習近平体制は分裂危機の中国共産党“調和”が狙い

週プレNEWS / 2012年11月20日 10時0分

11月14日、中国・北京で開かれていた共産党第18回全国代表大会では、最高指導部「中央政治局常務委員会」9人のうち胡錦濤総書記、温家宝首相ら7人が予定どおり退任し、閉幕。そして翌15日、第18期中央委員会第1回総会で、習近平総書記率いる新指導部がお披露目された。10年間続いた「胡・温体制」に事実上、幕が下りたことになる。

ここで発足した共産党の新指導部、通称“チャイナ7”のポイントは、国の最高意思決定機関である常務委員会の構成人数が9人から7人に削減され、かねて常務委員候補として名前が挙げられていた実力派の李源潮、汪洋が外れたことだ。

特に汪洋は、広東省深圳市を政治特区化して住民による直接選挙を実施するという“社会実験”を行なおうとするなど、かなりの改革派として知られる。元産経新聞中国総局記者でジャーナリストの福島香織氏はこう語る。

「汪洋を推していたのは、自身も改革を言い続けた温家宝首相といわれています。しかし今年10月、その温首相のファミリーの不正蓄財スキャンダルをアメリカのニューヨーク・タイムズが報道。これを『反対派のリークによる改革派潰しだった』と見る人もいます。いずれにしても、結果的にこの報道が、汪洋が常務委員から外れる最後のひと押しになったとはいえるでしょう」

また、汪洋も李源潮も、党内派閥は胡錦濤前総書記に近い中国共産主義青年団(共青団)派に属する。彼らが外れ、その前の総書記だった江沢民に近い人物が多く常務委員入りしたことで、胡錦濤が自身の影響力を残すための権力闘争に敗れたとみる向きもある。

「習近平と次期首相の李克強のツートップを除く常務委員のメンバーの中で“実力派”といえるのは、金融のエキスパートでアメリカの信頼も厚い王岐山だけ。しかし、その王も李克強との関係が悪いこともあり、専門分野の経済担当を外れてしまいました。総じて今回の人事は、とにかく目立つ個人の台頭を避けた“調和型の指導部”という傾向が見えます。人数を減らしたことも、意見の対立を防いでまとめやすくするという意味がある。その背景には、『党が内部分裂している場合ではない』という共産党全体が共有している強い危機感があるんです」(福島氏)

強烈な個人に期待するよりも、むしろそうした刺激を避けつつ一致団結しようという「習近平チャイナ」の指導部。中国の内部事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏は、新指導部の船出を次のように表現する。

「黒澤明監督の名作映画『七人の侍』のワンシーンで、『首が飛ぶっつうのに、髭(ひげ)の心配してどうするだ!』というセリフがありますが、今の中国政治はまさにそんな状況です。中国という国家の“首”が飛ぼうとしているのに、『習近平のライバルは誰だ?』とか、『誰が政治局に入るのか』といった“髭”、つまり共産党の人事を心配してなんになるのか。それよりも問題は、共産党が今後どれだけもちこたえられるかでしょう」

経済大国として世界に影響力を持つ中国。しかし、先日の領土問題を巡る暴動でも露呈したように、内情はまだまだ安定からは遠いのだ。

(取材/村上隆保)

■週刊プレイボーイ49号「『習近平チャイナ』の崩壊はもう始まっている!!」より



【関連ニュース】

週プレNEWS

トピックスRSS

ランキング