“16日衆議院解散”はすべて野田首相のシナリオ通りだった?

週プレNEWS / 2012年11月19日 19時30分

11月14日の党首討論で、安倍晋三・自民党総裁にいきなり解散総選挙を突きつけた野田佳彦首相。結局、自民党は条件とされた一票の格差是正と定数削減に応じ、16日に衆議院は解散。12月4日公示、都知事選と同じ12月16日投開票という年末総選挙の火ぶたが切って落とされた。

しかし、「近いうち」と言うばかりで解散時期を明言してこなかった野田首相が、なぜここに来て解散・総選挙を言い出したのか。元民主党事務局長で政治アナリストの伊藤惇夫氏が解説する。

「野田首相は、年末までに解散しなければクビになっていたからです。ここのところ民主党内では解散反対論が強くなってきていました。党内での支持がなければ、いくら首相でも解散はできません。そうなると“近いうち解散”の責任を取って総辞職することになります。さすがの野田首相も黙ってクビになるのを待つより、早めに解散に打って出たほうがいいと思ったのでしょう」

さらに、元朝日新聞政治部長で東洋大学教授の薬師寺克行氏はこう付け加える。

「ひとつは、野田首相は『近いうちに解散する』と約束したため、野党から“うそつき”だと批判されていました。一国の首相をやっている人間がうそつき呼ばわりされるのはプライドが許さなかったのでしょう。ふたつめは、歴史に名を残したかったのだと思います。野田首相は“消費税増税と社会保障制度改革”を実現しました。“特例公債法”成立に道筋をつけました。そして解散と引き換えに“一票の格差是正と定数削減”を強引に合意させたことで歴史の教科書に野田政権は多くのことをやり遂げたと記述されます」

もちろん、日本維新の会に合流した石原慎太郎氏ら「第三極」の動きも関係している。

「新党が総選挙に向けて連合に動いていますが、その準備が整う前に選挙をやれば、少しはダメージが少なくなると思ったのでしょう。さらに、TPP参加などの政策を掲げることで反対者が離党します。意志をもって党に残る政治家を結集して民主党を再建しようという“党の純化路線”もあるのかもしれません」(薬師寺氏)

そのため、党首討論でいきなり年末総選挙に打って出たのだろうか?

「首相とか政権を運営する人たちは、国会日程や外交日程などを含め1ヵ月以上先を見ながら戦略を練ります。党首討論の数日前に輿石東幹事長と会って年内解散をにおわせることもあらかじめ予定されていたのだと思います。首相が思いつきで解散を口にするわけはありません。党首討論での発言は予定されていたことなのです」(薬師寺氏)

なんと、今回の解散発言は綿密に計算された上での行動だったという。思い起こせば、新聞各紙が一斉に年末解散を報道したのは発言の前日、11月13日のことだった。

「これは野田首相周辺が漏らしたのでしょう。各紙に一斉に出るというのは、それ以外、考えられません。首相周辺は、解散への流れを一気につくりたかったんでしょうね」(前出・伊藤氏)

さらに、この解散報道のタイミングは、もうひとつの意味も持っていた。

「小沢一郎・国民の生活が第一代表の無罪判決が出たのが11月12日です。本来なら翌日の朝刊一面は、この“小沢無罪”報道で埋まるはずだったんですが、野田首相から年内解散が出てしまったので、小沢無罪の記事や太陽の党の結党のニュースが追いやられました。野田首相はベストなタイミングで小沢新党が盛り上がる芽をつぶすために解散をリークさせたんです」(政党関係者)

ここまで野田首相が年末解散舞台のシナリオを描いていたとしたら、なかなかの策士である。

(取材・文/村上隆保)

■週刊プレイボーイ49号「これが、野田首相“解散大芝居”のシナリオだ!」より



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