アメリカの大干ばつで来年4月、3大穀物価格が高騰する?

週プレNEWS / 2012年9月5日 10時0分

8月22日、農林水産省が輸入小麦価格を平均で3%引き上げると発表した。この価格上昇には、56年ぶりに起きたアメリカ中西部の大干ばつが影響している。

すでに市場では、トウモロコシ、大豆の先物価格が30%から40%も急騰。同じく3大穀物のひとつである小麦の先物価格も、40%以上の高値を更新した。だが、どうして生産地が干ばつに見舞われていない小麦まで価格が上がるのだろうか。

「トウモロコシは8割が家畜用飼料です。小麦は2割が飼料として使用される。その部分でトウモロコシと小麦は競合するわけですね。トウモロコシの値段が急騰すれば、飼料に回る小麦が増えることになる。そうすると、小麦の値段もトウモロコシに引きずられて上昇する。それから、トウモロコシと大豆の生産地はアメリカと南米が中心ですが、小麦は世界中で作られている。通常、世界のどこかが干ばつになると、ほかの国が豊作だったりするのですが、今年はアメリカだけでなく、ロシアもヨーロッパも被害を受けているため、小麦の価格も上昇しているわけです」(資源・食料問題研究所の柴田明夫代表)

今回の農林水産省の発表について、第一生命経済研究所経済調査部・永濱利廣主席エコノミストは次のような見方をしている。

「9割を輸入に頼る小麦の場合は4月と10月に“売り渡し価格”の改定があるわけですが、10月の3%の値上がりは7月、8月の2ヵ月分の上昇を含んだ6ヵ月分なので、この程度で済んだといえる。しかし、来年の4月の改定では間違いなく価格は上昇することになるでしょう。現況から見て少なくとも10%以上の上昇は覚悟しておくべきかもしれません」

そこで気になってくるのは、われわれへの影響だ。2008年の小麦価格上昇の折には、日清食品が17年ぶりに即席めんの価格を1割程度引き上げたし、スパゲティは3割上昇。また、大豆を主原料とするみそは前年比45%も値上がりした。

「当時、それでも十分値上げできた食品は少なかった。納豆や豆腐などを生産する中小企業は、商品を大手スーパーに納めていることもあって、価格転嫁できずに泣かざるを得なかったわけです。しかし、いよいよ企業側も体力の限界にきている」(柴田氏)

それでは、具体的にこれからどのような食品が値上がりの対象になるのか。

「トウモロコシ、大豆、小麦の価格が上がれば、生乳や乳製品、食用肉、豆腐、納豆、食用油、みそ、しょうゆ、うどん、ラーメンなどの麺類、パン、菓子類がこれからジワジワと値上がりすることになる。つまり、ほとんどの食料品が値上がりします」(永濱氏)

農林水産省によれば「(輸入小麦売り渡し価格上昇に対する)小売価格への影響は限定的」と楽観的な見通しを立てているが、すでに日清オイリオグループとJ-オイルミルズは食用油の価格を引き上げ、雪印メグミルク、明治、森永乳業はバターなどの値上げを公表している。アメリカで起きた干ばつは、日本の胃袋にも影響を与えている。

(取材・文/鈴木英介)

■週刊プレイボーイ38号「アメリカの歴史的大干ばつが、日本人の胃袋を直撃する!」より



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