漁獲量激減で高級魚化! 居酒屋メニューの定番、ホッケが食べられなくなる?

週プレNEWS / 2012年9月8日 13時0分

日本一の産地、北海道では今秋から 3年間の水揚げ規制が実施されることに。 “庶民の魚”ホッケが高嶺の花になる

居酒屋の定番メニューであるホッケの漁獲量が、日本一の産地・北海道で激減している。

「何十年と漁師をやっているけど、これほどの大不漁は初めて。このままでは生活が成り立ちません」(羅臼[らうす]町の刺し網漁師)

ホッケの漁獲量は1998年から減少傾向が続き、とりわけ3年前から急減。08年の約16万5000tから昨年は約5万8000tまで落ち込んだ。

いったい、何があったのか? 道立中央水産試験場・資源管理部のホッケ担当研究員が説明する。

「これまでの漁獲が過剰気味だったのに加え、北海道近海におけるここ数年の海水温の上昇が原因です。比較的寒冷な海を好むホッケにとって生息しづらい環境になったことが資源(ホッケ)の減少につながったということでしょう」

そこで北海道庁は資源回復のため、全道のホッケ漁獲量の8割を占める北部海域を対象に、9月から3年間の水揚げを08~10年の平均より3割減らすという異例の水揚げ規制に乗り出したのだ。

「規制といっても罰則はなく、各漁業者の自主努力で進めてもらう形です。厳しい提案ですが、このまま放っておけばホッケという生物がいなくなる恐れもある」(北海道漁業管理課の担当者)

この決定に道内の漁協幹部は顔を曇らせる。

「水揚げを3割減らすには出漁日を減らすか、漁期を短くする必要があるので、漁師には死活問題になりかねない。でも“庶民の魚”を守るためにはやむを得ない」

だが、札幌市内にある水産加工会社の担当者がこう打ち明ける。

「ここ数年の漁獲低迷ですでにホッケの値段は跳ね上がっています。人気の羅臼産ホッケの場合、卸値は例年の倍以上。それどころかモノ自体の入りが悪く、在庫が底を尽きかけているのが現状です」

道内スーパーの鮮魚バイヤーも打つ手なしといった表情で話す。

「ホッケは安い魚というイメージが定着していますので、卸値の上昇を売価に転嫁できません。今は50gほど小ぶりなホッケを使ってなんとかしのいでいますが、このまま漁獲が減り続ければ店頭から外すことも考えなければ……」

北海道産ホッケは全国で9割以上のシェアを持つだけに“資源枯渇”の影響は全国に波及している。

東京都内の大手スーパーの鮮魚担当マネジャーがこう話す。

「北海道産のなかでも安い冷凍ホッケを特売商材として仕入れ、タイムセール時に単価100円で販売してましたが、1枚50円の卸値が今や120円に……。ホッケの特売はもうやめました」

次に、都内の居酒屋チェーン店の店長がこう打ち明ける。

「ウチは国産モノに見切りをつけ、昨年から割安なアメリカ産のシマホッケに切り替えました。脂のノリが良く、客からの評判も上々でしたが、最近ではなぜか輸入モノまで高くなっています」

なぜ? 海外水産物の市況に詳しい水産通信社の記者が説明する。

「ホッケの主な輸入先はアメリカとロシア。実は昨年、絶滅危惧種に指定されているトドの資源保護を目的に、その主要なエサであるホッケの漁獲枠がアメリカで大幅に縮小されたんです。そのため輸入量が急減し、価格も07年と比べて約3割アップ。ロシア産の輸入価格もそれにつられて07年から約6割高くなった。アメリカの漁獲制限期間は10年。最低でもあと8年は高値基調が続きます」

国産ホッケも輸入ホッケも高いのか……。前出の居酒屋チェーンの店長がこうボヤく。

「かつて開き魚といえばアジでした。その価格が高騰し、代用品としてホッケが重宝されるようになると、瞬く間に人気が広がり居酒屋の定番メニューに育ちました。でも、今やそのホッケも高級魚になろうとしている。次はどんな魚を開けばいいのやら……」

全国の居酒屋からホッケが消えてしまう日も近いかもしれない。

(取材・文/興山英雄)



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