つんく♂「ハロー!はいつも“安心感の中にある苛立ち”の連続」

週プレNEWS / 2012年11月23日 6時0分

つんく♂さんの考える“ハロー!プロジェクトイズム”は「ロック魂」だという。その真意は?

今年で15年を迎える“アイドル王国”ハロー!プロジェクト。そのプロデューサーであるつんく♂氏に、彼の考える現在の“ハロ”、そして次の一手について聞いた。

■今までのメンバーより新メンバーを多くしたかった

―まずは15周年おめでとうございます! どうですか、この15年を振り返って。

つんく♂ まぁ、いろんなとこで言ってますけど、モーニング娘。は、1年ぐらいしたら解散させるつもりだったんで、こんな続くとは思ってなかったですね。そういう意味では大きな事故もなくやってこれたなって思いますね。

―個人的には、モーニング娘。9期や、スマイレージ2期を入れたあたりから目まぐるしく変わってきた印象なんですよ。それまでは「けっこうハロー!プロジェクトって安定してるな」って。

つんく♂ ほう。

―「つんく♂さんが本気になった!」っていう感じがしたんです。

つんく♂ 別に、それまでもサボってたわけじゃないですよ(笑)。確かにモーニング娘。でいえば、9期が入ってくるまで、4年半ぐらい新しいオーディションをしなかったっていうのもあったんですけどね。まぁ、やっぱり活性化させていかなきゃいけない。

動いてないと始まらないっていうことですよね。新しい風が入ってきたことで田中(れいな)も急に伸びたし、道重(さゆみ)も安定してきた。鞘師(里保)が入ってきたことによってダンスという面で、モーニングの見方も変わりましたし。

―モーニング娘。の9期、10期。スマイレージの2期。この12人が2年以内に一気に増えたっていうのは、よく考えるとすごい一手だったなって思います。

つんく♂ でも、スマイレージもモーニング娘。も、「今までのメンバーよりも新メンバーを多くとろう」っていうのは思ってました。当時は光井(愛佳)も高橋(愛)もいたわけで。だから9期の時点で8人とってもいいかなって。

―そうなんですか!

つんく♂ やっぱりザックリ替えないと、イメージが変わっていかないんですよ。もちろんイメージだけじゃなくて、曲も変わっていかないとね。メンバーに引っ張られて曲は変わっていくんで。スマイレージも同じく、残るメンバーよりも、新メンバーを多く入れたいって思ってました。

やっぱり和田(彩花)や福田(花音)のキャラが立てば立つほど、新メンバーがひとりやふたりだと目立たなくなるので。ま、前田(憂佳)が抜けたことを忘れられるような楽しい人選がいいかなと思ったんです。だから中西(香菜)みたいなコもいていいんですよ。まだまだ踊れなくてもいいよみたいな。

―本当にそうですよね。特にスマイレージの田村芽実さんと、モーニング娘。の佐藤優樹さんはキャラが爆発してますもんね。

つんく♂ そうだね(笑)。佐藤なんかは、ほかのメンバーは相当大変だと思う。久住(小春)もすごかったけど、またちょっと違うよね。佐藤は天然すぎて全部計算じゃないかって思うくらい(笑)。

■“ハロプロイズム”はロック魂ですよ!

―昨年の6月、スマイレージの第2期オーディションで、つんく♂さんにお話を聞いたときに「モーニング娘。も、トヨタと日産が切磋琢磨したような戦いを見せていきたい」ってお話をしていただきました。最近のハロー!プロジェクトを見ていると、まさにそんな感じの印象を受けるんですよね。

つんく♂ まぁ、そうですね。しかもトヨタや日産だけじゃなくて、いろんなとこが増えてますから。アイドリング!!!とか、スパガ(SUPER★GiRLS)も頑張ってるし。逆にそれがエネルギーになってハロー!プロジェクトも頑張ろうって思うわけで。握手会にしてもなんにしても。

―握手会もモーニング娘。の本当の初期はやってたと思いますが、それ以降は絶対やらなかったですよね。

つんく♂ それはやっぱり9期も10期も含めて、われわれは今“新人”だと思ってますから。新人アイドルが何をするかって、握手会でしょ。本当は昔で言う、デパートの屋上でリサイタルぐらいやらなくちゃって気持ちですよ。

―それはすごい!(笑)。ちなみにお聞きしたいんですが、つんく♂さんの考える“ハロー!プロジェクトイズム”ってなんですか?

つんく♂ いつも俺が言っているのはロック魂です。シャ乱Qは世間からどんなにバカにされようが俺たちはロックだと言い続けてきた。ハロー!プロジェクトも「面白いね」って言われるのは、ロックじゃんって部分なんですよ。だから紺野あさ美(元モーニング娘。5期メンバー。現在、テレビ東京アナウンサー)だって「いいじゃん。ロックだよ。入れとけ!」みたいなね。

でもロックは、なんでもいいわけじゃない。言うなれば「美しさ」がある。しかもただ美しいだけじゃない“ちょっと欠けた美しさ”です。風情というか趣があるというかね。そういう“完全ではない美しさ”が気持ちいいわけで。それをお互いが補うのがいいんです。

―不完全な美しさ。

つんく♂ 曲も同じ。当たり前じゃないところが面白い。正統派ないいメロディをほかのアイドルは歌わせたがるけど、俺らはそうじゃない。『ワクテカ Take achance』もよく聴くと不思議でしょ。なんか変でしょ。どこがサビかよくわからないし。

―確かに!(笑)。やっぱりハロー!プロジェクトを見ていて面白かったのは、どんどん変わっていくところだった気がします。最初にモーニング娘。が増えたときの衝撃ったらなかったですもん。

つんく♂ そう。“安心感の中にある苛立ち”なんですよね。

―安心感の中にある苛立ち?

つんく♂ 最初は平家みちよに負けた負け組で。そんな彼女たちが頑張ってデビューして、ファンが安心したところでメンバーが急に増える。「この5人を応援してきたのに! ばかやろうつんく氏ね!」っていうスレッド立ちまくる。後藤真希が増えて、また散々書かれる。プラチナ期のときも「大ヒットはないけど、俺たちのモーニング娘。って、タカハシステムってこうだよね」って思ってたのに、急にバーンって壊されて、小学生みたいなのが入ってくる。

―(笑)。確かに安心してると、崩壊され続けてきました。

つんく♂ そうやって安定したものを壊される苛立ちの連続がモーニング娘。であり、ハロー!プロジェクトなのかな、と。もちろん俺が仕掛けることもあれば、メンバー側の事情もありますけどね。「矢口、なんでこのタイミングで……」みたいのもある。でも甲子園みたいな予測できないドラマもあっていいし。

―確かにあれはドラマティックでした!(笑)。では最後に、15周年以降のハロー!プロジェクトは、どんな手を打っていくつもりですか?

つんく♂ まぁ、今はBerryz工房がタイとかに行き始めたし、モーニング娘。も海外で行なう“世界握手会”を始めたりしてます。来年もアジアを意識しながらやっていこうと思ってますね。あとは田中れいなバンドも始動しますしハロプロ研修生から、ニューアイテムを掘り出したいなと。

―おお! ニューアイテム!

つんく♂ それと個人的には、モーニング娘。に新しく入った小田さくらがどう動くか。彼女が面白く動けば、確変に入るんじゃないかなって思ってます。

―キーワードは小田さくら!

つんく♂ 小田。あと鞘師、石田っていう踊れるメンバーですね。

―その3人ですか! いやー、今のハロプロ、特にモーニング娘。は見ていて面白いです! これからも楽しみですよ!

つんく♂ でも実は、今の9期、10期が入って、けっこう意外に安定してるんですよ。この安定がちょっと不気味なんですよね……(笑)。

―やめてください! 今のモーニング娘。かなり好きなんですから! 苛立たせないでください!

(取材・文/篠本634[short cut])

●つんく♂



1968年生まれ、大阪府出身。92年、シャ乱Qのボーカルとしてメジャーデビュー。97年よりモーニング娘。の音楽プロデューサーとして活躍。多くのアイドルを手がける



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