プロ野球選手の名言はどうやって生まれるのか?

週プレNEWS / 2012年10月10日 20時30分

野球の神様、ありがとうございました」のラストメッセージを残し、10月9日、阪神タイガースの金本知憲外野手(44)が、21年間のプロ生活に幕を下ろした。長嶋茂雄氏(元巨人)の持つ通算打点記録1522(歴代7位)にはわずか1届かなかったものの、最終戦でも6回に中前打を放ち、二盗に成功。甲子園球場を埋め尽くした今季最多となる4万7106人の大観衆を、最後まで沸かせた。

この金本選手の言葉のように、これまでスポーツ界、とりわけプロ野球の世界では、たくさんの名言、金言が生まれている。

故・仰木彬氏がオリックス監督時代、巨人を追われた清原和博内野手に言った口説き文句「大阪に帰ってこい。おまえの最後の花道は俺がつくってやる」は、移籍を決めた清原本人のみならず、世の多くの男たちの胸を打った。

また、かつてマサカリ投法と呼ばれるダイナミックな投球フォームで通算215勝を挙げた名投手・村田兆治氏(元ロッテ)が、引退登板の際に長年の相棒・袴田英利捕手に告げた「おまえとじゃなきゃ、終われないんだよ」という言葉には、世代を超えた野球ファンたちが男泣きしたという。

こうした人々の心を揺さぶる言葉が生まれる背景を、5年間のプロ生活のなかで数々の名言を残した元オリックス外野手・パンチ佐藤氏はこう語る。

「よく『名言・珍言コーナー』で取り上げていただきましたが、それらはみな、決して最初から狙って言ったものではないんです。そのときそのときの状況が生んだ、心からの言葉なんです。ドラフトで指名されたときの『自分の心はひとつです』は、前年に指名を回避されていたので、絶対に入りたいという思いがゆえ。『今日は12万5000人のファンの皆さま、ありがとうございました!』は、『ガラガラのスタンドで寂しいなぁ』という思いを遠回しに言っただけです」

用意していた言葉ではないにもかかわらず、選手たちの言葉が心に響くのはなぜか。

「ファンが求めているのは心からあふれてくる“生”の言葉だと思うんです。例えば、ソフトバンクに指名されたら『福岡、食べ物もおいしい、女性もきれいと聞いています。活躍して地元のアナウンサーと結婚したい!』とか、札幌で活躍したら『今日はシンデレボーイ。12時まではすすきのです!』でいいじゃないですか。人の心に残る名言には、計算がないんですよ」(佐藤氏)

名選手が去り、次なるヒーローが現れる。プロ野球がある限り、人々を魅了するスーパープレーと、新たな名言が生まれ続けていくに違いない。

(取材・文/OfficeTi+)

■週刊プレイボーイ43号「球史に輝くプロ野球 魅惑の名言」より



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