本当にメジャー挑戦? 花巻東・大谷の先に待つイバラ道

週プレNEWS / 2012年10月31日 10時0分

高校生160キロ右腕が海を渡る。岩手・花巻東高校の大谷翔平(しょうへい・18歳)投手が熟考に熟考を重ね、ドラフト会議前に出した答えは「メジャー挑戦」だった。

高校野球に詳しいスポーツライターの田尻賢誉(まさたか)氏はこう語る。

「彼は高校入学時から『高校で160キロ』と『高校からメジャー』という夢を持っていました。そして見事に前者の夢を成し遂げ、後者もその権利を有した選手に成長した。『誰もやったことがない選手になりたい』という彼の言葉を借りるなら、この決断は当然のことかもしれません」

大谷の高校の先輩で同じ夢を抱いた菊池雄星(埼玉西武)がメジャー挑戦を断念し、涙の記者会見を開いたのは約3年前。なぜ大谷は夢を貫けたのか? まさか菊池が先輩としてアドバイスを?

「それはわかりません。ただ、以前、雄星が『西武には来るな』と大谷に忠告をしたという報道もありましたが、それはない。実際に雄星は『そんなこと言っていない』と憤っていましたし(苦笑)。雄星のときは日本のプロ入りを強く勧めた花巻東の佐々木洋監督が、今回は大谷自身に判断を任せたのが大きく影響したのでは」(田尻氏)

そんななか、10月25日のドラフト会議では北海道日本ハムがドラフト1位で強行指名。来年3月31日までは日本ハムが交渉権を持つが、大谷を翻意させることは難しいとみられている。

メジャーリーグ評論家の福島良一(よしかず)氏はこう語る。

「日本ハムは、日本球界随一の育成システムを有し、ポスティング制度もOKで、ダルビッシュを7年でメジャーに送り出した実績もある。また、アメリカでは、大谷のようなアメリカのドラフト対象外の海外出身選手との契約金総額は年間290万ドル(約2億3000万円)という新ルールが今年から適用されているので、契約金もさほど望めない。日本で力を蓄えてから挑戦しても遅くないと思うのですが……。ちなみに、アメリカではプロ入りしてメジャーに昇格できる選手は、10人にひとりだけです」

プロ入りしてからが本当の勝負というのは日米ともに共通だが、

「そのハードルの高さに大きな差がある」と福島氏は言う。

「鳴り物入りで入団しても、日本のようにすぐ上で使うようなことはない。必ずマイナーリーグの最下部組織から始め、実績を残し、認められないといけない。“名前”だけではメジャーリーガーにはなれないんです」

そのマイナーリーグは想像以上に過酷な環境だ。

「シーズン中はほぼ毎日試合をこなし、しかもバスでの長距離移動。食事だってロクなものは与えられない。高卒の大谷の場合、順調だとしても、そんな過酷なシーズンを4年も5年も過ごさなければいけないのです」(福島氏)

また、前出の田尻氏は、大谷の性格上、マイナーでの生存競争に向いていないと心配を口にする。

「大谷は自己主張が苦手なタイプ。『俺が、俺が』というマイナーリーガーの中で、おとなしい彼がやっていけるのか……」

また、マイナーリーガーの半数はアメリカ出身以外の選手で、その大半が中南米出身。そのなかには厄介な選手もいる。

「ドラフト上位選手であっても、マイナーで時間を共にする“不良”たちの影響で私生活を乱し、夢半ばにユニホームを脱ぐケースが多い。また、これまで韓国や台湾出身の10代の有望な選手が多くメジャー挑戦をしていて、そのほとんどがメジャー昇格を果たせていません。彼らも大方が私生活の問題で挫折したのです」(前出・福島氏)

日本初の“高卒メジャーリーガー”への道程は長く険しい。

(取材・文/コバタカヒト)



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