動車の値上げにつながるとかは絶対にありません! もし軽自動車税の値上げがあるとしたら、TPPとか、税制の抜本的見直しのなかで議論されるべきことで、超小型モビリティとは関係ない話です」(同省環境政策課)

とはいえ、今まで「暫定税率の廃止」「高速道路無料化」など、クルマ関連の政策において国民を裏切り続けてきた民主党政権だけに、額面どおりには受け取れない。外圧と税収確保、そして超小型モビリティの実用化を口実に、「軽自動車優遇税制廃止」に踏み切ることも十分に考えられる。

国土交通省のいう「軽自動車の増税なき超小型モビリティ導入」が実現すれば、疲弊する地方経済にとって、街づくりやコミュニティ活性化を通じた新たな浮上の一助となるはず。そこに“横ヤリ”が入らないよう、国民がしっかり監視を続けていくことが重要だ。



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