新型うつ病患者激増の原因はアメリカの新診断基準「DSM」?

週プレNEWS / 2012年9月12日 10時0分

20代、30代の間で急増している「新型うつ」。医学的にはっきりとした分類や定義ができないにも関わらず「うつ病」として診断されている場合も多いが、その背景には精神医学界の診断能力低下があるようだ。

沖縄県豊見城市「なかまクリニック」の中嶋聡院長は、「新型うつはうつ病ではない」と断言する。

「私のクリニックでは“抑うつ状態”を示す心因性の反応である“抑うつ体験反応”として診断した同じ患者さんが、ほかの病院ではうつ病と診断されることがあります」(中嶋氏)

なぜ、病院によって診断が異なるのだろうか。

「今、アメリカ精神医学会の『DSM−V−TR』といううつ病の診断基準が日本で浸透しています。これに従えば、今まで抑うつ状態を示す体験反応と診断していた病態も、うつ病と診断される場合があるのです。私はその導入以前の、患者が発症するに至った原因や経過などを総合的にとらえる手法で診断しますが、DSMでは原因や経過は問わず、『9症状(抑うつ気分、興味・喜びの喪失、食欲の障害、集中力低下など)のうち5つが2週間以上続けばうつ病である』と定めているのです」(中嶋氏)

新型うつ急増の一因となっている診断基準『DSM』には、医学界でも賛否両論がある。

「従来型うつ病だって、大学の流派で診断がバラバラ。DSMは誰が診察してもほぼ同じ結果が出る」(東京都のある精神科医)という賛同の声があれば、「簡便すぎて、うつ病と抑うつ状態の区別など無理」(岡山県のある精神科医)という慎重な声もある。

いずれにせよ、以前よりも精神科や心療内科を受診することへの抵抗感が下がったことに加えて、DSMが大量の新型うつ病患者を生んでいることは否めない。

こうした新型うつ病の患者には休職をためらわない傾向があるが、医師たちからうつ病とのお墨つきをもらうと、ますます復職への気力が弱まるという。新型うつ病は、いまや社会問題となっている。

(取材・文/樫田秀樹)



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