急に大きくなった会社は「社内うつ」が起きやすい

週プレNEWS / 2012年10月24日 6時0分

職場の主なストレスは、量・質・人間関係&将来性。特に近年の若い社員に特徴的なのが、「職場の人間関係」と「将来性」によるストレスである(厚生労働省 2007年度労働者健康状況調査より)

厚生労働省の2007年度労働者健康状況調査によると、職場におけるストレスの要因で多いのは、1.人間関係、2.仕事の量、3.仕事の質、4.将来性である。産業医の榛原(はいばら)藤夫氏によれば、なかでも近年の若い社員に特徴的なのが「職場の人間関係」と「将来性」によるストレスだという。そして、そんな20代、30代の社員の間で急増中と言われるのが「社内うつ」である。

多くの場合、それは「新型うつ」と呼ばれるが、「旧来型のうつ」が仕事量が多すぎたり、責任を抱えすぎたりといった「頑張りすぎ」が一番の理由だったのに対し、「新型うつ」の場合、周囲からはその真逆にもうつるため、「患った社員」はいまひとつ同情されづらい雰囲気になっている。

だが、榛原氏は、その危険性をこう指摘する。

「だからといって軽く考えると、衝動的に自殺してしまうケースもあるわけです。最近、旧来型うつと新型うつはとかく区別して語られがちですが、『過度のストレスや緊張がずっと続いた結果、自律神経のバランスが崩れ、心身に異常をきたした』という意味では同じなんですね」

「ストレスへの耐性」は個人差が非常に大きいのも事実だが、同時に「社内うつが起きやすい職場」というのも確実にあるように思える、と多くの現場を見てきた榛原氏は言う。彼に、そうした職場に特徴的なパターンをいくつかあげてもらった。

急に組織が大きくなった会社

「これは日本に入って歴史の浅い外資系や急成長したベンチャー企業で起きやすいケースです。



まだ会社が小さかった時期に入社した、出身大学は一流ではないけどバリバリの体育会系で、営業ですばらしい実績をあげ、現在は管理職に昇進している社員がいる。



そんな彼の下に、その会社が大企業になったあとに入社した、高学歴でプライドの高い新人が配属された。上司は『こいつにガツンと言ってやんなきゃ』と思う。部下は上司の泥くささが疎ましい。両者の関係はうまくいかず、部下は心を病んで・・・・・・といった例も実際にありました」

派遣社員が「派遣さん」と呼ばれる職場

「見逃されがちですが、派遣社員や契約社員、つまり『非正規社員』の人たちの社内うつは多い。最大の理由はやはり将来への不安感ですが、職場での疎外感も大きな要因になっています。また、派遣社員が『派遣さん』と呼ばれるような職場は、他者への関心や配慮に欠けている証拠です」

急に業績が悪くなった会社

「業績が悪くなると、管理職の視線は社内にばかり向かい、コストカットやルール遵守にばかりうるさくなりがちです。結果、現場がギスギスし、ストレスが高まっていく。もちろん、将来が見えない不安感も大きなストレスになります」

職場内メールに“Re:Re:Re:Re…”が多すぎる組織

「同じ案件で“Re:”がひと晩で30個以上ついたメールを見たことがある(笑)。メールだけで延々とやりとりしているからですが、同じ職場なんだから直接話せばいいんですよね。なのにそれができない。職場内のコミュニケーションがうまくいっていない典型です。また、こうしたメールのやりとりは“引用マーク”が増え、『すでに私はこう記しましたが』『あなたはこう言いましたが』と、自分の正当性を主張し合うことに労力がそがれがち。こうしたやりとりはストレスを生むだけです」

SNSの発達などもあり、「横コミュニケーション」能力はとても高いのに、「縦コミュニケーション」や「違う立場の人とのコミュニケーション」は非常に苦手な人が、若い社員の間で増えていることは日々の実感からも否定できない、と榛原氏は言う。そして上司世代も、そんな彼ら、彼女らへの接し方がわからず、時に彼らを追いつめてしまっているようだ。

「典型例のひとつは、イケイケ体育会系の上司が、メンタルヘルス研修で教わったことも無視して、昔同様の態度で『おい!!  お前!!』という感じで部下に接していたら、そのひとりが心身のバランスを崩してしまった。途端に、その部下にだけ急によそよそしくなり丁寧語を使いだすパターン。これは最悪の接し方です。



もうひとつの典型例は、きまじめすぎる上司が、研修やビジネス書で学んだ通りに部下に接するのだけど、ずっとイライラしているパターン。



また、職場の視線が内向きになると、ルール違反や、相手の発言の矛盾探しのような『減点法コミュニケーション』にエネルギーが注がれがちで、これも社員のストレスを非常に高めます」

今は、どこも会社でも組織の効率化の過渡期にある。そういう時期は、どうしても「コミュニケーションのちょうどよいところ」がどんどん狭くなり、そこから脱落してしまう人も出てしまう。「残念ながら、こうした状況はまだ続くように思えます」と榛原氏は言う。

「だから、『若い世代は』『上司は』と批判しあうのではなく、上下関係や立場を超えて『職場のコミュニケーション』について前向きに考えていくしかないと思っています」



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