警察権力を肥大させる改正暴対法の「直罰規定」とは?

週プレNEWS / 2012年8月28日 15時0分

消費税増税問題や解散政局、オリンピックなどの陰に隠れて、重大な法案が衆参両院を通過していた。それが7月26日に衆議院で可決・成立した、改正暴対法(正式名「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の一部を改正する法律」)だ。

これは昨年、全都道府県で施行された暴排条例(暴力団排除条例)を改正したもの。危険極まりない暴排条例の内容を、基本的にそのまま国の法律に盛り込んだのに加え、さらなる武器を警察権力に与えた。

なかでも最大の武器といえるのが「直罰規定」だろう。暴排条例では暴力団やその関係者に対し、いったん「行政命令」を出し、それに違反した者が刑事罰を受けることとなる。一方の改正暴対法では、「行政命令」を省いていきなり刑事罰が科せられるのだ。つまり、警察が怪しいと判断すれば、証拠がなくても逮捕可能になる。

これに対し、アウトローの世界に関する著作が多い、作家の宮崎学氏が嘆く。

「この直罰規定は、ある程度の証拠がなければ逮捕できないという、近代市民法の基本的精神から逸脱するものです。“疑わしきは罰せず”の逆。このままでは、冤罪事件の増加は避けられない。亀井静香(衆議院議員で警察官僚出身)さんも、100人を逮捕しても、そのうち1件でも冤罪が出たら意味がないと胸を痛めていました」

法治国家とは思えない問題をはらんだ改正暴対法。では、どのように暴力団を取り締まるべきなのか。警察権力の実態に詳しい、かつて“参院のドン”と呼ばれた元大物政治家、村上正邦氏はこう語る。

「だいたい“指定暴力団”などといって、彼らの存在を認定する法律がおかしい。暴力団という組織は存在自体認めないとするべき。でも今回の法では、存在を認めておいてその人権は認めないというのだから大間違い。ヤクザだって人間なんだから、それは認めるべき。暴力団員かどうかではなく、違法行為があれば、誰であろうと粛々と取り締まっていけばいいんです」

確かに、暴力団の存在をいったん認めてから、その人権をはく奪するという順番は意味不明だ。

「警察が望む自らの膨張を達成するためには“仮想敵国”が必要なんです。それが暴力団。暴力団を利用して危機感を煽り、予算や人員を増やし、法的な権限も広げたいわけです」(宮崎氏)

警察権力にとって、暴力団は“貴重な必要悪”ということなのだろうか。

■週刊プレイボーイ37号「肥大化した警察権力が大暴走モードに突入する!!」より



【関連ニュース】

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング