“香港のゲバラ”&過激派“阿牛”が宣言「10月、再び釣魚島に上陸する」

週プレNEWS / 2012年9月12日 14時0分

“阿牛”こと曽健成は“香港のゲバラ”の異名を持つ“長毛”梁國雄とともに魚釣島への上陸を試みた

尖閣諸島の魚釣島に強制上陸した香港の活動家5人。“香港のゲバラ”の異名で知られ、香港政庁の立法会議員(日本でいう国会議員)を務める“長毛”こと梁國雄(りょうこくゆう)。そして彼の同志であり、同じく香港の政界を舞台に過激な物言いを続ける“阿牛”こと曽健成(そけんせい/ちなみに現在落選中)。魚釣島への上陸を試みた彼らの本当の狙いはいったいなんなのか? 香港で直撃取材に成功した。

***

―あなた方は過去何度も魚釣島への上陸を試みていますよね。今回、8月15日に決行したのは何か意味があるんですか?

長毛 出航は前日に急遽決めたものなんだ。石原慎太郎が8月19日までに尖閣諸島を購入するなんて抜かしてただろ? その日までに行って牽制しとく必要があったという程度の話で、綿密に練られたものじゃないんだよ。

阿牛 7月にも台湾の連中が上陸に失敗していたから、今回もどうせダメだろうと思ってた。途中で引き返すのを想定して食料も片道分しか積んでなかったし、女房に何も告げず船に乗り込んだヤツもいるぐらいでさ。上陸を果たせたのは、まったくの想定外だよ。

―ノープランで出航して、たまたま上陸しちゃったと(苦笑)。

阿牛 いつものように香港の領海を出たところで香港政府に退去を命じられるかと思いきや、検閲の後、そのまま通されたんだ。妙だなとは感じたが、引き返す理由はないだろ? 漁船の上で慌てて会議を開いたよ、「もし上陸したら何しよう?」って。そして5つの目標を立てた。陸に中台の国旗を立てる、国家を歌う、中国のラジオ放送を聴く、石を拾う……結果的には叶わなかったが、灯台を破壊することも考えていた。

長毛 結局、上陸の成功は中国と日本の思惑が期せずして一致した、偶然の産物なんだよ。

―というのは?

長毛 中国にとっちゃ、本土ではなく香港の人間が日本の動きを勝手に牽制してくれるんだから願ってもない話さ。逆に日本政府も俺たちを上陸させたかったんじゃないかと踏んでる。なぜなら、尖閣問題を議論する上で中国にアドバンテージを取る口実がひとつでも多く欲しいとこだろうからね。

―まぁ、確かに日本国内でも「ワザと上陸させて逮捕した」という見方をする人もいますが……。

阿牛 だろ? 陸には40~50人の警官隊がいたと思う。最初は遠巻きに牽制してきた。できれば逮捕しないで追い返したいようにも見えたが、どうも様子がおかしい。一度は巡視船がわれわれの漁船の上陸をカットしに入ったが、その後はなぜか静観……。上陸した5人が旗を立て終えて、灯台を目指して歩き出したところで、ようやく捕まったってのが顛末さ。

長毛 船に残った俺たちはそれを確認し、島から離れようとしたんだ。すると今度は巡視船が出航を阻止してきた。結局、巡視船と岩礁に挟まれて動けなくなり、上陸者と一緒に捕捉されたってワケ。

―なるほど。ちなみに、長毛さんはなぜ船に残ったんですかね? “香港のゲバラ”なのに(笑)。

長毛 俺にとっては上陸すること自体に意味はない。自分たちの領土なんだ、自分の好きなようにして当然さ。本音を言えば、島のどこかに停泊してゆっくり釣りでもしたいところなんだけどな。



―あの……そうなると、あなた方が魚釣島に向かう目的は、突き詰めるとなんなんですか?

長毛 俺たちの目的はただひとつ。日本、そして中国の軍国主義に警鐘を鳴らすことにある。領土問題というのは、その国の軍事力と密接に関わっているからな。日本はある時期までは領土へのこだわりはなかったのに、経済が低迷すると急に保守化に拍車がかかり、右翼が幅を利かせ始めた。石原がいい例さ。そしてナショナリズムをあおって士気高揚を図る。そのとき、一番手っ取り早い号令が領土なんだ。

阿牛 それは中国も同じ。最近は覇権主義的な面が顕著で、対日本だけじゃなく、フィリピンやベトナムとも領土問題を起こしてる。

―日本では「尖閣諸島の近海に自衛隊を配備すべし」なんて言う政治家も登場してますよ(苦笑)。

長毛 そう。われわれがあの島に行くことで、おのおのの軍国主義、覇権主義の本性が露呈しだすんだ。

―でも、日本のナショナリズムが過剰に刺激されたり、中国本土での反日行動が活発化したり、一触即発の危機を誘引しようとしてるだけにも見えます。だったらこのまま問題を「棚上げ」しとくほうが得策かなとも思いますが……。

長毛 それが難しくなってきたから、俺たちも焦ってる。ここ数年で情勢が激変した。いま東アジアは、中国・ロシアの連合、アメリカ・日本の連合、真ん中に韓国という図式で完全に割れている。北方領土で日本と揉めているロシアと関係を深める中国は、領土問題で簡単には引けない。より先鋭化せざるを得ないんだ。それを黙って見てられるか? 手荒でもなんらかの行動を起こすことで進展の糸口が見つかるかもしれないだろ。

―はぁ……一種のショック療法みたいな感じですかね(苦笑)。

■日本相手に裁判を起こそうと思ってる

―あなた方の狙いはなんとなくわかったんですが……。10月に尖閣再上陸を画策しているとの噂が広まっています。ホントですか?

長毛 そうだな、10月に再び釣魚島に向かうつもりさ…………まぁ、お金が集まればの話だが。

―上陸のための資金っていうのは、どこから出てるんですか?

長毛 本土や香港の資本家たちの援助も受けてはいるが、多くは普通の市民の寄付金さ。今回の上陸成功を受けて、よりお金が集まってくれるのを期待しているんだが。

―あの、確認なんですけど……実はそうして領土問題を利用しながら、今度の選挙の点数稼ぎをしてるってことはないですよね?

阿牛 絶対にない。実際、釣魚島上陸の“勇士”と持ち上げられている割に、当選の目算は五分……厳しい状況に変わりはないんだ。

―あっ、そうですか。

阿牛 実は今度、日本相手に北京で裁判を起こそうと思ってる。釣魚島で上陸した5人の不当逮捕が理由さ。自国の領土なのに、領土侵犯で逮捕されるなんてあり得ないだろ? それに対して、中国政府がどう反応するのかも見ものだ。

―あらゆる手を尽くして、政治に揺さぶりをかけていくと……。

阿牛 政治家にだまされ、コントロールされていてはダメだ。本当は日本と中国の若者が憎み合うのをやめ、一緒に領土問題の解決に向かうことを望んでるんだぜ。

長毛 そうだな。釣魚島で並んで釣りでもしながらな。

―そのエキセントリックなやり方が、シャレにならない事態を招かないことを願ってます(苦笑)。

(取材・文/刈部謙一)



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