豊富な潜入取材からみえたカルト団体との闘い方とは?

週プレNEWS / 2012年9月11日 19時0分

『やや日刊カルト新聞』主筆の藤倉善郎氏。「自宅近くに怪しい人がうろついていたり、怖いおじさんに脅されたりすることもある」とか

カルト宗教や自己啓発セミナーを扱うニュースサイトとしてネットでは随一の存在感を誇る『やや日刊カルト新聞』。

昨年9月、統一教会信者が『週刊文春』の記事へ抗議すべく始めた文藝春秋前での“断食デモ”の際、デモ隊の前で、反断食の“暴飲暴食デモ”を行なったり、幸福実現党が昨年5月に開催した「原発賛成デモ」に、わざわざ防護服で参加したりと、ユニークな活動で知られている。そんなクオリティペーパーの創設者にして主筆の藤倉氏が、これまでの豊富なカルト取材の体験談やカルト団体との闘い方を披露するのが『「カルト宗教」取材したらこうだった』だ。

―さまざまな団体に潜入をされてますが、印象に残っているのはどこですか?

「僕のメインの取材は潜入よりも被害者の方なんですが、フランス人が教祖のラエリアン・ムーブメントというカルト宗教の取材は印象に残ってますね。5泊6日セックス合宿に参加したんです」

―本にも出ていたヤツですね。2日目の夜まで水しか飲めず、セックスやオナニーも禁じられたと。しかし、2日目の晩にはすさまじい量の食事が出され、その後は即席ディスコでダンスパーティをやるという。女性信者の中には下着だけで踊り狂う人もいたとありますが、……本当ですか?

「本当ですよ。教祖のラエル氏は初日に『性器もパートナーも、この世にあるものはすべて“おもちゃ”。ローマ法王だって、父親が母親のおっぱいで遊び、母親が父親のキンタマで遊んで生まれたのです』と言ってました」

―ファンキーですねえ。でも、人を傷つけたりはしないんですよね?

「ええ。でも、彼らは『カルト』だと思います。というのは、この合宿の内容を記事にしたとき、明らかに実態からかけ離れた抗議をして裁判をちらつかせてきたんです。事実を隠蔽して脅してくるのはやはり反社会的。それに、彼らはセミナーで、『(ラエリアンを信じることを)否定するあなたの周囲の人は、皆あなたの幸せを妬んでいるんだ』と言っているんですね。それまでの人間関係を壊して自分たちのコミュニティに入れようというのはおかしい。合宿より矛盾を感じるのはそこです」

―ラエリアン以外にも抗議が来たことはあると思いますが、危険な目に遭ったことは?

「身に危険を感じることはそんなにないですよ。抗議が来たら、対応も含めサイトにアップしますから、カルト新聞が今どことモメてるのかは一目瞭然です。そんな状態で、僕を拉致したりするような人はあまりいないと思います。まあ、自宅近くに怪しい人がうろついていたり、怖いおじさんに『俺は何もしないけど、若い連中が何かするかもしれないからな、気をつけろよ』なんて言われたくらいです」

―十分怖いです! なぜカルトをテーマにしたんですか?

「別に仕事上のテーマにしようと思って始めたわけではないんですよ。学生時代にカルトっぽい自己啓発セミナーがはやっていて、サークルの中に入ったメンバーがいたんです。そのとき、反セミナー派のメンバーはろくに説得もしないまま彼らを追い出してしまった。普段は彼らのことを友達だと言っていたのに、魔女狩りのようなことをしてしまったわけです。結果、サークルを追い出された人の中には大学まで辞めてしまった人もいた。この構図はなんなのだろうと、カルトそのものというより、カルトと社会の関係に興味を持ったんです」

―僕らはカルトとどう接していけばいいんでしょう?

「まあ、まずはいかにトンデモかは知ってもらいたいですね。変な集団がきちんと変だといわれていることは、カルトの監視という点で重要です。ぜひ皆でカルトウォッチをしよう、と言いたいです」

●藤倉善郎(ふじくら・よしろう)



1974年生まれ、東京都出身。北海道大学文学部中退。在学中から『北海道大学新聞』でカルト団体を取材する。2009年、『やや日刊カルト新聞』を開設。【http://dailycult.blogspot.jp/】

『「カルト宗教」取材したらこうだった』



宝島社新書 780円



ニュースサイト『やや日刊カルト新聞』主筆による初の著書。カルト団体から抗議を受け教祖と直接対話をするときに、「教祖の超能力に対抗するため」手品のネタを仕込んだエピソードなど、ネットを沸かせるユーモアは健在。カルトウオッチの必携書









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