富士山大噴火では「山頂噴火」に注意せよ

週プレNEWS / 2012年10月29日 0時30分

いつか起こるとされている「富士山大噴火」。発生時期は未だ謎のベールに包まれたままだが、その噴火場所については、ある予測がなされているという

平安時代中期の貞観年間(859~877年)、「富士山貞観大噴火」の5年後に「貞観大地震」が襲来した。そして今、貞観大地震と同じ震源で昨年、マグニチュード9の「東日本大震災」が発生。今度は逆の順番で富士山大噴火がカウントダウンに入った可能性がある。

ここで早急にチェックしたいのが、いつ頃、どこで始まるのか?という疑問だ。

まず時期については、2000年3月31日に起きた北海道「有珠山噴火」の例が参考になる。この噴火が始まる約1ヵ月前に、北海道大学の現地観測所が「マグマ水蒸気爆発」発生の危険性を指摘。次いで3月27日には噴火開始までの予想時間を驚くほど正確にシミュレーションした。その結果、地元住民の早期避難が実現し、数千人の人命が救われた。

この科学の勝利は、1910年、1944年、1977年と約30年間隔で発生してきた有珠山噴火の観測データによって可能になった。しかし富士山噴火の場合は、そうはいかない。直近の宝永大噴火が起きた1707年には科学観測機器や電算機など存在せず、ようやく富士山が「常時観測火山」になったのは1987年だった。いくらコンピューター解析技術が高度化しても、富士山固有の噴火データ量が少なければ、その発生日時までは予測しにくい。

また、最新噴火がどこで始まるかについては、有珠山噴火でも正確な予測はできなかった。富士山ではプレート運動の影響で山頂を挟んだ南東-北西ラインの山腹と山麓に噴火口が集中してきたが、その大まかな傾向だけでは、やはり新しい噴火口の出現位置は探りようがない。

ただし、次の富士山大噴火で要注意なのが「山頂噴火」の可能性だ。富士山の山頂火口では今から約2100年前頃を境に「火道」が閉じたという見方がある一方、逆に2100年間も沈黙していたので、そろそろ山頂大噴火が再開してもおかしくないという火山学者や専門家も多い。

これまで本誌の地震・噴火関連特集にさまざまな独自見解を寄せてくれた琉球大学名誉教授の木村政昭氏も、著書『富士山の噴火は始まっている!』(宝島社、共著者・山村武彦)の中で、今度の噴火活動が山頂火口で再発する可能性に触れている。それは、どういう理由なのか?

「非常に気になるのが、実は明治時代初期から富士山頂の噴気現象が始まっていたことです。その場所は山頂南東の荒巻と呼ばれる火口縁で、明治から大正時代にかけて噴き続けた80度以上の高温噴気が登山客相手の酒の燗や調理に利用されていたといいます」

過去の例から、この噴気の発生が、山頂噴火の予兆になっている可能性があるという。

「関東大震災(1923年)の発生前後には特に強い熱水蒸気が噴いたという、静岡測候所の調査記録もあります。しかも、あまり知られていませんが1970年代まで荒巻では地熱現象が続いていたんです。つまり、富士山噴火再開の兆候は100年以上前にいち早く山頂で始まったともいえるわけで、次の噴火が山頂型になる危険性は十分にあり得ます」

このように、次の富士山大噴火の発生時期と噴火地点については、専門家たちの意見も定まっていない。しかし「起こるとすれば」山頂付近という予測は、現実味を帯び始めている。

(取材・文/本誌“富士山を調べ続けて30年”取材班 写真/五十嵐和博)



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