いま、20歳前後の若者に『オザキ』が支持される理由

週プレNEWS / 2012年10月5日 17時0分

東京・原宿で行なわれた回顧展「尾崎豊特別展 OZAKI 20」(すでに終了)では高校時代の随筆や秘蔵デモ音源など数々の貴重な資料が並び、多くのファンが訪れた。10月10日からは名古屋でも開催される

伝説の歌手、尾崎豊がこの世を去って20年。メモリアルイヤーにあたる今年9月、若者が多く集まる原宿のラフォーレミュージアムで回顧展が開催され、尾崎をリアルタイムで知らない世代が連日詰めかけた。なぜ、彼らは尾崎を愛するのか。新世代の“オザキスト”たちに話を聞いた。

「学校も好き、家族の仲も悪くない」。尾崎と真逆の環境で育ったという関根純さん(20)は言う。

「尾崎って不良っぽい歌も多いんですけど、たぶん僕らの世代って、割とみんな『愛』とか『自由』みたいな大きなテーマについて悩んだり、のたうち回ってる尾崎の歌に共感してるような気がするんですよね」

関根さんにとって、尾崎はそうした自分たちの思いを表現してくれる代弁者なのだという。

「尾崎って、本当に優れた表現者だと思うんですよね。『卒業』の歌詞とか、誰もが一度は思ったことのある感情とか葛藤をちゃんと言葉にしてくれる」(関根さん)

一方、中学生ながらに尾崎を“神”と仰ぐ立花明さん(15)は、尾崎の影響で生徒会長になったと話す。

「僕は尾崎の、意志を強く持って夢を叶えようとする姿に憧れるんですね。だから、悩んで立ち止まるぐらいなら、必ず行動に移そうと思うようになりましたね。実は生徒会長になったのも尾崎が理由なんですよ。自分が楽しく通える学校にするためには、先生たちの力を借りてないで、自分でやらなきゃって。まずは体育祭なんかの行事をもっと楽しめるものに変えたいなと思ってます」

立花さんの行動は、『15の夜』や『卒業』で学校への違和感を表明し続けた尾崎とは正反対に思える。しかし、彼らが尾崎から受け取ったのは、従来の「体制への反抗」というイメージとはまったく異なるメッセージだった。都内のOL、石田梨菜さん(20)が説明する。

「尾崎の歌って基本的に悲しいんだけど、でも必ず前を向いている。『誕生』のラストにも、新しく生まれてくる者に対して、お前は間違っていない、誰もひとりにはなりたくない、それが人生だっていう語りがありますよね?私も仕事とか恋愛でよく落ち込むんです。だけど、ネガティブな自分も肯定して常に前を向こうって、そんなことを思ってます」

真摯に思いをぶつけるからこそ、悲しい歌詞であっても前向きになれる。今、こういったメッセージを届けてくれる「21世紀の尾崎」的なミュージシャンはいないのだろうか。

「……それがいないんですよね。いまの音楽って売れることを意識してるからなのか、歌詞の内容が薄いっていうか。パフォーマンスを重視してる感じもするんですけど、かといって尾崎みたいな壮絶さもないですし」(立花さん)

「なんとなくテレビとかYouTubeで聴く分にはいいんだけど、『軽いよ』って言いたくなっちゃう(笑)」(石田さん)

最近のミュージシャンとは違う。聴く人を楽しませようとか、そういう次元で歌っているんじゃない。歌声、表情、その存在自体が全部、必死で何かを伝えようとしている――。そう感じるからこそ、新世代の“オザキスト”たちは今日も生まれ続けているのだろう。

(取材・文/大野智己 河合桃子、撮影/井上太郎)

★『尾崎豊特別展 OZAKI 20』名古屋会場



松坂屋名古屋店 南館8階 マツザカヤホール



2012年10月10日(水)~25日(木)まで開催



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