『事故率』で見ればオスプレイは「安全」?

週プレNEWS / 2012年7月30日 19時0分

7月23日、米軍が沖縄・普天間基地に配備予定の垂直離着陸輸送機『MV22オスプレイ』(以下、オスプレイ)12機が、一時駐機のため山口県岩国市の岩国基地に陸揚げされた。同所では地元住民による激しい抗議活動が展開され、日本中で「配備反対」の声が沸き上がっている。

オスプレイは事故により開発開始から現在までに計36人の死者が出ており、“未亡人製造機”と揶揄(やゆ)されるほど、その安全性が問題視されている。果たして、この次世代軍用機は本当に危険なのだろうか。航空ジャーナリストの青木謙知氏がこう説明する。

「オスプレイは米軍の海兵隊が配備する新型兵員輸送機。最大の特徴は、主翼の両端についたプロペラ部分の角度を変えられる点にあります。プロペラを真上に向ける垂直離着陸モードでは、ヘリコプターのようにどこでも離着陸でき、その場で機体の位置をキープするホバリングも可能。その状態から垂直にプロペラを前方に傾ける固定翼モードに切り替えれば、飛行機のような高速飛行が可能に。わかりやすくいえば、飛行機とヘリ、両方の利点を兼ね備えた“いいとこ取り”の航空機です」

そのオスプレイをアメリカが普天間基地へ導入する理由について、軍事ジャーナリストの世良光弘氏は次のように解説する。

「現在、普天間基地で使われているCH46というヘリは老朽化が進み、米軍はオスプレイへの機種更新を急いでいます。行動半径は約600kmで、CH46の4倍超。空中給油もできるため、1回の給油で朝鮮半島、中国まで達する。万が一、朝鮮半島で軍事衝突が起きた際には、普天間基地から飛び立ったオスプレイが地上戦闘部隊をあっという間に戦地へ運び、迅速に作戦を展開できるようになります」

では、肝心の安全性についてはどうか。

「オスプレイは開発段階や今年2度の墜落事故によって危険性ばかりが強調されますが、10万飛行時間当たりの重大事故の件数を示す『事故率』で見ると、安全性は高いことがわかります。1999年から2011年のオスプレイの事故率は3.32。本格運用が始まった2004年以降で見ると1.93まで低下します。その数字は、戦闘機などを含めた海兵隊全体の平均(2.45)よりもかなり低い水準です」(青木氏)

“重大事故”とは、死者が出たり総額200万ドルを超える損害が発生した事故のことを言う。

「普天間基地に配備されるオスプレイは計24機。そのすべてが毎日1時間ずつ飛ぶと仮定すると、ひと月の飛行時間は720時間となり、このペースで飛び続けた場合、約12年で10万時間に達する。この数字だけを見れば、“約6年に1件”のペースで重大事故が起きる計算になります」(青木氏)

6年に1回の重大事故。この数字からは、他と比べてあからさまにオスプレイが危険とは感じられない。

「飛行機というのは事故が起きれば原因が究明され、安全性を高める改良が加えられます。現在、1.93という水準にあるオスプレイの事故率も5年後、10年後にはもっと低い数字になっているでしょう。一方で、現在配備中のCH46の事故率は1.11だが、むしろ老朽化により、今後事故が多発するのではないかと危惧されています」(青木氏)

前出の世良氏も、こう付け加える。

「確かに“未亡人製造機”と皮肉られた時期もありましたが、それは開発段階で事故が多発していたから。アメリカが量産を決めた2005年以降はそんな呼ばれ方はされておらず、むしろ旧型ヘリからオスプレイへの機種更新は世界的な潮流。いま、オスプレイの配備に対してあそこまで激しく抗議しているのは日本くらいなものです」

テレビや新聞などでは「危険、危険」と騒がれているオスプレイ。だが、現行のヘリを圧倒するスペックや今後見込まれる安全性の向上を考えれば、やみくもに配備に反対するのもどうかと思うのだが……。

(取材・文/興山英雄)

■週刊プレイボーイ33号「オスプレイは本当に危険なのか?」より



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